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廃棄物−環境に対して有害であり、収益に対しても有害であるもの
Waste-Hazardous to the Environment,Hazardous to Profits

資料出所 : Safety Management
May 2006
(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日:2006.11.22

 編注
イギリスに於いて法改正の結果、廃棄物処理費用が急激に上昇するのに対抗して、企業が廃棄物を減らして費用を節約するための具体的対策が述べられている。我が国でも良い参考になると思われる。

2005年7月、イングランド、ウェールズ、及び北アイルランドにおける有害廃棄物法(hazardous waste law)が大幅に改正された結果、廃棄物処理費用が急激に上昇することになった。どうしたら企業が廃棄物を最少化して費用を節約することができるかを、ポール・リーヴが以下に説明する。

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有害であると分類された廃棄物は、2005年有害廃棄物規則(Hazardous Waste Regulations 2005)の対象となることになったが、この新しい規則ではまた、「有害」の分類が例えばコンピュータ用モニターや蛍光灯といったものにまで拡大されている。産業界は、この煩雑な法的要求事項を着実に受け入れてきてはいるが、一方、有害廃棄物をなくするか減少させることにより、重要な金銭的メリットが得られることも事実である。有害廃棄物を処分する費用は、相当程度上昇しており、この記事では有害廃棄物の発生を抑えるためのいくつかの成功例を概観する。

有害廃棄物を最少にする。

通常、有害廃棄物の減少を達成する最善の手段は、設計、代替又はプロセスの効率化などである。英国の「Envirowiseプログラム」(廃棄物の減少に関するベストプラクティスの主要情報源、新しいウィンドウに表示しますhttp://www.envirowise.gov.uk)によれば、廃棄物最少化を有害廃棄物に適用できる対象分野は、原料、廃液、梱包(梱包の種類によっては有害物質を含んでいる)、及びその他の固体、液体、空気中に浮遊する廃棄物(溶剤のようなもの)である。

根源で有害廃棄物を減少させることの金銭的メリットは、廃棄物処理や汚染対策に要する設備投資を節減できることに加え、材料費、廃水処理費、廃棄物処理費を節約できることである。

廃棄物最少化対策費用は、何年もかからずに数ヶ月で回収できることが多い。また、廃棄物を最少にすることにより、労働者(及びその他の者)が有害な物質にばく露される可能性から生ずる安全衛生責任も低減されることになる。

すべての有害廃棄物が単純に「本来工程」から生じる廃棄物というわけではない。本来工程から生じるものもあるが、付随的な作業から生じているものもあり得る。効果的に廃棄物を最少化するためには、廃棄物がなぜ生じるかを理解して、廃棄物を減量できる機会を調査することが不可欠である。廃棄物最少化を成功させるために必要な実際的なステップは以下の通りである。

  • 材料の流れを理解する。
  • 廃棄物にかかる真の費用を明らかにする。
  • 改善する対象分野に優先順位をつける。
  • 廃棄物最少化のアイデアが生まれるようブレインストーミングを行う。
  • 選定された選択肢を実行する。
  • 結果を報告する。
  • 廃棄物最少化プログラムの勢いを持続させる。

廃棄物マネジメントのための5つのステップ

有害廃棄物のマネジメントに当たっては、重要な5つのステップがある。これは廃棄物が、発生から処理、再利用、回収にいたるまで責任をもって対処されるようにするためのものである。

  1. 主要な有害廃棄物の流れを特定する。
  2. 廃棄物を分類する。これは法的要求事項であると同時に会計上でも必要なことである。
  3. 廃棄物を排出源で減少させる方法を検討する(優先順位をつけブレインストーミングを行う)。
  4. 廃棄物を排出源で減少させる方法を採用する(設計、調達又はプロセスの効率化により、又は再利用/回収対策を採用して)。
  5. 廃棄物の最少化、又は責任ある処理に役立つよう、分類に従って廃棄物を分別し、保管する。

操業によって発生するくず等は、一般的に「廃棄物」となる。これらの廃棄物の流れは、プロセス効率改善をはじめとする廃棄物最少化活動に先立って把握しておくべきものである。

