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安全なオフィスを目指す
Searching for a Safe Office

資料出所:英国安全評議会(British Safety Council)発行
「SAFETY MANAGEMENT」2004年7月/8月号 p.32-42

(仮訳 国際安全衛生センター)



 職場の危険性という点で言えば、オフィスは工場や化学プラントほど危険な場所ではない。しかし、コンピューターの使い方が悪いせいで生じる上肢の疾患から、マニュアル・ハンドリング(人力による重量物の運搬等)の際に生じる傷害まで、オフィスにもさまざまな危険は存在している。

 ここ数年、ビジネスの場に現代技術が登場するようになり、英国の重工業離れも進展した結果、オフィスで働く労働者の数は増加してきている。
 もちろん、オフィスでの危険度は、建設現場や機械を使った作業場などハイリスクな職場での危険度とは比べ物にならないほど低い。それでも、オフィスで働く労働者が増加しているのであれば、事業者もオフィス環境に潜む安全衛生のリスクについてこれまで以上に考えていく必要がある。

さまざまな危険

 たしかにオフィスでの事務作業は比較的安全だ。しかし、そのオフィスにもさまざまな危険が潜んでいることは事実である。たとえば、イギリス安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)の数字によると、2001/02年度には851件の重大な傷害事故があり、休業が3日を超える負傷を負った事務労働者は2,500人以上にものぼっている。
 オフィスで最も多い事故は、スリップやつまずきによる事故(2001/02年度の重大な傷害事故のほぼ半数)で、不安全なマニュアル・ハンドリングによる事故も、この時期の休業が3日を超える傷害の30パーセントを占めている。そのほか、コンピューター画面の不適切な使用も、事務労働者の傷害の主原因のひとつである。ディスプレイ装置の使用方法が不適切な場合、手や腕や手首の痛みを引き起こす可能性があり、このような症状は、作業関連性上肢障害(work-related upper limb disorders : WRULD)と呼ばれている。
 HSEによれば、筋骨格系の疾病による欠勤で失われた2001/02年度の労働日1200万日のうち、400万日はWRULDが原因だという。

休業

 しかしHSEによれば、いまや傷害や疾病による休業の主原因は、筋骨格系障害から、職業性ストレスに移ってきているという。全体で見ると、ストレス(現代の職場の高プレッシャー環境が原因となっているストレス)による休業は毎年1,300万日、それが経済に与える影響は37億ポンドにものぼっている。
 HSEの数字では、英国民の半数が「職業性ストレスで病気になったことがある」と考えており、500万人が「仕事でひどくストレスを感じている」と証言している。
 このようなストレスは、免疫力の低下や心拍数の上昇、不眠など、身体的症状と行動的症状の両方を誘発することもある。
 しかし、ストレスによって生じるリスクを事業者たちが評価しようとする際に困るのが、自分たちがどの程度問題を管理できているかを測る明確なものさしがない、という点だ。したがってHSEは現在、事業者が、職場のストレスレベルを測り、その原因を特定し、スタッフと協力してその問題に取り組むのに役立つ自主管理基準を作成している。
 基準案の策定および評価のために実施された試験的研究の成功を受け(これは2003年4月から12月に実施された)、HSEはこのたび、関係者たちの意見をより広く議論する3ヶ月間の諮問を開始した。

職場でのストレスの主な要因

 2004年5月に開始されたオンライン諮問文書(Consultative Document)では、職場でのストレスの6つの主要因を低減する管理基準案について、事業者や経営者たちからの意見を広く求めている。
 要求−労働者が、任務の要求に応えることができるか。
 コントロール−労働者が、仕事の進め方に意見を述べることが許されているか。
 サポート−労働者たちが、同僚や上司から適切なサポートを得ることができるか。
 役割−労働者が、組織における自分の役割や責任を理解しているか。
 人間関係−労働者たちが、職場でイジメなどの許しがたい行為にさらされないか。
 変化−組織を変更する際、労働者の意見に耳を貸すか。
 基準案はまた、この基準を満たすための目標を達成できていない事業者がとるべきアクションについても示している。その例としては、イジメなど職場での許しがたい行為に対処するための方針を立てる、労働者が新しい仕事を始めるときには適切なサポートが受けられるようにする、安全問題について労働者が懸念を表明できるようにする、などがある。
 HSEは、2004年の末に最終的な基準を発表する予定である。(国際センター注−−−HSEにより発表された管理基準案「The Management Standards」はこちら) 
 HSEがストレスの管理基準の策定を進めているにもかかわらず、職場でのストレス防止に関する法律はない。しかし、1999年職場安全衛生管理規則(Management of Health and Safety at Work Regulations 1999)は、職場でのリスクアセスメントを行い、安全衛生のリスク(職業性ストレスを含む)を特定し、適切な抑制措置をとるよう事業者に求めている。

