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速報報告書RR506「企業経営者が安全衛生管理において果たすべき役割」をHSEが刊行

HSE [イギリス安全衛生庁]
What's new- October 2006
(速報作成 国際安全衛生センター)

掲載日:2007.03.20

HSEが外部委託により、刊行したResearch Reportである。

2000年に安全衛生再活性化計画が発足して以来、企業経営者の安全衛生に果たす役割の重要性が強調されてきたが、まだ全体の認識は不足しているため、経営者の役割を一層明確とする目的でこの資料が作成された。

企業経営者が安全衛生に果たすべき役割の基本原理を、経営者の力量/役割と責任/カルチャー、基準および重要性/戦略の実行/成果のマネジメント/内部統制/組織体制の7項目にまとめている。要約を以下に示す。

なお、2002年にHSEから同じ目的で刊行された指針、indg343「安全衛生に関する役員の責任PDF[242KB]」(JICOSHウェブサイトに訳を掲載)は、見直す必要があるとしている。

 

Research Report 506:
Defining best practice in corporate occupational health and safety governance

 

主要な目次

  • 本研究の背景
  • ガバナンスとマネジメントの違い
  • 企業におけるガバナンス
  • ガバナンスに必要な要素
  • 企業責任とガバナンスとの関係
  • HSC/Eの既存の手引きの安全衛生ガバナンスにおける問題点
  • 安全衛生ガバナンスを向上させる推進力
    • 道義的責任
    • 法的責任
    • 経済面の利点
  • 安全衛生ガバナンスが失敗したときの損失
  • ガバナンスと規制との関係
  • ガバナンスの実践に影響する要素と良好な実践のための原理
  • 勧告
  • 付属資料 ROSPA他が作成した経営者のための安全衛生の手引き

安全衛生ガバナンスを最高に実践するための原理

安全衛生ガバナンスを良好に実践するために必要な要素を以下の7項目に要約した原理として示している。

良好な実践のための原則

経営者の力量 Director competence
すべての経営者が、企業経営における安全衛生の主要な問題を明確に理解し、技能と知識を絶えず向上させる。
経営者の役割と責任 Director roles and responsibilities
すべての経営者が企業経営における安全衛生上の法的な義務と役割を理解するべきである。この役割では、少なくとも、安全衛生方針と戦略の進展と設定、基準の設定、達成状況のモニタリング、内部統制が正式な個々の権限として与えられている必要がある。少なくとも1人の役員(議長であるか、独立した非常勤役員のひとりであることが望ましい。) が安全衛生事項を統括し、発展させる役割に就くべきである。
カルチャー、基準および重要性 Culture, standards & values
経営陣は、安全衛生上の問題を自分自身のものとし、事業においての重要性と基準を尊重した良好な実施を使命とするべきである。また、安全衛生の問題についての内部および外部における高いレベルのコミュニケーションによって、トップとしての姿勢を正しく保ち、組織内の開かれたカルチャーを確立するべきである。
戦略の実行 Strategic implications
経営陣は、安全衛生を推進する責任を持つべきである。このとき、安全衛生に関するリスクと機会および重要性と基準に影響する営業上の要素を理解した上で、これらに対応する究極的な戦略を確立しなければならない。
成果のマネジメント Performance management
経営陣は、安全衛生マネジメントのために重要な目的と目標を設定し、中堅幹部による安全衛生の推進を動機付ける仕組みを作成するべきである。このとき、具体性のあるものと無いもの、進んでいることと遅れていることを把握し、バランスを失わないことが必要である。一般従業員も、適切な動機付けによって参加させるべきである。
内部統制 Internal controls
経営陣は、安全衛生上のリスクが適切に管理、抑制されることおよび基本となる基準の遵守を確実とする枠組みを確実にするべきである。ガバナンスは、マネジメントシステム、アクション、成果のレベルが挑戦される仕組みでなければならない。この仕組みは、できれば、既存の内部統制および査察のシステムを利用する。査察委員会による審理が必要である。
組織体制 Organisational structures
経営陣は、安全衛生のガバナンスを企業活動全体のガバナンス構造に組み込むべきである。リスク、報酬、および監査を含んだ中心の委員会とその小委員会の活動が含まれるべきである。安全衛生(リスク/企業責任も含むことがある)を検討するための小委員会の設置が有効なことがある。