英国安全衛生庁(HSE)の統計によると、1999/2000年度において、「危険なマニュアル・ハンドリングに起因する重大災害は2800件発生し、休業4日以上の災害は48,000件以上にのぼる」との報告を受けている。そして、1995年に実施された英国安全衛生庁(HSE)の『自己申告による作業関連不健康統計(Self-reported
Work-related Ill Health survey)』によると、英国では60万人を越える労働者が筋骨格系障害の腰部障害を患っていて、そのうち66%の人びとが「マニュアル・ハンドリングに起因して発症した」と考えている。
安全衛生庁(HSE)はここ数年、事業者が、業務上のマニュアル・ハンドリングに起因する問題と取り組んでいけるよう、さまざまな指導書やビデオを発売してきた。例えば、2001
年12月に発売された農業を対象とした指導ビデオ、「農場に戻って:農場における持ち上げ作業の解決法(Back
on the Farm : Farm lifting solutions)」は、マニュアル・ハンドリングを安全に行う方法を解説している。
また、安全衛生庁(HSE)は2002年3月、マニュアル・ハンドリングに起因する傷害が作業関連傷害の発生件数の半数を占めると推定される、ソーシャルケアおよびヘルスケア分野のマニュアル・ハンドリングに起因する傷害事故の低減にむけて「在宅介護の取り扱い:安全で効率的で建設的な成果を得るために(Achieving
safe, efficient and positive outcomes)」という手引きを発行した。そして、安全衛生庁(HSE)は、この手引きをフォローアップするべく、患者の取り扱いに関する優良事例を掲載したヘルスケア部門向けのガイダンスの続編を2003年末までに発行する予定である。
台車(truck and trolley)−−−台車は、荷物を離れた場所に運ぶ際に役立つ。手動で移動する台車は、押したり引いたりのマニュアル・ハンドリングが伴うが、これらを使用することで効率的に運搬作業を行えるようになり、傷害のリスクも低減される。手押し車(sack
truck)は一本の車軸上でバランスをとりながら荷を運ぶことができる。