効果的なコミュニケーション体制

 しかしHSEによれば、ストレスと闘うために一番必要なのは、優れた管理体制と労働者への思いやりだという。たとえば、事業者が効果的なコミュニケーション体制を整え、一貫性のある態度で労働者に対応していれば、職場でのストレスレベルを引き下げることができる。
 また、労働者が心配や不安を声に出せる環境を整えれば、事業者は職業性ストレスの原因を容易に把握できるようになる。たとえば、オフィスでのストレスには次のようなものがある。
仕事のスケジュールに融通が利かず、要求が多すぎる。
イジメやセクハラ、人種差別など、長期的な対立がある。
職場でのプレッシャーが積み重なっている、あるいは長期化している、と感じる。
自分にかかっているプレッシャーをコントロールできないと感じる。
スタッフに対する管理者の態度が無関心、あるいは侮蔑的。
きちんと整備されていない、混雑した労働環境、あるいはずさんな労働環境で働かなければならない。
 企業はまた、管理者と社員の両方がストレスの問題を真剣に受け止めるようにストレスに関する労働方針を作成しなければならない。ちなみに、その方針では、仕事上のストレスは個人的な問題ではなく、経営者側と社員が力をあわせて取り組んでいくべき問題であることを強調しなければならない。

設計のまずいワークステーション

 職業性ストレスは、事務労働者たちが悩む業務上の健康障害の最大要因として認知されるようになってきたが、彼らが直面する深刻な安全衛生問題はストレスだけではない。たとえば、英国の労働者の五分の一が、勤務時間の大半でディスプレイ装置(display screen equipment - DSE)を使用している。DSE自体が健康に悪いわけではないが、DSEを置いたワークステーション(事務所内などの 1 人の労働者が仕事をするための場所)の使用方法や設計が不適切な場合、DSEユーザーは作業関連性上肢障害(WRULD)を引き起こす危険がある。
 HSEによれば、2001/02年度にWRULDを患った労働者は実に40万人もいるという。また、労働医学研究所(Institute of Occupational Medicine)の研究によれば、キーボードを日常的に操作する人々の半数以上が上肢障害(ULD)の症状を経験しているという。症状としては、一時的な疲労感、痛み、慢性的な軟部組織異常などがある。さらに、DSEを使用する労働者は、一時的な眼精疲労(これは視力低下の危険を伴う)や、目の痛み、頭痛に悩まされることもある。また、もともと目に問題のあった労働者は、DSEの使用によってその問題をいっそう強く感じるようになる。
 DSEを使用する労働者を保護するために、1992年安全衛生(ディスプレイ装置)規則(Health and Safety (Display Screen Equipment) Regulations 1992)は事業者に対し、DSEを使う作業のリスクアセスメントを実施するよう求めている。この規則はまた、事業者に対し、適切な視力検査およびDSEの安全な使用方法を教える研修を、DSEユーザーおよびDSEユーザーになる予定の労働者に提供することも求めている。

継続的な使用

 ユーザーとは、勤務時間中にDSEを継続的に使う人のことを指しており、勤務時間にDSEを使用する在宅勤務者もまたユーザーとみなされる。DSEのリスクアセスメントを実施する場合、事業者はまず、DSE作業で一番危険にさらされるのは誰かを特定しなければならない。また、DSEの使用頻度、継続時間、集中度、仕事のペースも考慮する必要がある。さらに、機器や家具、作業環境などのワークステーション自体に加え、取り組んでいる仕事内容や、各作業者の特別のニーズについても考慮しなければならない。
 可能性のあるリスクを特定したら、次は、適切な対策がすでにとられているか、DSEユーザーの安全衛生を守るためのさらなる対策が必要か、を判断しなければならない。これは、椅子の高さが調節可能か、照明が適切かなど、コンピューターのワークステーションとしての最低限の条件を満たしているかを確認すれればよい。労働者が機器に適合するよりも機器を労働者に適合させることが原則である。

