HSEのリスクマネジメントに関するミニサイトには、多数の業種/職種に関するリスクアセスメントの実施例(Example risk assessments)が掲載されているが、本資料は、この中の「倉庫」(Warehouse)を翻訳したものである。
重要な注意点
このリスクアセスメント実施例は、小規模事業場が実施するのに適したひとつのアプローチを示している。この実施例を指針として、自社の事業場におけるハザードについて検討して、リスクを防止するのに必要なステップを検討していただきたい。このリスクアセスメント実施例は、事業場名を単純に自社名に置き換え、何も考えずに全部引き写せばそれで済むような汎用的なリスクアセスメントではない点に十分注意していただきたい。そのような行為は法律に違反することになるし、従業員を守るうえでもまったく効果がない。
どんな事業場もそれぞれに異なる部分がある。事業者は自分の事業場に存在するハザードと必要な防止措置を自分自身で考えることが必要である。
状況設定
倉庫経営者が倉庫のリスクアセスメントを実施した。この倉庫では12人の従業員が働いており、そのうち何人かは組合に加盟している。
リスクアセスメントはどのように行われたか?
経営者は「
5ステップリスクアセスメントINDG163」[原文 PDF]をガイダンスとしてその内容に従った。
- 経営者はハザードを特定するために次のことを行った。
- HSE刊行物『労働安全衛生の要点(Essentials of health and safety at work)』(http://www.hsebooks.com - ISBN: 0717661792)を読み、ハザードの存在する場所に関する知識を得た。
- 倉庫を巡回し、上記のガイダンスから学んだことを検討しながら、リスクをもたらす可能性のある作業をチェックした。
- 見つかった問題すべてを組合の「安全代表」に伝え、安全衛生に関して従業員が抱いている懸念について話し合った。
- 監督者たちから話を聞き、具体的な作業内容および作業区域について監督者が持っている詳しい知識を入手した。
- 過去に発生した問題について情報を得るために災害記録に目を通した。
- 経営者は、ハザードによって誰がどのような危害を受ける可能性があるかを記録した。
- 経営者は特定された各ハザードについて、当該ハザードを防止するための措置が講じられている場合には、どのような防止措置が講じられているかを記録した。次に、これらの防止措置と、HSE刊行のブックレット『小売・卸売倉庫業の安全衛生(Health and safety in retail and wholesale warehouses HSG76)』およびjo上記『労働安全衛生の要点(Essentials of health and safety at work)』に掲載されている優良事例(good practice)とを比較した。すでに講じている防止措置が優良事例の水準に達していない場合には、経営者はリスクを防止するために、さらに必要となる措置を書き留めた。
- リスクアセスメント結果を実行に移すにあたり、倉庫経営者は必要な措置を誰がいつまでに実施すべきかを決定した。経営者は決定内容を記録し、各措置が終わった時に完了したことを示す印を付け、実施日を記録した。
- 倉庫経営者はリスクアセスメントの結果について「安全代表」と話し合った。両者は、アセスメントを少なくとも毎年、または職場に大きな変更があった場合には、その都度見直すことにした。倉庫経営者はリスクアセスメントの結果をコピーして従業員全員に配布した。
リスクアセスメントの結果