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労働衛生の手引き
(a British Safety Council guide to OCCUPATIONAL HEALTH)


資料出所:英国安全評議会(British Safety Council: BSC)発行
「Safety Management」December 2004 付録小冊子 「OCCUPATIONAL HEALTH」

(仮訳 国際安全衛生センター)

 英国安全評議会の手引き
労働衛生
 
 業務上の疾病のコスト
 
4
 業務上の疾病の原因  
5
 業務上の疾病対策  
5
 法令と労働衛生  
8
 一般的な法的要件
 
8
 リスクアセスメント
 
9
 工業用溶剤  
9
 有機溶剤によるばく露ハザードの抑制  
10
 アスベスト  
10
 職業性皮膚炎  
12
 手・腕の振動障害  
13
 職業がん
 
16
 職業性喘息  
17
 職場のストレス  
19
 終わりに  
20
 参考文献  
21
 サプライヤー一覧  
22
 問い合わせ先一覧  
23
 最終チェックリスト  
24
   ©British Safety Council - December 2004 - REF. A50412   



業務上の疾病は、事業者・労働者・社会にとって大きな問題である

 アスベスト繊維の吸入による癌、ストレスの多い職場環境によるうつ、有害化学物質へのばく露による喘息及び皮膚疾患、可搬型動力工具の長期間使用による手、腕への永久障害等々・・・これらは‘労働衛生’という用語でくくられている各種疾病のほんのわずかな例である。

 業務上の疾病の影響は、例えば、高所からの墜落や機械災害のように直接的なものではないが、アスベスト関連肺癌のようなある種の疾病は、事業者及び労働者にとって大きな問題であるのと同様に、社会にとっても大きな問題であるということは疑う余地がない。

 事実、HSEのデータを見ると、英国の交替制勤務についている230万の人々は、仕事で病気になったり、あるいは病気が悪化したりした結果、平均23日の病欠を余儀なくされている。

 しかし、これらの数字は、業務上の疾病発生状況をある程度現わしている方法であるが、疾病とその影響の分析を行う点で難さがあるため、この問題の本当の数字は、報告されている現状よりもずっと大きいものと思われる。例えば、職業性喘息や作業関連ストレスを被っている人数を正確に決定する上での難しさというのは、これらの疾病原因が唯一つではないかという理由からである。例えばストレスの場合、経済的な困難や本人の健康状態といった、業務に関連していない多くの要因がストレスの原因に関係しているかもしれないからである。

業務上の疾病のコスト

 適切な労働衛生管理による労働者保護の重要性は、以前から認識されてきているが、業務上の疾病問題の本当の姿は、最近になって明らかになりつつある。

  例えば、2002年にHSEが発表した新しいデータによると、2001/2002年度には疾病及び傷害で4千万労働日が損失しているとのことである。これは、毎年損失していると見られていたこれまでの1,800万労働日に比べ、業務による疾病あるいは業務によって悪化された疾病により約3,300万労働日が失われているとのことである。この3,300万労働損失日数のうち、1,300万日以上が、作業関連性ストレスで、他方、筋骨格系障害、例えば不安全な人力作業及び反復作業の組立て作業によるものが、約1,200万日と見積もられている。

  HSEによると、2001/2002年度の疾病による労働損失日数の増加分1,500万日の一部分は、情報収集方法の技術的な難しさによるものと見られるが、大部分は欠勤期間の増加によるものである。1995年の平均13.9日に比べ、2001/2002年度は疾病を被っている人々が平均23日欠勤している。

  更にHSEのデータによると、2001年から2003年の間、毎年平均23,000件の新規業務上の疾病の症例が労働衛生報告ネットワーク専門医師団により発見されていたとのことである。HSEがより心配している点は、1999年から2002年の間に、業務上の疾病の全発生件数が増加していて、その主な増加要因としては、作業関連ストレスによる健康障害件数の増加である。

 しかし、業務上の疾病による疑う余地のない高い人材コストに加えて、労働衛生問題は、また全体として、事業者及び社会に大きな財政負担を強いている。2004年発表のHSE統計によると、英国の事業者は業務上の疾病により、年間15億ポンドもの支払をしているとのことである。労働が原因で病気になった人々の世話という点での社会的コスト、失われた生産額及び労働者の健康障害による人的コストは、ずっと高いものになっており、その額は、毎年113億ポンドから173億ポンドにもなると見積もられている。

業務上の疾病の原因  

 業務上の疾病に係る人的・財政的コストは明白であるにも拘らず、あまりにも多くの事業者は効果的な労働衛生管理が実施できていないということが明らかにされた。

 この理由の1つとしては、業務上の疾病の原因とその影響との関係が不明瞭であることにより、事業者が安全面より、労働衛生面の管理の方がより難しいということが挙げられる。例えば、職場の滑りとつまづきのリスク低減は、優れた整理整頓対策の導入及び適切な履物を労働者に提供するということで、かなり簡単に行うことができる。

