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アスベスト(石綿) - イギリスにおける労働に関連する死亡についての単一の原因としては最大なもの

資料出所:HSEホームページ
http://www.hse.gov.uk/campaigns/asbestos/index.htm

(訳 国際安全衛生センター)



はじめに

 石綿は、天然に産出される鉱物で、約150年間にわたって、商業的スケールで使用されてきた。石綿は、多用途で、豊富に産出され、防火材料及び絶縁材料として理想的なものであった。しかし、石綿は、不幸にして、致命的なものにもなり得るものであった。

 石綿に関連する病気(中皮腫、石綿症及び肺がん)は、毎年3,000人の命を奪っており、2,010年までに、この数は、最大10,000人にまで増加することが予想されている。しかし、この時期におけるこれらの死亡は、既に石綿繊維を致死量まで肺に吸入してしまったことによってもたらされるものである。どのような場所であれ、石綿に最初にさらされてから、それによる致命的な病気が発現するまでには、15年から60年の期間がかかる。

 これらの数字は、このようなリスクが管理されなかった場合には、何が起こるかを明瞭に示している。安全衛生庁(HSE)は、このような失敗を繰り返さないように、また、効果的な規制を通じて、今後は、誰一人として、石綿が関連する疾病が原因となったこのような悲惨さ及び苦痛に耐えることを強制されないように、決心した。

 このウェブサイトは、現代の主要な健康問題を顕在化させるために特別に開発された、建設物内部における石綿によるリスクを管理するという安全衛生庁の新たな義務の詳細のアウトラインを提供するものである。このため、このサイトは、巨大で複雑な聴衆に対して、新たな規制を認識してもらうことを狙いとして、安全衛生庁が支援する重要なキャンペーンの詳細を紹介する。

 このキャンペーンの推進戦略の成否は、安全衛生庁と協力し、このキャンペーンメッセージを伝播するための鍵となる役割を果たし、どのようにすれば、この死の遺産との戦いにおいて安全衛生庁とともに働くパートナーになり得るのかを見続ける第3者に大きく依存している。

 最後に、このウェブサイトは、提案されている規制において、措置義務者となる者及びその他の責任を持つことになる者に対して、法的要求を遵守しようとする際に援助することができる情報を提供しようとするものである。この情報には、現在利用できる、又はこれから安全衛生庁が作成しようとしているガイダンスの詳細や石綿の問題の普及啓発のためのイベントの日程を含んでいる。

 2001年3月には、石綿キャンペーンニュースが発刊され、2002年6月にはその第6版が発行された。我々のキャンペーンにおけるコミュニケーション戦略の構成要素として、ニュースレターが、規則を管理する義務及び関連する推進キャンペーンの両方に関連する最新の事項を提供している。このニュースは、安全衛生庁のパートナーに直接送られたもののコピーをこのキャンペーンウェブサイトに登載し続ける。


管理する義務

 2002年8月には、「職場のアスベスト管理規則 2002(CAW : The Control of Asbestos at Work Regulations 2002)」が、建物内部における石綿を管理する義務を導入する。この重要な規制は、イギリスにおける最も大きな労働衛生上の殺人者―石綿関連疾患―を捕らえようとするものである。毎年石綿関連疾患で3,000人が死亡しているが、そのうちの25%の人々は、かってビルディングの内部で、メインテナンス業務で働いたことがあり、しばしば、石綿を含有する物(ACMs : asbestos containing materials )の上やその近くで、知らず知らずのうちに、働いていたと考えられる。

 管理する義務とは、建物についての次のようなことがらである。
  • 石綿を含んでいると考えられる物の存在する場所及び状態を特定する合理的な手順を行うこと。
  • 石綿を含んでいない確固たる証拠がない限り、その物は、石綿を含有していると想定すること。
  • 建物内部で石綿を含有する物又はそれであることが想定される物の存在する場所及び状態の記録を最新のものに維持すること。
  • これらの物の繊維にさらされるおそれのある者であれば、誰であってもそのリスクを評価すること。
  • そのようなリスクをどのように管理するかを定める計画を作成すること。
  • 計画を実施する手順を整えること。
  • その計画を定期的に見直し、点検すること。そして、
  • これらの物の存在する場所及び状態について、これらの物の上で作業しなければならないか、これらの物に手を加える者なら誰であれ、情報を提供すること。

 安全衛生庁の無料のリーフレット「建物の内部における石綿の管理」は、この提案されている新たな措置義務の詳細な内容を提供している。

 新たな義務を作ることを支援するため、安全衛生庁は、公認実施準則(ACoP)と同時に拡充された管理ガイダンスを提供しつつある。これらの両方の出版物は、2002年9月には、利用できるように計画されている。

 現在でも利用できる関連するガイダンスには、石綿材料についての小規模なメンテナンス作業に関する「石綿問題の本質」、作業場である建物について、石綿の調査をする際の技術上のガイダンスを提供する「MDHS100」がある。

 安全衛生庁の石綿ガイダンスのシリーズの中には、石綿に関連する健康上のリスクを問題にする「ごきげんいかがですか?」という題のハードビデオがある。さらに、石綿に関連する健康上のリスクを管理するための新しい法的要求事項を紹介するビデオもある。

 これらのすべての有料の出版物は、HSE Books(安全衛生庁の書籍売り場部門)で入手できる。


施行

 2002年10月に3番街(3Rd)の英国図書館でマスメディアイベントを通じて推進されるCAW規則2002の石綿の管理に関する主要な部分は、2004年春に施行される。


