イギリス安全衛生庁(HSE)の2007年の委託によりHeriot Watt Universityが作成した報告書である。
中小規模事業所の安全衛生については、従来から極めて多くの調査資料が存在するが、本調査報告書は、中小企業における安全衛生に関する対応を妨げている要因とこれを打開するための手段をまとめたものである。
第1部 既存関連資料のレビュー
第2部 電話インタービュー
第3部 質問票を用いた調査
の3部から構成されている。
従業員100名以下または50名以下を中小企業と定義している。事業場数においては、97-99%を占め、労働者数においては、50%前後を占めている国が多い。
中小企業は消長が激しく、平均寿命は3年だと言われている。一方従業員数が10名の場合、災害の発生するのは、平均して14年に一度なので、災害を経験することは、極めて稀である。企業規模が小さいとき、災害の発生する率は、明らかに高くなるが、従業員を持たない自営業者においては、災害が少ない。
法による規制:自己の事業所に適用される規制の内容を知らないことが多い。多くの法規は、自分に関係ないと思い込んでいるが、正しい情報が伝えられる手段は、極めて限定されている。しかし、良心的な事業所においては、規制の存在することは知らなくても、必要な対策は実施している。
情報提供:金融機関、保険機関、専門家団体、労働組合、同業者の会合、安全衛生専門家、原材料の購入先、客先、保健機関、労働者代表などの経路はあるが、必要な情報が体系的に提供されることは、あまり期待できない。
電話インタービューと質問票を用いた調査から、安全衛生に費やされている時間が驚くほど少なく、規制の強化による効果は期待し難い。多面的な対策の併用による複合的な効果を目指す必要があるとして、10項目の勧告を示している。
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