 他方、業務上の疾病のリスク原因には、それ程簡単に対処することはできない。例えば、職業性喘息やストレスは両者共進行するのに、かなりの期間を必要とし、それらの原因は、事業者にとって直接はっきりとした形で現れないということが挙げられる。

 更に、労働衛生管理に含まれる各事項のうち、労働者の教育訓練及び事業者間での知識が適切でないということが良く見受けられる。

    例えば、2002年6月発表のHSE調査結果によると、英国労働者7人のうち、1人だけしか基本的な労働衛生支援対策---ハザードの特定、リスクマネジメント及び労働衛生関連事項に関する情報・教育訓練---を受けていないとのことである。更にこの調査では、職場において労働者の健康保護及び増進に包括的な支援策を提供している企業は英国全企業の3%しかないことも判明した。

業務上の疾病対策 

 労働衛生管理について人々の関心及び政府の関心が、最近非常に高くなっている。大変重要な動向としては、2000年6月に政府が発表した新しい戦略−安全衛生対策の再活性化−で、向こう10年間における労働衛生基準の改正を狙いとしたものがある。これは、事業者の労働災害防止を促進するため、幅広い戦略目標として次の点を掲げている。

■  2010年迄に業務上の疾病の発生率を20%減少すること 

■  2010年迄に労働災害発生に関する労働損失日数を30%減少すること 

 2000年8月にHSCは、安全衛生対策の再活性化基本原則を樹立した労働衛生確保共同イニシアチブを発表したが、これは業務上の疾病問題の対策について、より特化したものとなっている。このイニシアチブには、英国の業務上の疾病発生件数を減少するための次の特別目標が含まれている:

■  2010年迄に職業活動に従事する人々の疾病発生割合を20%低減すること 

■  現在、業務上の疾病により働いていない人々が、職場復帰のリハビリテーションの機会についての知識を確実に持つようにすること 

■  現在、業務上の疾病により働いていない人々が、職業復帰の準備及び仕事を見つける機会についての知識を確実に持つようにすること 

  又、この戦略には目標達成に役立つ次のような重要なプログラムが設定されている。

■  業務上の疾病をカバーする法令を改正すること

■  労働衛生基準の向上を図るようにすること

■  調査研究を通じて、労働衛生知識の獲得に努めること 

 一方、HSCの2010年迄及びそれ以降の英国新労働安全衛生戦略の中で、労働衛生は重要事項の一つとして焦点があてられている。2004年2月に発表されたこの対策では、将来HSCが労働安全衛生基準をどのように改正しようとしているのかについて述べている。特に、業務上の疾病対策については、依然として実施しなければならない重要な作業があり、従前の職場監督実施という介入方法は、安全面の取り組みに比べて労働衛生面では効果が少ないのではないかという認識がある。この結果、HSEは、この対策では今後、新規に発生する労働衛生リスク評価に更に力を入れる旨発表している。

 これに含まれるものには次のようなものがある。

■  労働衛生支援体制についての規程を地方、地域、及び産業部門で策定するために公的部門及び民間部門におけるパートナーシップを形成すること

■  労働衛生サービスについての認識を高め及び需要を喚起し、並びに零細企業及びこの他の手が届きにくいグループに影響を及ぼす方法を考察すること

■  労働組合、事業者、保険業者及び労働衛生専門家と共同で、病気中の労働者及び傷害を被った労働者のリハビリテーション向上を図る 


  同時にHSEでは、事業者が業務上の疾病原因に対処する際に役立つ多くのイニシアチブに取り組んでいる。例えば2004年10月HSEは、事業者が長期間に渡る病欠者を管理するための新しいオンラインリソースをスタートさせた。このリソース・・・www.hse.gov.uk/sicknessabsenceで見ることができる・・・には、優良事例アドバイス及びガイダンスリーフレットが含まれていて、事業者と労働者が長期間の病欠者を管理できる方法及びこれらの病欠から・・・原因が何であれ・・・出来るだけはやく職場復帰することができるよう援助するための方法について説明している。

 同時に、2003年8月HSEは、企業が労働衛生支援を得る時の税金対策についての理解を目的とした新しいリーフレットを発行している。このリーフレット・・・HSEのウェブサイトwww.hse.gov.uk/pubns/ohindex.htmで見ることができる・・・では、事業者が健康スクリーニング及びカウンセリングサービスといったある種の労働衛生サービスを、労働者に提供する時の経費に関する税金削減要求方法について説明している。

 更にHSEは又、事業者の業務上の疾病問題対処方法について広範囲にわたるオンライン・リソースをスタートさせている。これには、天然ゴムラテックスばく露に伴う健康リスクに対する認識向上を目的としたウェブページwww.hse.gov.uk/latexが含まれている。この物質は手袋によく使用されていて、医療関係従事者を初めとする労働者に喘息及び皮膚病にかかるリスクを与える可能性がある。

