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NSC(全米安全評議会)について

資料出所:NSCホームページ
http://www.nsc.org/
(訳 国際安全衛生センター)


NSCの使命は、「社会に対して、予防可能な原因から発生する人間の苦痛と経済的損失を防ぎ、かつ、軽減する安全・衛生・環境に関する方針、実践活動、手順を採用するように教育を行ない、影響力を行使していく」ことにある。

シカゴ郊外にあるNSCの建物
1.概要

(1)NSCの組織は次の通りである。

(2)支部約70の支部(Chapters, Affiliates)が全米各地(各州ごと、大きな州は複数)にある。


2.沿革

NSCは何世代にもわたり、革新的プログラムを通じて、人命の保護と健康の増進を目的に活動を進めてきた。当評議会は全米民の安全・衛生・環境面での福利厚生を向上させることを専門とした非営利、非政府の国際公益団体である。

毎年、私たちの社会では意図的ではない負傷により、アメリカだけで3,990億米ドルを超える損失が発生している。この数字には、逸失賃金、医療費、車両に対する損害などの経費が含まれている。

世界全体では、さらに多くの損失が発生している。その費用――人間の悲惨――には計り知れないものがある。不慮の負傷は、主要な死亡原因の第5位となっている。NSCはこうした事故がただ単に偶然に発生するものであるばかりでなく、人々が生活、労働、運転、行楽を営む中で機械や環境と人間の相互作用を含む複数の条件から発生するものであると考えている。NSCの見解では、一部の人々が「事故」と呼ぶものは多くの病気と同様に、計画されたものでもなく、望まれたものでもなく、またほぼいつでも予防可能なものとされており、NSCのプログラムとサービスはもっぱらこうした信念の実現に向けられている。


3.組織

NSCは1913年の創設以来、アメリカで第一級の安全・衛生情報源としての機能を果たしてきた。NSCは職場――工場、倉庫、建設現場――から始め、企業に就業中の意図的ではない負傷を防止する方法を啓蒙してきた。その後、NSCは活動範囲を拡大し、高速道路、地域社会、レジャー施設の安全も対象とするようになり、現在では、NSCの使命には、あらゆる場所のあらゆる人々が想定されている。こうした活動範囲の拡大には、1日24時間にわたり安全と衛生を増進することを目的に、労働における安全と環境面での安全ならびに福利厚生全般が含まれている。

1953年8月13日成立の議会法により、NSCの創設以来40年間の活動がイリノイ州非営利法人として認められ、NSCが連邦法に基づく法人として設立された。第83回議会公法律第259号が、NSCを正式に連邦公認団体として設立した。この認可書はNSCが非政治組織として存立すること、また政治団体・選挙候補者への献金や他の方法による支持・支援を行なわないことを求めている。

NSCは理事会により運営されている。理事は給与の支給を受けるNSCの上級役員2人を除き、全員が無給のボランティアである。約2,000人以上のボランティアに支えられた理事会とその役員ならびに各種委員会が方針、運営手順、プログラムを決定し、決定事項はNSCの300人余の専従職により展開され、実施されている。理事は実業界、労働界、各支部、政府、地域社会の各団体、業界・専門団体、学校、個人を代表している。NSCの会員企業の従業員数は3,000万人を超え、会員総数は18,500を超えている。


4.運営

NSCは政府機関ではない。NSCは法律の制定や規制を行なう権限を持ってはいない。しかしながら、NSCは世論、人々の心構え、行動といった方面に影響力を行使することができる。NSCは産業労働者の安全・衛生専門職や政府、団体、公益の代表者を結集し、安全・衛生・環境面の重要課題に対して全米的連合体を形成することにより、公平な仲介機関としての役割を果たしている。NSCは合意形成機関である。

NSCの統計担当者は負傷・疾病データに関する総合的追跡・編集システムを確立しており、この中には、主要な統計集『Accidennt Facts』の年一回の発行が含まれている。また、NSCの研究者は国際的な学際的研究誌『Journal of Safety Research』(季刊)を制作している。

NSCの図書館は、安全・衛生に関して世界で最も蔵書の完備した情報資源のひとつとなっている。NSCでは、各地の安全評議会、地域社会のボランティア、実業界・労働界・産業界・政府の代表者を結ぶ全米的規模のネットワークと共同で、防止に関する明確で実際的なガイダンス作りのための情報を提供している。

最も重要なことは、NSCがその情報を行動に活かしていることである。NSCの活動は、研修、教育プログラム・教材、コンサルティング、支持・擁護活動におけるリーダーシップという四つの異なる形を取っている。

NSCの安全衛生財団は人命を救う革新的な公共プログラムに資金を提供することにより、NSCがその活動を展開し、活動範囲を拡大していくことを可能にしている。これまで、この財団への寄付金が、全米の家庭や地域社会で働く何百万人の人々にとって大きな意味を持ってきた。安全衛生財団を支援する法人、財団、個人が力を結集することで、この世界をすべての人にとってより安全で健康的な場所とするのである。


5.所在地

Headquarters
National Safety Council
1121 Spring Lake Drive
Itasca, IL 60143-3201
(630) 775-2056
Toll-Free: 800-621-7619

Environmental Health Center
1025 Conn. Ave., NW, Suite 1200
Washington, DC 20036
(202) 293-2270

Foundation for Safety & Health
1121 Spring Lake Drive
Itasca, IL 60143-3201
(630) 285-1121

Internatoinal Safety Council
21 Tilton Road, Borough Green
Kent, TN15 8RS
UNITED KINGDOM
(44) 1732-88-6581
Telefax (44) 1732-88-6582

Public Policy
National Safety Council
1025 Conn. Ave., NW, Suite 1200
Washington, DC 20036
(202) 293-2270

Southeastern Region Office
National Safety Council
3300 NE Expressway, Suite 7A
Atlanta, GA 30341-3941
(770) 457-5100

Western Region Office
National Safety Council
303 Twin Dolphin Drive, Suite 520
Redwood City, CA 94065-1409
(650) 508-8787


6.NSCの会員

(1)会員数は約17000。常用労働者数に応じた年会費を納めて会員となる。企業のみでなく学校、大学その他いかなる組織も会員資格 がある。企業以外にも別途の方法で規模を評価して会費を決める。

(2)会員に対しては雑誌Safety+Healthなどの定期刊行物の無料配布や相談に対する助言、図書館の利用、 Award Program(注1)への参加、ボランティア活動(注2)への参加などの恩典がある。 会員申込書には、かなり細かく産業分類あるいは(例えば商用車、通学交通など。 別紙参照) にチェックをする(一つに限られる)欄があり、その分野については追加的に情報が提供され、また同分野でのボランティア活動 への参加勧奨が行われることになると記述されている。

(注1)災害減少に寄与した、あるいは無災害の労働者や組織に対して賞を授与する制度。
(注2)2000名以上のボランティアがNSCの活動に協力している。