このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > アメリカ 疾病対策予防センター
疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)

資料出所:NIOSHホームページ http://www.cdc.gov/aboutcdc.htm

(仮訳 国際安全衛生センター)

CDCについて

 疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)は、国内外における人々の健康と安全の保護を主導する立場にある連邦機関であり、健康に関する種々の決定の根拠となる信頼できる情報の提供と、強力なパートナーシップを通じた健康の増進の任にあたっている。疾病の予防と管理に関する活動、環境衛生に関する活動、さらに健康増進および教育活動など、米国民の健康増進を目的とした各種活動の開発と実施において、CDCは国の中心的存在として役立っている。

 米国ジョージア州アトランタにあるCDCは、保健社会福祉省(Department of Health and Human Services: DHHS)の下部機関である。所長はジュリー・L.ガーバーディング(Julie L. Gerberding)博士。

21世紀へ向けたCDCのビジョン
健康な世界の中の健康な人々 〜予防を通じて(Healthy People in a Healthy World -Through Prevention)


 人々をより安全で健康にするために、CDCは全力で取り組んでいる。断固たる行動方針を示し、正確な情報を収集し、他の保健関連機関・地域の諸組織と密接に協力することで、CDCは1946年以来、健康に関わる重要な問題への対処に科学的知識を投じてきた。全米で8,500人を超える職員を擁するCDCは、現在と未来の私たちの健康に対する広範囲の有害かつ原因不明の脅威から公衆を守るうえで、決定的な役割を果たしている。


CDCの使命
疾病、傷害、および障害の防止と管理により、健康と生活の質の向上を図ること。

 CDCは国内外のさまざまなパートナーと協力し、健康の監視、健康問題の発見と調査、予防策の向上のための研究の実施、健全な公衆衛生政策の開発と擁護、予防戦略の実施、健康的な行動の推進、安全で健康な環境の助成、リーダーシップと教育訓練の提供を行い、その使命の達成に努めている。

 CDCは官民のさまざまな組織と数多くの重要なパートナーシップを構築、継続しており、これらのパートナーシップによって米国民に対するサービスは改善されている。2000会計年度、CDCの職員は、公衆衛生を軸とする170の分野において専従換算(FTE)で約8,500人にのぼった。CDCの国内における本部はジョージア州アトランタにあるが、2,000人を超えるCDC職員は、47の州保健当局をはじめ、本部以外の場所に勤務している。また、約120人は海外45か国に配置されている。CDCには合計12のセンター、研究所、事務所がある。


CDCは健康と安全を保護する

 ヒト免疫不全ウイルス/AIDSおよび結核などの感染症は、命を奪い、地域資源の負担を増すだけでなく、多くの国にとって脅威となる可能性を持っている。今日のようなグローバル環境においては、新しい疾病は数日、場合によってはわずか数時間で全世界に広がるおそれがあり、早期発見と早期対処の重要性はかつてないほどに高まっている。CDCは、国内外でこうした疾病が発生するとただちに調査に駆け付け、疾病への対策を講じるうえで決定的な役割を果たしている。

 しかし疾病の発生は、CDCが果たす保護的役割の単なるきっかけにすぎない。CDCは州および地域の保健当局を支援し、日々公衆を保護するためにさまざま作業を行っており、最先端の「指紋法」技術を使って食中毒の原因を特定したり、都市で家庭内暴力防止プログラムの評価を行ったり、ヒト免疫不全ウイルスに関する教育のしかたについてパートナーを訓練したり、予防接種を行ってワクチンで予防可能な病気から子供を守ったりしている。


CDCは健康に関する種々の決定の根拠となる信頼できる情報を提供する

 CDCは、たとえ最良で最新の健康情報であっても、その情報の受け手にとって意味のあるアクセス可能な情報でなければ意味がないと考えている。CDCは、公衆衛生や草の根のパートナーたちと協力し、インターネットとメディアを活用することによって、健康と安全に関する最良の情報を、日々その情報を必要としている場所および人々からアクセス可能なものにしている。


CDCは強力なパートナーシップを通じて健康を増進する

 現実の社会には、健康維持の障害になる物がたくさんある。私たちが呼吸する大気の汚染と渋滞、水道水の汚染、毎日の職場の不安全などである。CDCは国、州、地域の関係組織と密接に協力し、危険な環境ばく露からの地域の保護を推進している。私たち各人はそれぞれの健康に自信を持っているかもしれない。しかし私たちがどれだけ注意していても、次のような事実に変わりはない。すなわち、どの町、どの地域、どの家庭においても、私たちは環境、職場、そして家の中にあるハザードの影響を受ける可能性があるということである。

 CDC単独では米国民の健康を守ることはできない。しかし、州と地域の保健当局、民間企業、報道各社、一般公衆など、外部のさまざまな組織や人と手を結ぶことで、より安全で健康な人々が暮らす、よりよい世界というCDCのビジョンを実現することができる。


今後の課題

 以下に掲げるのは、今後CDCが取り組む課題である。CDCの使命と各種プログラムは、明らかにこれらの課題に焦点を合わせている。各課題で講じる具体的な行動の手順についても簡単に説明している。