 一方、建設産業の代表者達は最近、建設業界に労働衛生支援を提供する新しいパイロット計画をスタートさせた。この建設業健康改善パイロット計画は、2004年10月に開始され、レスターシア州地域の中小企業の建設業者及びこの地域で働いている労働者に、無料で個別のアドバイスを提供するものである。この計画では、事業者が現場リスクアセスメントの実施及び建設労働者の健康事項についてのアドバイスを無料で受けることができるものである。この計画の詳細情報は、www.fitbuilder.comで見ることができ、担当者達は、将来は全国に拡大することを望んでいる。

 2001年11月、National Health Service(NHS)は、NHSプラスという企業の労働衛生管理改善のための新しい組織をスタートさせた。この組織は、英国全土にある90のNHS病院を通じて広範な労働衛生サービスを事業者に提供するためのものである。

 このサービスには次のようなものが含まれる。

■  雇用前の健康評価

■  危険有害物質衛生管理規則(Control of Substances Hazardous to Health Regulations(COSHH))にのっとった健康調査

■  注射針刺し事故管理

■  聴覚及び視覚スクリーニング

■  業務上の疾病及び病気欠勤に対する医学的アドバイス


業務関連疾病にどの位の人が罹っているか?
 

資料出所: 家庭調査:自己申告による2001/2002年度の業務上疾病件数(HSE)


法令と労働衛生 

 労働衛生に、このような幅広い種々の状況が含まれているということは、全ての事項をカバーするような唯一の規制は存在しないということである。しかし、密接な関係がある法令としては、健康に有害な物質管理規則2002(Control of Substances Hazardous to Health Regulations(COSHH2002))及び労働安全衛生管理規則1999(Management of Health and Safety at Work Regulations 1999)があり、この2つの規則では、特別な化学物質によって従業員がばく露される場合リスク評価の実施を全ての事業者に要求している。特にCOSHHの目的としている点は、職場の以下に掲げる健康問題の原因となり得る化学物質と接触する全ての人々の安全・衛生・福祉を保護することである。

■  油等との接触による皮膚の炎症、皮膚炎あるいは皮膚ガン

■  喘息・・・塗料及び接着剤に含まれているイソシアネート感作による

■  ガン・・・これは、ガン原性化学物質の初期ばく露後、長年経って現われることがある

■  死傷災害原因となり得る有毒ガスに侵される

 この他、労働衛生管理に関する他の法令もある。これらには、人力作業規則1992(Manual Handling Operation Regulations 1992)(人力作業による特別リスク評価を事業者に要求しているもの)、及び職場騒音規則1989(Noise at Work Regulations 1989)(職場での高い騒音レベルから労働者を保護することを要求しているもの)がある。その他、鉛、アスベスト及び電離放射線による健康影響は、夫々単独の規則により全てカバーされている。

一般的な法的要件 

 上記に概略を記した特別責務の範囲としては、労働安全衛生法にこの他の一般的な義務が補足されている。特に事業者は次のことを実施する法的責務を有している。

■  労働者に対する職場での業務上の疾病リスクを評価すること

■  労働者に対し、確実かつ適切な情報の提供、教育訓練の実施及び管理監督の実施を行うこと

■  危険有害化学物質及び危険有害状態への労働者のばく露を防止、あるいは抑制すること

■  管理対策が確実に利用されて維持されていること

 又事業者は、労働者に適切な健康調査を実施提供しなければならない。労働者はこの件に関し、事業者がこの要件を満たすことができるように十分協力することが求められている。従って、労働者がリスクアセスメントプロセスに参加することが重要である。労働者は、職場のハザードについて質問するのに最適な人々であると思われ、リスクアセスメント実施時に、事業者が労働者に相談することは有益なことである。

リスクアセスメント 

 職場リスクアセスメントには、次の5つの主要なステップがある。

■  ハザード、作業内容及び作業実施方法について情報を集めること

■ 

健康へのリスクを評価すること


■  リスク防止あるいはリスクコントロールのために実施しなければならない対策を決定すること

■  自明ではなかったり、あるいは簡単に繰り返すことが出来なかったりする場合、アセスメント方法を記録すること

■  定期的に、あるいは重大な変更が行われる時にはアセスメントを見直すこと
どの位詳細にアセスメントを実施するかは、リスクの程度、管理対策の適切さ及び以前のアセスメントにより得られた知識によって異なる

  リスクアセスメントとは、特別な状況下で何が適切で、何が適切で無いかを事業者が決定しなければならないことである。一旦リスクアセスメントが実施されたならば、問題のある健康リスクは、例えば作業を別の方法で実施するということにより、全て取り除かれなければならない。しかし健康リスクを完全に取り除くことが出来ない場合には、事業者は、リスクにばく露される人数を限定し、個人用保護具(PPE)を使用するといったような管理対策を導入しなければならない。

