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英大蔵省レビュー:監督官庁の業務見直し
"Regulators must concentrate on giving advice, says Treasury review"

資料出所:Job Safety Management
January 2005

(仮訳 国際安全衛生センター)



 「監督官庁は、リスクの低い業種に対しては相談業務に力を入れ、監督業務は少なくするべきである」という大蔵省レビューが発表された。これは、規制が英国企業に与える管理面での負担を低減する手法を調査したものである。
 この提案は、HSE(安全衛生庁)、EA(環境庁)及びその他57の国家機関が、事業者への規制をどのように実施しているかについて、8ヶ月にわたり、200以上の企業に相談したレビューの中間報告書である。

規制の効率性

 2004年12月に発表されたこの報告書−管理面の負担軽減:効果的な監督業務と執行−によると、最近規制の効率性は増しているが、依然として改善が必要であるとのことである。
特に報告書では、監督官庁は、相談業務と監督業務のバランスを変えなければならないとし、相談業務にウェイトを置くべきであるとしている。その理由として、特に小企業に対しては、優れた相談により、より効果的な規制が行われるとしている。
 さらに報告書によると、監督官庁は、最も得意とする監督業務に専念して、最も危険な業種に目標を定めたリスクアセスメントの手法を用いる必要があるとしている。一方、事業者達は、このレビュー(英国のスーパーマーケット・チェーン・セインズ・ベリーズの社長フィリップ・ハンプトンが議長を務めた)に対し、次のように述べた。
 今ある指針(ガイダンス)は有益であるが、多過ぎて、小規模事業場には消化、理解できない情報となっている。
 報告書によると、現在の複雑な規制情況により事業者は、規制順守は無理だとあきらめて、単に努力すれば良いとしているということである。
 レビューには、この結果、HSE及びその他の監督官庁は、事業者が知らなければならないこと、及び法順守方法に関する業種別ガイダンスを提供する必要がある旨明記されている。
 その他の提案としては、次のようなことが報告書に述べられている。

企業が作成しなければならない多くの様式を簡素化し、その数を減らすこと。
法順守のためのインセンティブをより効果のあるものとすること。一方で、悪徳企業に対する罰則体制強化を行うこと。
異なる監督官庁が共に仕事ができるように、業務改善を行うこと−例えば情報の共有化及び共同教育訓練による。

 しかし報告書によると、多くの提案は、既存の考え、つまりHSCの2010年までとそれ以降の安全についての戦略(HSC's Strategy for safety to 2010 and beyond)に定められているものの繰り返しに過ぎないと述べている。
 英国労働総連合(TUC)の事務局長ブレンダン・バーバー氏は、この報告書に対し、次のようにコメントをしている。
 労働組合は、規制緩和が労働者に悪い影響を及ぼさないように監視することになる。規制が、より良く運用されることについて反対する人はいない。しかし今回のレビューにより、労働者を保護する重要な対策が損なわれることがないように我々は見守っていると語った。
 政府への勧告を記述した最終報告書は、2005年春に発刊される予定である。

 関係ウェブサイト:www.hm-treasury.gov.uk