「議論を喚起し、行動の動機づけを行う」目的で発行された新文書『建設における安全衛生の活性化(Revitalising Health and Safety in Construction)』は、現状は厳しいものの明らかに改善に向かっている建設業界に、事故防止、安全衛生の改善、職場文化の段階的変革に関する新しいアイディアを提案するよう、要請している。 建設安全衛生サミットから18ヶ月後、英国安全衛生庁(HSE)が打ち出したこの文書は、年末までに回答するよう建設業界に要求している。
「建設サミット以来、業界内で段階的な変化を示す明るい兆候が見られ、十分な資格を備えた労働者になろうとする意欲が見られるようになったこと、そして建設業界における教育訓練の最低基準として建築技能検定計画(the
Construction Skills Certification Scheme)(CSCS)等の計画が徐々に認知されはじめたことなど、将来に向けて好材料がでてきています」とマイヤーは語った。
「建設に関する戦略フォーラム」(the Strategic Forum for Construction)議長のサー・ジョン ・イーガンは、『加速する変化(Accelerating Change)』というタイトルで先月出版された、同フォーラム初のアニュアルレポートのなかで「全くもって不名誉なことです」と現状を厳しく断じている。
しかし、この討議文書によって、好ましくない安全衛生記録が詳細に明らかにされている。
建設作業員は他業種の作業員より作業中に死亡する可能性が6倍も高く、建設業界の作業関連死亡者数は全作業関連死亡者数の3分の1を占めている。 約50万人の建設作業員が、振動器材の使用によって振動性白ろう病(vibration
white finger)を罹患する危険にさらされている。 約20年前かそれ以前のアスベストへの暴露が原因となって、毎年およそ750人の建設作業員が亡くなっている。 建設作業に従事して、およそ96,000人が筋骨格系障害に罹っている。 建設作業員が難聴になる割合は、国内平均の約2倍である。 煉瓦職人の約10%が、セメントに含まれるクロム酸塩によるアレルギー性皮膚炎を発症後、離職している。
「英国安全衛生庁は立派な文書を作成しますが、重要なのは文書ではありません。文書の向こう側で起きていることが重大なのです」と建設関係技術者連合(the
Union of Construction , Allied Trades and Technicians)(UCATT)の事務局長であり、安全衛生委員会(HSC)のメンバーであるジョージ
・ブラムウェルは警告する。そして、「建設業界の浄化をはかるのが、建設業界の仕事なのです」とブラムウェルは強調した。
サー・ジョン・イーガンが議長を務める建設対策委員会(the Construction Task Force)作成の報告書、『建設業を再考する(Rethinking Construction)』によると、「建設業界がその可能性をあますことなく発揮しようとするならば、進歩をサポートするために、業界に文化的および構造上の本質的な改革を行うことが必要」なのである。