安定した画像

特に、事業者は次の点を確認する必要がある。
画像は安定しているか、ちらつきがないか。
作業者に不快感を与える、グレアや反射がないか。
画面の明るさやコントラストの調節ができるか。
画面上の文字がはっきりと鮮明で、適切なサイズか。
作業者のニーズに合うように画面やキーボードを調節できるか。
手や腕を支えながら作業ができるように、キーボードの前に十分なスペースがあるか。
キーボードの表面は、反射を防ぐつや消し仕上げになっているか。
 また、DSE作業でマウスを使用するときも注意が必要である。なぜならマウスは一本の腕、あるいは一本の指を集中的に使うため、集中的なマウスの使用は指や手、手首、腕を痛める可能性があるからだ。
 しかし、このような問題の大半は、正しい姿勢を心がけ、頻繁に休憩をとり、基本的なガイドラインに従うことで解消することができる。たとえば、マウスは簡単に手が届くところに置き、手首をまっすぐにしたまま使えるようにすることが大切である。また、背筋をまっすぐに伸ばし、デスクに近い位置に座れば、マウスを使う腕を無理に伸ばす必要もない。キーボードを使わず、マウスだけを使う場合、キーボードは邪魔にならない場所に移動させること。デスクで腕を支え、指はボタンに軽く置き、強く押さえないこと。

労働形態の変化

 現在では労働形態が変化し、ラップトップなどの携帯用コンピューターの使用が一般的になってきている。しかし事業者は、この種の機器に特有のリスクがあることも知っておかなければならない。たとえばラップトップコンピューターは、キーボードも画面も小さいため、長時間、快適に使用することは難しい。
 したがって、携帯用コンピューターのユーザーは、できるだけドッキングステーション(フルサイズの画面とキーボードを備えたコンピューター)を使うべきである。もし、それが難しいようであれば、プラグインのフルサイズキーボードとマウスが付いているものを使い、携帯用コンピューターを台に乗せて、スクリーンの位置を高くするといい。
 また事業者は、DSEを使用するスタッフには休憩が必要だ、ということを肝に銘じておかなければならない。会社側は労働者に、画面から離れた場所で休憩をとらせるようにし、画面を使う仕事と画面を使わない仕事の両方を組み合わせることで、労働者の視覚的、身体的、精神的な負担を軽減しなければならないのだ。また、休憩は疲労を回復するため、というよりはむしろ、疲労を感じる前にとるべきで、時おり長い時間休憩するよりは、短時間の休憩を何度もとることが望ましい。
 一方、事業者は、DSEユーザーあるいはDSEユーザーとなる労働者に、目と視力の検査を提供することが法律で義務付けられている。しかし、目と視力の検査は、労働者が希望したときにのみ実施すればよく、自営業者に対する実施は義務付けられていない。

DSE作業用の眼鏡

 視力検査の結果、その労働者がDSE作業用に眼鏡が必要だと判明した場合、事業者は基本的なフレームとレンズの費用を負担する義務がある。ユーザーはまた、最初の視力検査を受けた後も、定期的に検査を受ける権利がある。
 事業者はまた、正しい姿勢や作業姿勢を変更することの重要性を教える教育・訓練を従業員に受けさせ、従業員がDSEを安全に使用できるようにしなければならない。さらに、休憩をとることや作業内容を変えることの大切さや、視力検査を受ける労働者の権利など、健康リスクに関する情報も労働者に適切に与えなければならない。
 しかしながら、事務職の労働者が筋骨格系障害のリスクにさらされるのは、DSE作業ばかりではなく、企業は、マニュアル・ハンドリングで起こる危険についても認識しておく必要がある。
 マニュアル・ハンドリングによる傷害は、製造工場や倉庫で重い荷物を持ち上げたときに起こると考えられがちだが、そのような傷害が起こるのは重い荷を持ち上げるときとは限らないことを事業者は知っておかなければならない。
 実際、事務職員も箱やファイルなどを職場内で運ぶことは多く、比較的軽い荷物でも(不適切に、あるいは繰り返し持ち上げて運べば)大きなダメージを引き起こす可能性がある。HSEの数字によると、2001/02年度に事務職員が負った休業が3日を超える傷害の三分の一は、荷物を危険な方法で持ち上げた、扱った、あるいは運んだことが原因であったという。

