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コールセンターのスタッフは職業性ストレスを受けやすい(HSEの調査報告)
Call centre staff are more likely to suffer stress at work, says HSE

資料出所:英国安全評議会(British Safety Council)発行
「SAFETY MANAGEMENT」2003年12月号 p.10

(仮訳 国際安全衛生センター)


 英国安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)が発表した新しい調査報告によると、コールセンターのスタッフは、他の産業の労働者に比べ、ストレスやメンタルヘルス上の問題を抱える傾向が強いという。

心理社会的リスク

 HSEによれば、この調査報告「コールセンターにおける心理社会的リスク要因:ワークデザインと満足度の評価(Psychosocial risk factors in call centers: An evaluation of work design and well-being)」は、イギリスのコールセンターで働く労働者に影響を与える心理社会的リスクに関する初の大規模な調査である。全国の36ヶ所以上のコールセンターで働く1100人以上のスタッフに質問を行った。
 調査によると、特に業務上の満足度(well-being)が低いと回答したオペレーターは、以下のような傾向にあることが判明した。
  • 50人以上を雇用している大手のコールセンターで働いている。
  • 電話応対の際、受け答え用の台本に厳密に従うように義務づけられている。
  • 通信やITビジネス産業のコールセンターで働いている。
  • 終身雇用で雇われている。
  • 常時あるいは時々、管理者によって行動を監視されている。
 さらに報告書は、電話応対をさらにストレスの多いものにする多くの特定要因を割り出している。
  • 仕事量の多さ――― コールセンターでは、一般的に仕事を手早く終了させなければならないというプレッシャーがある。
  • 非常に繰り返しの多い仕事―――労働者は自分の技能を十分活かすことができない場合、ストレスを感じることがある。
  • 求められる役割の矛盾―――すぐれた顧客サービスを提供する必要性と、通話を短時間で切り上げなければならないこととの対立の結果として、労働者はストレスを感じることがある。
非常に繰り返しの多い仕事

 しかし、報告書によれば、事業者は各種対策を導入することによって、電話応対がプレッシャーや繰り返しが多い、又厳しく管理された仕事でなくすることができると結論づけている。例えば、顧客と会話をする際に従わなければならない厳しい応対用の台本の使用をやめるなど、オペレーターがもっと自分の仕事をコントロールできるようにすることによって、ストレスを減少させることができるという。

スタッフのローテーション

 さらに、異なるタイプの問い合わせに応答できるよう、スタッフをローテーションさせることによって、事業者はコールセンターの業務をもっと変化に富んだものにすることができると報告書は述べている。

 報告書に関して、HSEの地方自治体部門(Local Authority Unit)の長であるAllan Daviesは、次のように述べた。「この調査が、地方自治体の環境衛生担当官に対し、コールセンターの管理者やスタッフが抱える心理社会的問題の解決を助けるための有用な情報を与えてくれることを期待している」

「Psychosocial risk factors in call centers: An evaluation of work design and well-being」(PR169, ISBN 0-7176-2774-8)は、以下のHSEのウェブサイトよりダウンロードできる。
www.hse.gov.uk/research/rrhtm/index.htm