工業用溶剤 

 HSEによると、ほぼ毎日、250万人以上の人々が、有機溶剤を使用しているドライクリーニング業及び印刷業というような多様な産業界で働いている。有機溶剤とは、その他の化学物質を溶かしたり、希釈したりする溶媒として使用されている化学物質を言う。職場で使用される多くの一般的製品・・・クリーニング剤、接着剤及び塗料除去剤というような・・・にも有機溶剤が含まれている。

 労働者が有機溶剤に長い間ばく露された場合には、多くの職業性疾病を被るおそれがある。又、有機溶剤に接触した方法、及びばく露期間の長さが人々の症状進行に伴う疾病のタイプを決定する重要な要因となる。有機溶剤吸入あるいは、皮膚吸収による直接的影響としては、頭痛、吐き気、眩暈、及び眼の刺激がある。液体有機溶剤は、皮膚炎を初めとする皮膚疾患の原因となる皮膚乾燥を引き起こす可能性がある。又、有機溶剤は腎臓、肝臓及び皮膚へのダメージを初めとする長期間にわたる健康問題の原因となり得る。この長期間の影響としては、頭痛及び吐き気というはっきりとした症状を、常に、伴うものでは無いようである。

有機溶剤によるばく露ハザードの抑制 

 工業用有機溶剤使用によるリスクから労働者を保護するために、事業者が実施する最良の方法は、ばく露を抑制することである。このため事業者は、以下に揚げるようなCOSHHによるリスクアセスメントを実施し、多くの管理対策を導入しなければならない。

■  可能な限り、有機溶剤を含む製品の使用を回避すること

■  できれば有機溶剤を使用していない材料や、より安全な有機溶剤を使用すること

■  換気装置により、作業区域から有機溶剤による蒸気を除去すること

■  自然換気が適切であるような場所ではドア及び窓を開放しておくこと

■  不必要な有機溶剤の蒸発を防止するため、容器を密閉し、作業に必要な最低限の量だけを使用すること

■  給気式やろ過式といった呼吸器用保護具を使用すること

■  最終的な方法として、労働者に保護衣を提供すること

 労働者は有機溶剤が皮膚に接触した場合には、できる限り早く洗浄しなければならない。又、アフターワーククリーム(有機溶剤との接触により失われた自然の皮膚油層を取り戻すことができるもの)の利用も効果的である。

 更に、事業者は有機溶剤が事故により漏洩した場合の処理方法について労働者に適切な教育訓練を受けさせ、漏洩処理機材が置かれている場所を確実に知っているようにさせなければならない。

 新しい有機溶剤が定期的に職場に搬入されるような場合、有機溶剤かもしれない、あるいは見慣れない有機溶剤を含んでいるかもしれないと考えられる化学物質に遭遇する労働者は、その安全な使用法に関して、事業者にアドバイスと情報提供を要求すべきである。

アスベスト 

 毎年、少なくとも3,500人もの人々が、過去におけるアスベスト粉塵作業のばく露による疾病で死亡している−これはHSEによると、英国での業務上の疾病死亡の、単独原因として最大のものであるとのことである。

 しかし、アスベスト関連疾病の徴候は、アスベスト繊維への最初のばく露から長い期間・・・15年から60年という期間後・・・を経てから現われる。アスベストは、1950、60年代に一般的に最も頻繁に使用されていたが、アスベスト関連死亡災害は、2010年から2015年の間がピークになるということにはならない。その時にはアスベスト関連ガンの中皮腫だけで年間2,500人もの人々が死亡するものと思われる。

 アスベストは、損傷したり、ほころびたりすると、大変細い繊維になるものである。これらの繊維を吸入すると、次のような多くの疾病原因となる。

■  石綿症あるいは肺の繊維症

■  肺ガン

■  中皮腫・・・胸壁あるいは腹腔の内層にできるガン

 英国では、あらゆる種類のアスベストは、大変重要な場所への利用を除いては、使用が禁止されている。それにも関わらず、HSEでの見積りによると、約50万箇所の商業施設及び公共施設には、依然としてアスベストが含有されているおそれがあるとのことである・・・例えば、保温材あるいは天井タイルの部分。

 この結果、2004年5月にアスベスト管理作業規則2002(Control of Asbestos at Work Regulations 2002(CAW))が、事業者の新しい法的責務として導入され、施設内のアスベストリスク管理の実施が要求されている。修正されたCAW規則の下で、事業者と作業施設等の管理に責任を有する人々・・・管理代表者等・・・は、今や管理下にある施設内にアスベスト含有資材が存在するか、あるいは存在する可能性がある場合には、その存在を特定する合理的な対策を実施するという特別な法的責務を有している。

 更に事業者には、次のことを実施することが要求されている

■  何らかのアスベスト資材の場所について最新の文書記録を保存すること

■  全ての資材にアスベストが存在しないという証拠が無い場合には、アスベストが含まれている可能性があると考えること

■  他の人々がアスベストを特定できるように、アスベストを含む可能性がある資材に関する十分な情報を書き留めること。書き留める内容としては、どの位の量のアスベストが存在し、どのような形で含まれているかという点等があげられる