とにかくものを持ち上げないこと

 1992年マニュアル・ハンドリング規則(Manual Handling Operations Regulations 1992)は、事業者に対し、マニュアル・ハンドリングによるリスクを低減する方策を講じるよう求めている。傷害事故をなくす一番の方法は、仕事のやり方を再検討したり、リフトやコンベヤーベルトなどの機械設備を導入したりして、とにかく、ものを持ち上げないことである。たとえば重い箱を持ち上げる場合、事業者はその仕事を人力ではなく台車やシザーリフトを使ってできないか、考えなければならない。
 しかし、マニュアル・ハンドリングのすべてをなくすことができない場合は、リスクアセスメントを行わなければならない。このリスクアセスメントでは、どのくらいの重さのものを、どこからどこまで運ぶのか、個人の運搬能力、持ち上げ作業が行われる場所の環境など、マニュアル・ハンドリングに伴う危険のすべてを検討しなければならない。さらに、マニュアル・ハンドリングを行う事務職員には、荷物を安全に持ち上げるための研修を受けさせなければならない。
 マニュアル・ハンドリングが必要な場合、労働者は次のことを覚えておくべきである。
無理をしてたくさんの荷物を一度に持ち上げない。
運搬する荷物はしっかりとつかむ。
絶対に片手では運ばない。
荷物の重さを、バランスよく分散させる。
腰ではなく、足の屈伸を利用して荷物を持ち上げる。
 もちろん、不安全なマニュアル・ハンドリング作業に伴う危険も見くびることはできないが、HSEによれば、オフィス内の事故で一番多いのは、スリップやつまずき、転倒によるものだという。HSEによると、スリップやつまずきによる傷害は、2001/02年度にオフィスで起きた重大な傷害の半数以上、休業が三日間を超える傷害の三分の一弱を占めているという。

スリップやつまずきの原因

 ありがたいことに、スリップやつまずきや転倒の原因の多くは簡単に見つけることができ(足元にケーブルがはっていたり、飲み物がこぼれていたり、ダンボール箱が通路に置かれているなど)、対処も簡単である。したがって事業者は、リスクアセスメントを行ってスリップやつまずき事故が起こる場所を見つけ、改善目標を立てることが必要だ。
 職場を整理整頓し、危険が見つかったら速やかに排除することを心がけるだけでも、スリップやつまずき、転倒の危険を大幅に低減できるため、事業者たちは次のような手法を取るといいだろう。
階段や廊下の照明を明るくし、階段には手すりを設置する。
床にケーブルを配線するときは、ケーブルが通路をよこぎらないように、ケーブルカバーで覆って固定する。
何かをこぼしたら速やかにふき取り、床を長時間濡れた状態にしておく際は、その旨を警告する標示を設置する。
カーペットや敷物が破れたら、すぐに修理するか、取り替える。
 事業者はまた、オフィス自体の労働環境についても考慮しなければならない。どのような空間で働くかは、労働者の健康と安全に大きな影響を与えるからである。デザインが良く、照明が明るく、広々とした環境なら、快適さも向上するはずである。
 したがって事業者は、オフィスの天井高や面積が十分あり、あいた空間がたっぷりある環境を、労働者の健康と安全のために整えなければならない。ちなみに、労働者の健康を守るには、最低でも一人あたり11立方メートルが必要と考えられている。

照明の必要性

 不適切な職場の照明も、問題である。一般にオフィスの照明は、労働者たちが危険を察し、リスク(スリップやつまずきの危険)評価を行うことができ、労働環境に適したものでなければならない。
 さらに、労働者の作業内容も照明と深く関連している。たとえば、ディスプレイ装置のユーザーなら、画面に反射しにくく、目を疲れさせない光源が必要である。
 同時に、近年では電気機器の利用が増えているため、オフィス内は暑く、居心地の悪い場所になってきている。もちろん、オフィスが寒すぎても健康問題を引き起こす。
 法律ではオフィスの適温を定めていないが、1992年労働安全衛生福祉規則(Workplace(Health, Safety and Welfare)Regulation 1992)は、仕事部屋の温度を最低でも摂氏16度に保つことを提唱している。この規則は、仕事部屋の温度を快適に保つことを事業者に義務付けている。したがって、オフィスが異常に暑かったり寒かったりする場合には、部分的に暖房したり冷房したりできるような装置、例えば快適な水準に温度を維持する暖房器具や換気装置を設置すべきである。