企業は、まず廃棄物の流れの「初期状態確認」から始めるとよい。これは使用される材料の量、有害廃棄物を含む廃棄物を発生させる工程、及びそれらにどれぐらいの費用がかかっているかを見定めることである。初期状態確認は、そのようにして廃棄物に関して最も深刻である工程に注意を向けさせ、リソースが適切に割り当てられるようにするものである。また、それはどの程度コスト削減の可能性があるかということも示してくれる。

初期状態確認は対象範囲を明確に定めて行うべきである。例えば事業所全体を目標とするのか、或いは一つの工程、一つの作業を対象とするのかということである。

初期状態確認の主な段階はつぎの三つである。

  1. インプットとアウトプットに関して定性的な詳細データをつけた図を作成する(「廃棄物マッピング」として知られている)。
  2. インプットとアウトプットに関して定量的な詳細データを追加する(物質収支が役に立つ)。
  3. 現在行われているプロセス又は作業活動の種類を特定する。

廃棄物マッピング

「廃棄物マッピング」は簡単な調査テクニックであるが、非常に効果的である。廃棄物マッピングでは、ある現場の見取り図が作成され、その区域を歩いて巡回する間にさまざまな種類の廃棄物を特定することができる。廃棄物の発生源は地図の上に色分けした簡単な図で表示される(例えば、有毒廃棄物はオレンジ色のステッカーで、可燃性廃棄物は赤のステッカーで)。これは、次にもっと詳細な定量化を行う前に、既に分かっている、或いは疑われている廃棄物の発生領域に焦点を当てるものである。廃棄物マッピングは、すべてのレベルの従業員に理解されるという利点がある。これは成功が継続するために不可欠な要素である。

廃棄物マッピングを実施したのち、主要な材料と廃棄物を示すために配置図かフローチャートが使用される。最終的に、ある期間に生成する廃棄物の量、廃棄物を発生させる作業、廃棄物の組成がマップによって示されることになる。(組成によって廃棄物が固体であるか、スラッジ状又は液体であるか、及び化学物質であるか、可燃性であるか、腐食性又は有毒であるかがわかるかもしれない)。

もちろん、信頼性の高いデータを取るためには、在庫、プロセス及び廃棄物に関するきちんとした文書が存在していることが必要である。もしこの文書がないようであれば、「継続的改善」の項目の一つとして、「今後そういうものが確実に存在するようにする。」を入れなければならない!

廃棄物マッピングは、重要な変化があればそれを見つけ出せるように継続して行わなければならない。

物質収支

「物質収支」は、どこで材料の損失が発生しているかを見極めるための最もよい方法の一つである。顧客にモノとサービスを提供するときには、全体の行為に関連して多くのインプットとアウトプットが存在している。プロセス中に投入された原材料のうち、最終的なサービス又は製品に含まれない量が廃棄物である。

物質収支には3つの基本的な情報が必要である:

  • 全インプット(例えば購入した材料--費用と量)
  • 全アウトプット(例えばスプレー工程で塗装されたユニット数)
  • 既知の廃棄物量。これはリサイクルされるもの、廃棄物処理に送られるもの等すべてを含んでいること。

物質収支のテクニックは、溶剤などのバルク材について、プロセスの過程での損失(空気中、地中、又は水中へのいずれであっても)を追跡し定量化するような場合には特に利用価値がある。

ある材料のインプットが、アウトプットと既知の廃棄物の合計に等しくない場合は、材料がプロセスの中で失われているのである。これは例えば漏洩か蒸発というようなことであろう。しかしながら、例えば現場で盗まれているというような他の理由もあるかもしれない。それが何によるものであれ、損失を見つけて減少させれば、収益を増加させ、安全衛生上の負担を下げ、必要な原料を減らすことができる。これにより環境影響の減少と金銭的な効率の改善という目的を達成できるだろう。