■  アスベストが崩れ落ちないように、アスベスト資材の状態を確実にモニターすること

■  これらのリスクコントロールに対する管理計画を準備、実施すること

 この計画は、アスベストを拡散するおそれのある人々に、アスベストの場所と状態のデータを確実に提供するものでなければならない。事業者の新しい法的責務順守を支援するため、HSEは、施設内のアスベスト管理に関する新しいACOP(Approved Code of Practice)とガイダンスを発表した。

 新しいウェブサイトhttp://www.hse.gov.uk/asbestosに、規則の詳細情報が提供されている。

職業性皮膚炎 

 感染症ではないけれども、皮膚炎として知られている皮膚疾患は、事実上、全ての企業及び産業部門に影響を与えている問題である。事実、HSEの積算したところでは、英国では仕事が原因となった皮膚疾患は、39,000件となっていて、一方、2001年から2003年の間、職業性皮膚疾患としては、毎年平均して新規に3,600件…この80%は接触性皮膚炎であった…が専門医により診断されている。

 皮膚炎は、有機溶剤、セメント及び印刷用インキというような、ある種の化学物質が皮膚との接触により引き起こされる。皮膚炎は、労働者がある種の粉じん、液体、及びヒュームに接触することにより、顔、首、及び胸にも現われる可能性がある。症状としては、皮膚が赤くなったり、水泡ができたりする。…そして悪化した場合には…皮膚がひび割れたり、出血したりする。更に疾患は全身に広がる可能性がある。しかし、皮膚炎防止のために適切な防止対策が実施される場合、あるいは早い段階で発見される場合には、殆どの人々は完全に治癒する。

 皮膚炎がいつ発生するかについて述べることは必ずしも簡単なことではないので、事業者は職場での皮膚炎による一般的なリスクを評価しなければならず、且つ、そのリスクを削減する対策を実施しなければならない。例えば事業者は、皮膚炎症を起こさない別の化学物質を使用するとか、作業工程を自動化することで化学物質との皮膚接触をしないようにすることである。

 しかし、事業者がこの対策を採用することができない場合には、他の方法で労働者保護が可能であるということを労働者が必ず知っているようにしなければならない。これらには、次のような対策が挙げられる:

■  手袋や顔マスクといった適切な個人用保護具(PPE)を着用すること

■  労働者が手足を洗浄する場合、あるいは洗剤及び有機溶剤に接触する場合、皮膚から失われた自然の油に置き換えるため、作業の初めと終わりにしっとりとしたクリームを使うこと

■  職場及び職場内の機械設備を必ずきれいにしておくこと

 更に事業者は、労働者に、化学物質によって引き起こされる皮膚炎の安全情報を提供し、労働者のPPEの使用とメンテナンスについて適切な教育訓練を実施しなければならない。最終的に事業者は、労働者が深刻な皮膚炎の原因として知られている化学物質を取り扱う場合、定期的に皮膚チェックを実施しなければならない。

 一方、HSCは、職業性皮膚炎の多くの症例を一層削減するする計画として、英国の建設業で一般的に使用されているクロム濃度の高いセメントの使用禁止を実施しようと考えている。この提案によると、このセメント…これは、皮膚と接触した場合には、アレルギー性皮膚炎の原因として知られている…を企業が供給、使用することは、将来、違法となる可能性がある。

 HSCによると、この禁止…2005年1月に施行予定となっている…には、高いクロム濃度のコンクリート、モルタル、グラウト及びタイル接着剤が含まれる。

 このセメントに含まれる六価クロムは、製造者が還元剤…もしセメントが正しく貯蔵される場合、6ヶ月間効果が持続する…を加えることにより、安全レベルまで低下させることができる。しかしHSCによると、セメントが完全に自動化され、かつ作業工程が完全に密閉化されて使用されている場合、つまり人々が皮膚接触するリスクが無いような場合には、この禁止条項は適用除外になるとのことである。

手・腕の振動障害 

 しかし、危険有害物質だけが重大な職業性疾病の唯一の原因ではない---事業者は又、可搬型動力工具による振動で、重大な疾病状態を助長するようなリスクを労働者に被らせないように対策を講じなければならない。

 日常的にグラインダー、コンクリートブレーカーといった可搬型動力工具を使用する労働者は、手・腕の永久的な障害を生じるおそれがある。振動にばく露されるこの状態は、手・腕の振動障害(Hand-arm vibration syndrome (HAVS))として知られている。HAVSが進行すると労働者の指は白くなり、痛みを伴い、機敏さを失い、そして作業に支障が生じるという振動白ろう病を初めとする健康障害の影響を広範囲に渡って受け、衰弱させられる。

 HSEによると、英国では500万以上の人々が定期的に手・腕振動業務にばく露されており、約200万人の労働者がその結果として、健康障害を促進するリスクを被っている。