救急員に連絡

 たとえ事業者が、これまでに述べた安全措置のすべてを講じても、オフィスでの事故は起こる可能性がある。万一事故が発生した場合、まずしなければならないのは、会社の救急員(first aider)もしくは、救護役に指名された担当者(appointed person)への連絡である。
 従業員が50人未満のオフィスの場合、トレーニングを受けた救急員ではなく、救護役に指名された担当者1名しかいないこともある。そのようなときは、その人こそがその会社の救護責任者であり、必要な場合には救急サービスを呼ぶ。一方、社員が50人以上の企業の場合は、職場での緊急事態に対応する訓練を受けた救急員を最低ひとりは用意することが、法律で義務付けられている。
 たしかに、オフィスは高リスクの職場環境ではないが、職場でのストレスや、設計が不適切なワークステーション、不安全なマニュアル・ハンドリング作業、床を這うケーブル、滑りやすい床などが原因となって、労働者が負傷したり、病気になったりする可能性はある。しかしオフィスでの危険は、リスクアセスメントや適切な措置によって簡単に回避できるため、そのような事故(および休業によって生じる生産性の低下)は極力減らすことができるはずである。

作業環境を快適にするために何ができるか?
椅子とスクリーンの高さを調節し、快適に作業ができる姿勢を探す。一般的に、腕はほぼ水平で、目は画面の上のフレームと同じ高さに合わせるのが理想的。
デスクの下には、足を自由に動かすことができるスペースを確保する。箱や機器などの障害物は取り除くこと。
脚や膝の後ろに過剰な圧力がかからないようにする。背の低いユーザーには、フットレストが便利。
長時間、同じ姿勢で座らないこと。できるだけ姿勢を変えるよう心がける。からだを動かすことは望ましいが、ストレッチの同じ動きを繰り返すことは避ける。
キーボードと画面を適切な位置に調節する。キーボードの前にスペースがあれば、キーを打っていないときに手や手首を乗せるのに便利。
キーを打つ場合、手首のところで腕を曲げないこと。ソフトタッチで打つようにし、指は伸ばしすぎない。からだに負担のかからないキーボードテクニックを覚えることは重要である。
キーボードや画面や書類ホルダーの場所をさまざまに試し、自分に最適な位置を見つけること。
書類を置くためのスペースをじゅうぶんに確保する。書類ホルダーがあれば、首を無理に動かさずにすむ。
デスクと画面を調節し、照明が画面で反射しないようにする。窓や照明に直接向き合ってはいけない。カーテンやブラインドを調節し、不要な光を避けること。
資料:HSE


ポータブル電気機器の保守

ディスプレイ装置(DSE)を置いたワークステーションのデザインが適切で、安全に使われているかを確認することは、事業者にとって非常に重要だが、電気機器の保守が適切に行われ、異常がないかを定期的に確認することも忘れてはならない。なぜなら、電気機器はオフィスでの事故原因となることが多いからだ。たとえば、配線の悪いプラグや磨耗したリード線は火災の原因になるし、労働者が感電する可能性もある。
 事業者は、ポータブル電気機器(パソコンや湯沸し、扇風機など)が労働者に危険を与えていないかを確認するためにも、効果的なポータブル機器検査システム(PAT)を確立すべきである。
 ありがたいことに、ポータブル電気機器の不具合の95%は、機器を外側から点検するだけで発見できることがわかっているため、法律上の要件を満たすには、定期的に目で点検するだけで十分と言える。たいていの場合、適切な研修さえ受ければ、そのような目視点検はスタッフが行うことができる。
 事業者は、オフィス内にどのようなポータブル電気機器があるかを把握し、不具合の兆候(ケーブルカバーやプラグなど)がないか調べる必要がある。また、ケーブルをソケットや機器にさしこむときに外側のカバーが握られているか、機器が不適切な環境(濡れた状態や埃だらけの状態)で使われていないかも確認しなければならない。
 しかしながら、目視検査だけではすべての故障はわからないため、アースが必要なすべての機器(および、電気機器に接続されているほとんどのリード線やプラグ)は、折に触れて検査と試験を実施しなければならない。
 たとえば、湯沸かし器は6ヶ月あるいは12ヶ月おきに目視検査をし、1年か2年おきに、検査と試験の両方を行わなければならない。また、ほとんど動かすことがない機器(コピー機など)は、2年から4年に1回の検査と、5年に一回の試験で十分である。