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安全管理実績を反映していない労災保険料

資料出所 : Safety Management
November 2005
(仮訳 国際安全衛生センター)



  英国エンジニアリング事業者連盟(Engineering Employers' Federation , EEF)はその最新の調査で、安全衛生が優良な企業は、必ずしもそのパフォーマンスに見合うだけの事業者責任保険料の低減が見込めるわけではない、と発表した。

 製造業者の業界団体は、第三者認証を得た安全マネジメントシステムを有しても、事業者責任保険料の低減には結びつかないと考える企業が70%以上にものぼるとしている。

 

保険料の乱高下

 この最新の調査では、事業者責任保険料水準の激しい変動も指摘され、上昇率と下降率の最大は、それぞれ、273%と73%と報告されている。

 一方で2005年7月に800あまりの企業を対象に実施した調査では、そのうちの62%が過去数年にわたり、保険料を据え置いたり、低減してきたと報告されている。

 これは、事業者の10人に9人が高額の保険料に悩んでいるとEEFの調査で報告された2004年度の結果に比べると著しい改善である。

 しかし同連盟は、保険料低減の恩恵を主に受けてきたのは大企業であって、中小企業は上昇する保険料を負担することになったと語っている。

 英国エンジニアリング事業者連盟安全衛生環境部長ゲーリー・ブートン(Gary Booton , the EEF's Derector of Health, Safety and Environment)は「保険料の水準が改善されているにもかかわらず、現行制度の徹底的な改革を主張する声が上がっている。金銭的な補償の方を重視して、リハビリによる職場復帰を軽視する制度が会社にとって最大の利益となるわけではない」とコメントしている。

 

積極的な取り組み

 また、ブートンは、「とりわけ、政府はリハビリテーションの概念を推進する文書を数多く発行しているが、問題解決にすすんで取り組もうとはせず、この分野でのリーダーシップもとり損なっている」と補足している。

 同連盟は、金銭的な補償ではなくリハビリテーションをシステムの中心にすることを政府に要請した。

 また同連盟は、現在、保険受給者に支給される補償金の60%ほどに達している補償請求の処理に要する経費を提言する必要があるとも補足している。