 職場のHAVS対策として、事業者は可搬型動力工具によってもたらされるリスクを評価し、そして強い振動をもたらす機器を使用しない作業ができないかどうかを考慮しなければならない。事実、作業用機器供給使用規則1998(Provision and Use of Work Equipment Regulations 1998)では、作業用機器を選択する際には、振動発生について考慮するという責務を事業者に課している。しかし業務の必要上、強い振動を持つ機器を使用しなければならない場合は、事業者は、以下の対策を講じなければならない。

■  振動発生が最小限になるような作業用機器を選ぶこと。例えばある種の最新のニューマチック工具は、振動を低減するために設計された特別な握りを備えている

■  作業用機器の適切なメンテナンスを実施すること

■  労働者に保護手袋のような適切なPPEが確実に供給されるようにすること

■  工具類の適切な握り方、手・腕に直接伝わる振動を低減する方法及び手・腕の血液循環を良好にするような方法について労働者に適切な教育訓練を実施すること

  更にHSEによると、全身振動(whole body vibration (WBV))に定期的にばく露・・・例えばトラクターやフォークリフトといった工業用車両の運転者に影響を与える・・・されると背中や腰に痛みが発生するという。しかし手・腕の振動(Hand-arm vibration (HAV))及びWBVの有害要因に、ばく露される作業に従事している人々の保護対策として、HSCは、振動ばく露管理に関する新しいEU指令を英国法令として導入する準備を進めている。

 この提案された振動作業管理規則(Control of Vibration at Work)・・・2005年7月に施行される予定である・・・は、全体として振動リスクを削減する対策を、合理的に可能な限り実施することを事業者に要求するもので、例えば機器を交換したり、作業方法を変更したりすることが挙げられる。もしこのようなことが実施できない場合は、合理的に実施可能なレベルまで、振動リスクを低減することを要求するものである。

 更に事業者は、以下の点を実施しなければならない。

■  労働者が振動による有害レベルにばく露されているかどうかを特定するリスクアセスメントを実施すること

■  労働者の日常の振動ばく露が、ばく露アクション値(exposure action value(EAV))を超えていると思われる場合には、常に正式な管理対策プログラムの導入を行うこと…EAVとは、労働者の8時間労働の平均ばく露に基づき、事前に設定された正常な振動レベルを言う

■  労働者が特別ばく露制限値(specific exposure limit value(ELV))を超えて、振動ばく露にさらされないようにすること…ELVとは、ばく露リスクが容認できない程高いと考えられる水準をいう

 今回の提案によると、労働者が作業時にELVを超える際にはいつも、事業者は、振動ばく露レベルを低減する対策を直ちに講じなければならない。そして、今後とも労働者が、この制限値を超えて作業しないようにしなければならない。この提案によると、事業者は、8時間当たりの労働者の振動ばく露を通常測定しなければならないということになる。しかし、一定の状況下では、事業者は、ある一日を見ると、異常な高振動ばく露作業に従事することのある労働者については、一週間当たりの平均振動ばく露を測定すれば良いとされている。これは、次のような場合適用されることになるだろう。

■  労働者の日常のばく露が通常EAVより低い場合

■  労働者のリスクが週当たりのELV振動ばく露よりも低い場合

■  労働者が健康調査水準以上の検査を受ける場合…この要件は、HAVの場合にだけ適用される

 更にHSCによると、事業者は必ずしも振動ばく露レベル…例えば、機器のメーカーによって提供されているデータ…が振動レベルに関するこの他の情報源により、EAVあるいはELVを超えているかどうかを決定する際には、振動ばく露レベルを測定することを、常に求められてはいるわけではない。又、WBVばく露がこの水準では健康リスクをもたらすという証拠はほとんど無いため、事業者がEAVに対するWBVばく露を詳しく評価することは求められていない。

 手及び全身の振動のEAVsは、2005年7月にこの基準が法制化される場合に施行されるが、この法案によると、事業者が振動ばく露を削減あるいは低減するための新しい作業方法を導入するための猶予期間が設けられており、メーカーにもELVsを順守しなければならなくなる前に、新規の低振動機器設計の開発のための猶予期間が与えられている。

 このことにより、事業者は、2007年7月以降、初めて、作業に使用する新しい機器については、2007年7月迄、手及び全身の振動に対するELVs順守が猶予されている。この一方で、2007年7月現在、既に使用している機器については、2010年7月迄、HAV及びWBVの制限値順守が猶予されている。

 加えて、2007年7月以降に使用される中古機器、あるいはリース機器で、この期日以前に他の労働者が使用している場合においては、2010年7月迄は、ELVsを順守する必要はない。

 一方、農業及び林業部門で使用されている機械については、2014年7月迄WBV制限値を守る必要はない。しかし事業者には、合理的に実施可能な限り、HAV及びWBV両方のばく露を低減することが求められている。上記に概略を記した移行期日は、事業者がELV以下に機器の振動レベルを低減することができない場合にのみ、適用となる。