廃棄物を分類する。

有害廃棄物を適切に処分、再利用又は回収するためには、それらを適切に分類しなければならない。廃棄物の効果的な分類を可能にするためには、現在及び今後の廃棄物処理法令と廃棄物処理テクニックを理解することが必要である。また、再利用・回収された材料を扱う市場の発展状況を調べることも重要である。

廃棄物マネジメントの階層

廃棄物の適切な分類ができれば、一般的に受け入れられている廃棄物マネジメントの「ベストプラクティス」(廃棄物の流れ)を参照しながら、廃棄物最少化の方策を策定し、実行しなければならない。廃棄物マネジメントの階層は以下の通りである:

  1. 防止する。有害廃棄物の発生が根絶されるよう、工程設計、操業、又は使用物質/材料を変更する。
  2. 減少させる。プロセスをスリム化し、メンテナンス体制を改善し、操業の効率を高めることにより、廃棄物の発生を抑える。
  3. 再利用。発生した廃棄物を捨てたり処理にまわしたりせずに、戻して再利用する。「再利用」は「リサイクリング」とは違うことに注意。再利用(reuse)は再処理(reprocessing)や再加工(re-engineering)を必要としないものである。通常、同じ現場での再利用の方が別な現場での再利用より優れている。なぜならハンドリングや輸送が少なくて済むからである。
  4. 回収する(リサイクリングを含む)。発生した廃棄物を使えるようにするため、又は有用なものを得るために、再処理を行う。廃棄物が使用可能なインプットとなるようリサイクルするか、可燃性廃棄物を燃料として使用する(エネルギー回収につながる)。リサイクリングには、新しい設備を購入する代わりに既存の設備を改修して使用することも含めることができる。
  5. 責任をもって捨てるか又は処理する。企業は、廃棄物を捨てるか処理するときに、必要な基準が満たされていることを保証しなければならない。各種基準(法的な要求事項、利害関係者の意見又はベストプラクティスに従って設定されている。) に通常定められているように、無害にしたり、体積を減少させるために、捨てる前に処理が必要になるかもしれない。終末処理と呼ばれる低減技術を使用することもできる。

この階層は指針に出てくるが、常に適用されるというわけではない。例えば、ある種の有害廃棄物に対しては、回収しようと努めるよりも責任ある処理で対処するのが最善であるということもある。さらに、廃棄物最少化手段によってもたらされた環境に対するメリットが、材料を輸送したり再処理したりすることによる環境負荷で相殺されてしまうかもしれない。プラスの要因とマイナスの要因の「トレードオフ」について適切に判断しなければならない。危険有害物質を扱うとき、特にこのことが言える。

詳細情報

「環境マネジメントの基礎(Essentials of Environmental Management)」(Hyde 及び Reeve著)は、環境マネジメントの原則に関する、英国における最高の教科書の一つである。Lavernham Press社、29.95ポンドプラスpp(T.01787 249293).

いろいろな廃棄物最少化テクニックに関する無料の情報に関しては、Envirowiseヘルプラインに電話する。T0800 585794

次のサイトで環境法令に関する無料の情報が見つかるかもしれない。

新しいウィンドウに表示しますhttp://www.netregs.gov.uk/

環境庁指針

「有害廃棄物の定義と分類の解説(Interpretation of the Definition and Classification of Hazardous Waste、TGWM2)は次のサイトで見ることができる:

http://www.environment-agency.gov.uk/business/444217/444663/496498

訳注
現在このページはエラーとなり該当のものは次で見ることができる
PDFHazardous waste[36.1KB]

有害及び非有害廃棄物の回収と処理の指針:統合された汚染防止と対策(Guidance for the Recovery and Disposal of Hazardous and Non Hazardous Waste : Integrated Pollution Prevention and Control 、IPPC) は次のサイトで見ることができる:

www.environment-agency.gov.uk/commondata/105385/waste_bat_guidance_582354.pdf

訳注
このページもエラーとなってみることができない
環境庁(T01454 624411)の有害廃棄物ウェブページは次のとおりである:
Environment Agency - Waste新しいウィンドウに表示します

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