キャンペーン


 管理規則は、2004年春まで働かないとしても、石綿を含むであろう100万と想定される作業場である建物について、責任のある者からのメッセージを得ること、そして、早急にそれを表に出すことは、一つの大きな仕事である。この目的で、安全衛生庁は、新たな義務を認識し、遵守することを促進する5年間のキャンペーンを行う。そのうちの2年間は、自主的な取組みを高揚させるためのものに焦点を当てる。
 このキャンペーンの対象となる集団は、巨大であり、また、種々様々である。この野心的なプログラムを円滑に進めるため、安全衛生庁は、このキャンペーンのメッセージを伝播する第3者の支援を引き付ける必要があることは明らかである。安全衛生庁の支援の要請に応えて、約800の団体が、現在安全衛生庁のパートナーとして関与しており、この団体の数は、毎日増えている。


石綿研究協議会

 安全衛生庁は、パートナー達に対して、新しい規則の要求事項の詳細を提供するとともに、これらを遵守するための実務的な援助をすることを目的とした石綿研究協議会のプログラムを団体として実施することを期待しつつある。これらのイベントは、安全衛生庁が作成する資料(説明者用パック)が基礎となる。

 これらのイベントの詳細は、パートナー達によって組織される地域のイニシアチブを通じて、また、全国的には「石綿イベント日誌」によって、推進される。


説明者用パック

  上記の説明者用パックは、次のようなものである。
  • 安全衛生庁の健康局長のサンドラ・コードウェル(Sandra Caldwell)の序文
  • このパックの使用方法
  • 資料となるCD
  • 「ごきげんいかがですか?」のビデオテープ
  • リーフレットINDG 163 リスクアセスメントの5つのステップ
  • リーフレットINDG 223 建物内における石綿の管理
  • 関連する団体が準備するパックの注文書

 このコンパクトディスク(CD)は、次の事項を説明したパワーポイントによるスライドを含んでいる。
  • 石綿を使った作業の有害要因 − 健康影響を含む
  • 法律の変更
  • 新しい義務を遵守するために必要となる手順を踏んで、実例を示す図を使って、どのように作業するか。
  • 実施手順
  • その他の助言指導資料の入手先
  • このCDは、さらに研究協議会出席者のための包括的な資料を含んでいる。

 これらの資料は、聴衆が変化すること、説明者のニーズ等を想定して、柔軟性をもって作成されている。それはまた、関連する団体が追加的な資料を紹介することを望むであろうことも意識している。安全衛生庁としては、団体が用意する資料によって、安全衛生庁が意図した特定の主要なメッセージのすべてが、参加者に伝わることを強く求める。


その他の安全衛生庁の提供資料

 パートナー達は、石綿問題を認識するためのイベントから利益を得る的となる相手方であるグループ、すなわち、使用者、請負業者、依頼者側となる団体及び管理するための情報を探しているより一般的な聴衆を、既に特定している。このようなニーズに対応するため、安全衛生庁は、他の資料パケージ(協議会パック)を用意している。このパックは、パワーポイントスライド、ビデオや参加者用パックには含まれていない説明者用パックのうちの実例的でない要素に関する説明文に焦点を当てたものからなっている。


配布手順

 上述の説明用資料の発行は、キャンペーンのパートナーとして安全衛生庁に登録された団体に限定される。

 安全衛生庁のパートナーのためには、記入済みになっている要求フォームが、安全衛生庁の配布担当部局から「説明者用パック」を受け取ることで終了する配布プロセスの開始のきっかけとなる。これには、15営業日が必要となる。

 その他の団体であっても、安全衛生庁にこれらの他の団体の詳細を提供すれば、また同様に要求フォームを利用することによって、このキャンペーンの拡大するパートナーのネットワークに加わることができる。安全衛生庁は、パートナーとしての登録を確認して記入し、「説明者用パック」の最初のコピーを無償で配布する。

 「説明者用パック」の最初のコピーは、無料であるが、それ以降のコピーは、25ポンド+付加価値税を負担することによって、利用できる。これらの追加コピーは、安全衛生庁の書籍売り場部門に対して、コード番号MISC455を引用することにより、直接注文することができる。


イベントの推進

 説明者用資料パックの中で説明があったように、パートナーは、その石綿問題啓発研究協議会形式のイベントを推進するため、このキャンペーンウェブサイトを利用することができる。
 石綿イベント日誌に包含するかどうか、安全衛生庁に考慮することを可能にする記入済みの推進フォームを提出するだけでよい。あなたの団体の申し込みを強調するため、あなたの団体のロゴの電子バージョンを何で含めないのか?あなたの団体のロゴをgif又はjpgフォーマットで、かつ、100ピクセル以内で送ってください。オンラインのフィードバックフォームは、イメージ映像を受け付られませんので、別にe―mail(asbestos.campaign@hse.gsi.gsi.gov.uk)で送って頂きたい。


石綿イベントへの出席

 石綿を管理する新しい義務の下で責任を担う者すべてへの安全衛生庁のメッセージは、新しい規則が施行される2004年春まで待つことなく、この課題を現に提示することである。というのは、やるべきことがたくさんあるからである。

 規制を遵守するため措置義務者を援助するガイダンスについては、既に言及された。新たな義務における要求事項を基礎とした石綿問題認識セミナーを通じて、さらなる援助が提供されつつある。

 2002年6月以来、安全衛生庁のパートナーとのネットワークを通じて、伝播されたイベントは、新しい義務の下での責任の認識を増やしている。これらのイベントは、安全衛生庁の作成あった資料を基礎とするものであり、遵守のための実務的な援助を含むものにもなっている。

 あなたは、地域での、そして安全衛生庁の石綿イベント日誌、(それは、パートナーから受け取られる情報によって最新のものとされている)を通じて、推進されるこれらのイベントについて、目を開いて見つめていく必要がある。