 最後に事業者には、HAVばく露リスク…例えば労働者がEAVを超えた振動レベルにばく露されている場合…がある労働者に対する適切な健康調査を実施することが求められている。しかし、WBVばく露を腰痛の特別症状の原因とすることはできないので、HSCでは、事業者がWBVの正式な健康調査を実施することは適切ではないと思われるとしている。

 HSCは、2005年中に新規則の順守方法に関する事業者向ガイダンスを発行する予定である。

職業がん 

 HSEによると、英国のがん全体による死亡者の4%は、業務上のものであるとのことである。いわゆる石綿は職場における唯一のがん原性物質ではないということである。

 がん原性の可能栄のあるほとんどすべての物質は、がんの原因となり得るということをラベルに記すことが法で義務付けられている。

 現実には、発がん性物質によるリスクがある状況下で、がんにつながるかどうかは、以下に揚げる多くの要因にかかっている。

■  その潜在的な強さと濃度

■  その形状・・・例えば、硬材の粉じんは発がん性があるが、固形状(非飛散性)の硬材はそうではない。

■  職場での作用

■  ばく露レベルとばく露期間

 特に、皮膚がんのリスクは長い間・・・例えば農業分野や建設分野のように・・・屋外で働く人達にあり、この分野の労働者は、太陽の紫外線に長時間ばく露されると皮膚がんに発展するリスクがある。従って事業者は、労働者がよく日焼けする頭部及びその他の身体部分を確実に保護するため、適切な衣服を着用させなければならない。

 職業がんのリスクがありそうなこの他の労働者グループとしては、電離放射線のばく露をうける労働者・・・例えば歯科看護師や鉱山労働者・・・がある。電離放射線規則1999(Ionizing Radiations 1999)では、事業者が以下の事を実施するよう義務付けている。

■  有害な放射線レベルに労働者をばく露させないこと

■  電離放射線業務については事前にHSEに届け出ること

■ 

合理的に実施可能な限り、労働者を放射線に、ばく露させないようにすること


■  特別な目的のためにX線を使用する際には、事前にHSEの許可を得ること

職業性喘息 

 HSEによると、英国では仕事が原因で、あるいは仕事によって悪化した呼吸器及び肺にかかわる問題で、現在16万人以上の人々が苦しんでいると考えられるとのことである。

 さらに、職場の有害物質ばく露による職業性喘息の新患が、毎年平均650件発生している。

 この症状の多くは、咳がして、又は、胸がぜいぜいして緊張状態になり、喘息患者を苦しめるものである。最初、感作してから直ちに、これらの症状が現われる人もあるが、しかし、感作数時間後では、ばく露症状を体験したということだけで終わる可能性の人もいる。

 多くの物質が、吸入時に喘息原因となるアレルギー反応を引き起こす可能性がある。このような物質には次のようなものがある。

■  接着剤、レジン及びはんだのヒューム…金属製品製造業及び印刷業に従事する労働者に影響を及ぼす

■  化学物質、とりわけイソシアネート類…化学工業の労働者に影響を及ぼす

■  小麦粉及び穀物による粉じん…これらを取り扱うパン屋及び精粉業で働く人々

■  紅茶及び豆類…食品加工業で働く労働者に問題となる可能性がある

 事業者は職業性喘息を引き起こす物質へのばく露を防止する、あるいは適切に管理するための対策を実施することがCOSHHにより求められている。特に事業者は、ほかの低有害性物質の代替使用について検討しなければならないとされている。また、喘息発生源となる物質によるばく露を防止するため、排気装置の設置、作業工程の密閉化などについても検討しなければならない。これらの対策によっても、依然として、ばく露抑制ができないような場合、事業者は最終的な対策として、空気呼吸器のような適切な呼吸器用保護具を労働者に提供しなければならない。

 しかし、HSEは、職業性喘息の発生規模を更に減少させる企みとして、2002年12月、疾病を引き起こす物質の抑制に関する新しい認定実施基準(Approved Code of Practice (ACoP))を公表した。

 このACoP…COSHH規則ACoP附則という形で公表された…は、事業者に新しい法的責務を課すものではない。しかし、このACoPでは事業者がCOSHHによる法的責務を順守する際に役立つようにと、職業性喘息を引き起こす物質によるばく露を抑制する方法について実用的なアドバイスを提供している。特にこのACoPでは、事業者がCOSHHによるリスクアセスメント実施時に考慮すべき多くの要因を設定している。その要因としては、次のようなものが挙げられる。