科学的知識の動員による人々の健康の増進(Improving People's Health by Putting Science into Action)
暴力と非意図的傷害の防止(Preventing Violence and Unintentional Injury)
変化する労働力の安全衛生の需要への対応(Meeting the Health and Safety Needs of a Changing Workforce)
信頼できる健康情報提供のための新技術の活用(Utilizing New Technologies to Provide Credible Health Information)
バイオテロリズムを含む新しい感染症に対する個人の保護(Protecting Individuals against Emerging Infectious Diseases including Bioterrorism)
健康に関する人種的/民族的格差の解消(Eliminating Racial/Ethnic Health Disparities)
安全で健康的な環境の助長(Fostering Safe and Healthy Environments)
グローバルな健康の増進を目的とした関係パートナーとの協力(Working with Partners to Improve Global Health)
今後のイニシアチブ(Futures Initiative)


CDCの組織

 CDCは保健社会福祉省の主要下部機関の1つである。CDCにはいくつかの主要組織があり、これらの組織はそれぞれの専門分野で独立して活動する一方、それぞれの持つ資源と専門知識を組み合わせて分野横断的な課題と特定の健康への脅威に対処している。CDCを構成する組織には以下のものがある。

 国立出生異常・発達障害センター(National Center on Birth Defects and Developmental Disabilities : NCBDDD)は、出生異常と発達障害の予防、および障害を持つ人々の健康と福祉の改善のために全米規模のリーダーシップを発揮している。

 国立慢性疾患予防・健康増進センター(National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion: NCCDPHP)は、慢性疾患による早死と障害の予防、および個人の健康的な行動の推進にあたっている。

 国立環境衛生センター(National Centers for Environmental Health: NCEH)は、人と環境の相互作用に起因する疾病と死亡の予防および管理のために全米規模のリーダーシップを発揮している。

 国立衛生統計センター(National Center for Health Statistics: NCHS)は、米国民の健康増進へ向けた種々の行動および政策の指針となる統計情報を提供している。

 国立ヒト免疫不全ウイルス(HIV)・性感染症(STD)・結核(TB)予防センター(National Center for HIV, STD, and TB Prevention: NCHSTP)は、ヒト免疫不全ウイルス、性感染症、および結核の予防と管理のために全米規模のリーダーシップを発揮している。

 国立感染症センター(National Center for Infectious Diseases: NCID)は、米国および海外での感染症による疾病、障害、死亡の予防にあたっている。

 国立傷害予防管理センター(National Center for Injury Prevention and Control: NCIPC)は、非意図的な傷害や暴力による傷害など、業務外傷害に起因する死亡と障害の予防にあたっている。

 国立予防接種プログラム(National Immunization Program: NIP)は、子供と成人の両方についてワクチンで予防可能な病気によって引き起こされる疾病、障害、死亡の予防にあたっている。

 国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)は、研究と予防を通じて職場のすべての人々の安全衛生の確保にあたっている。

 疫学プログラム・オフィス(Epidemiology Program Office: EPO)は、公衆衛生の監視の協調;科学的知識の伝達、統計、および疫学の分野における援助の提供;監視、疫学、および予防の実効性に関する教育訓練の実施;によって公衆衛生システムの強化にあたっている。

 公衆衛生実践プログラム・オフィス(Public Health Practice Program Office: PHPPO)は、実戦力の養成、情報網の構築、実践的研究の実施、および検査の質の確保によって、地域の公衆衛生の実践の強化にあたっている。

 CDC所長室(Office of the Director: CDC/OD)は、CDCの活動の管理と指揮;CDCの各種の学術/医療プログラムの全体的な方向性の付与とこれらのプログラム間の調整;管理運営活動のリーダーシップ、協調、および評価;にあたっている。

 有害物質疾病登録局(Agency for Toxic Substances and Disease Registry: ATSDR)の運営管理機能の多くはCDCが担っている。ATSDRはCDCの姉妹機関であり、保健社会福祉省管轄の8つの連邦公衆衛生機関の1つである。CDC所長は、ATSDR局長を兼ねている。


CDCの職員および所在地

約8,500人で、職種は170に及ぶ。

所在地:

  • CDCの施設
     アラスカ州アンカレジ
     ジョージア州アトランタ
     オハイオ州シンシナティ
     コロラド州フォート・コリンズ
     ウェスト・バージニア州モーガンタウン
     ペンシルバニア州ピッツバーグ
     ノース・カロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク
     プエルトリコ、サンファン
     ワシントン州スポーケン
     ワシントンDC地区
  • 諸外国
  • 検疫所
  • 州および地域の保健当局

アトランタ地区のCDCの職員および施設:

  • 約5,600人の職員
  • 1,600人はクリフトン・ロードの本部に勤務
  • それ以外の職員は以下の各所に配置:
     コーポレート・スクエア
     チャンブリー
     ジケーター
     エグゼクティブ・パーク
     コガー・センター
     ローレンスビル
     タッカー