■  喘息を引き起こす物質のばく露にさらされる可能性のある全ての労働者…メンテナンス労働者のように、短時間に高レベルにばく露される可能性のある人々も含む

■  既に職業性喘息に罹っていると思われる労働者の中には、極めて低いレベルでの感作症状が見受けられるだけで、簡単には症状が特定できないおそれがある

■  労働者が職場での物質にばく露されることによると思われる喘息にかかっているかどうかについては、リスクアセスメントにより再点検する必要がある

 更に、事業者が実施したリスクアセスメントにより、労働者が職業性喘息を引き起こす物質にばく露される可能性があるということが判明した場合、事業者は健康調査を実施しなければならない。又事業者は、疾病の症状及び今後の長期的健康影響に関して、労働者に情報を提供し、教育訓練を実施しなければならないということがACoPで明らかにされている。

職業性喘息の主な原因
 

 

職場のストレス 

 HSEによると作業関連性ストレスにかかる人達の数が、1990年から2002年の間に2倍以上と増加し、業務上疾病原因のうちで第2位を占め、毎年1,340万日という驚くべき労働損失日数となっているとのことである。事実、HSEの統計によると、50万人の労働者が、具合が悪いと感じるストレス・レベルを経験しており、約500万人の労働者が、職場で高いストレスを受けているとのことである。問題は社会的コスト面にもあらわれ、労働損失日数が平均29日間という作業関連性ストレス事案で年間38億ポンドにも上るものと見られる。

 とはいえ、HSEは、作業関連性ストレス事案を減少させる対策として2004年11月に新管理基準を発表した。この基準は、労働者間の職業ストレス・レベルの低減度合いを測定する物差しを事業者に提供し、改善分野を特定しようとするものである。

 この自主的基準…HSEのウェブサイト:www.hse.gov.uk/stressで見ることができる…は、法的ガイダンスではない。しかし、この基準はストレス・リスクアセスメントを簡素化して、事業者、労働者及び労働組合が職場ストレス・レベルを低減するために共同で取り組みやすいようにするということを目的に策定されたものである。

 特にこの基準には適切な管理を実施するに当たって、作業関連性ストレスを低減するのに役立つ6つの重要な作業局面が盛り込まれている。これらのストレス要因としては要求、つまり労働者が夫々の仕事の要求に対応可能であるかどうか、そしてサポート、つまり労働者が適切な情報を受け取り、同僚や上司からサポートされているかどうかというような分野が含まれている。

 更にこの基準の特色としては、達成される一連の状況、つまり事業者が6つのストレス要因全てが会社内で効果的に管理されていることを確認しなければならないという点にある。このことは、労働者にとって達成可能な要求とは、自分達の納得した労働時間に見合う作業であるかどうか、できれば労働者が自分の作業ペースをコントロールできているかどうかを確認することを言う。

 管理基準は発表されたが、職場でのストレスに取り組むための特別な法規は存在していない。しかし、労働安全衛生法(health and safety law)では事業者の一般的責務として、労働者が持続的なストレス、あるいは過度のストレスがないようにするという合理的な対策を確実に実施することが要求されている。このストレスとしては、作業方法によるもの、労働者が共同で実施する作業方法によるもの、あるいは日々の要求によるものが挙げられる。

 例えば、事業者は危険有害物質、あるいはその他の職場ハザードに対処する場合と同様に、ストレスにも真摯に対処すべきである。ストレス症状は、身体面にも行動面にも現われる。身体面の特徴としては、心拍数の増加、首や肩の痛み、感染への抵抗力の低下などがあり、行動面の徴候としては、不安、イライラ、集中力の欠如、不眠症などが挙げられる。

 労働者のストレス原因としては、次のようなものが挙げられる。

■  激しい、あるいは長引くような作業プレッシャー

■  プレッシャーに対応不可能な雰囲気

■  要求過剰な作業計画

■  性的、人種的ハラスメントを初めとした個人間で直面する問題

■  管理側の無関心さ

■  作業環境設計のまずさ

 職場で事業者が取り組むストレス対策としては様々なものがある。例えば、労働者間の個人的ストレス及び集団的ストレスを低減するためには、事業者が気配りと思いやりを示すことが必要欠くべからざるものである。更に労働者と事業者間での良好なコミュニケーション・チャンネルの構築と同時に、言行一致で従業員に対処することがストレス・レベル低減に役立つことになる。

終わりに 

 英国労働者に影響を与える多くの業務上疾病としては、上述した分野のほか、例えば不安全な姿勢での人力作業による筋骨格系障害、あるいは過度の騒音ばく露による聴力損失がある。

 しかし、事業者は、例えどのような健康リスクの型が職場にあったとしても、確実に、労働者が健康ハザード…危険有害物質、あるいは過度にストレスの多い作業環境による…にばく露されないようにする責務がある。事業者は、リスクの評価、及び労働災害防止対策の実施により、労働者の業務上疾病を抑制し、生産性の向上及び補償請求の低減により、利益を得ることができる。

参考文献 

(省略)

サプライヤー一覧

(省略)

問い合わせ先一覧  

(省略)

最終チェックリスト

(省略)

 



この法律のオリジナル(英語)は国際安全衛生センターの図書室でご覧いただけます。

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