労働統計局(Bureau of Labor Statistics:BLS)は12月13日、2004年に雇用者から報告された労働者の重度の傷病件数が合計で130万件となり、2003年との比較では、件数で56,600件、割合で4.3%の減少となったと発表した。
BLSの全国調査によれば、傷害および疾病の重症度の指標となる就業不能日数の中央値もまた、2004年には7日となり、2003年の8日から減少している。
BLSによれば、ここ数年の傾向は変わらず、重度の傷病の40%を捻挫と筋違いが占めているが、これは主に過度の負荷または転倒によるものである。捻挫と筋違いの発生件数は500,000件を超え、2004年には各主要業界において、傷病中で最多の件数を記録している。ただしBLSによれば、2003年との比較では、2004年の発生件数は7%の減少となった。
運輸および資材運搬に関わる職種では、主要な職種の中で就労不能を伴う傷病が最も多く発生しており、BLSによればこの職種での傷病件数は全体の20%以上を占めている。
これを業務別に詳しく見ると、重度の傷病件数が最も多い3つの職種は、肉体労働および資材運搬、大型トラックおよびトレイラートラックの運転業務、看護補助および患者の付き添い業務である。就労不能日を伴う傷病件数全体の16%が、これらの職種によって占められている。
BLSによれば、2004年には反復動作を原因とする傷病件数が15%減少し、スリップやつまずきによる傷病件数も10%減少している。ただし、交通事故が9%の増加を示し、暴力行為によるものがほぼ7%増加している。
就労不能日数の中央値:BLSは、「就労不能日数の中央値」を、就労不能日数を日数順に並べたときに、ちょうど中央に位置する日数と定義している。
BLSによれば、2004年には就労不能日数の中央値が減少しているが、これは主に、31日以上の就労不能日を伴う傷病件数が減少したことによるものである。2004年に発生した31日以上の就労不能日を伴う傷病は、全体の25%となっている。
BLSの発表によれば、主な傷病の中でも就労不能日数の中央値が最も長い傷病は手根管症候群(Carpal tunnel syndrome)であるが、この傷病による就労不能日数は2003年の32日から減少して2004年には28日となっている。また、骨折による就労不能日数の中央値は28日となり、2003年の30日から減少している。
肩の傷害は、就労不能日数の中央値が最も長く(17日)、ひざの傷害(15日)、手首の傷害(14日)がこれに続く。
製造業(2次産業)での就労不能日数の中央値は9日であり、これに対してサービス業(3次産業)のこの中央値は7日となっている。
BLSによれば、天然資源採掘業での就労不能日数の中央値が12日と最も長くなっている。また採掘業では、雇用期間が3か月未満の労働者の傷病が最も高い割合を占めている。
建設業と情報産業の就労不能日数の中央値はそれぞれ10日であり、これは2番目に長い日数である。
傷害の業界別の特徴:BLSによれば、2004年に報告された重度の傷病の32%を製造業(2次産業)が占めているが、この業界で働く労働者が民間産業全体の労働者に占める割合は21%である。これについてBLSは、物品や装置の直接的接触が、製造業(2次産業)において就労不能日の伴う傷病件数が高くなる主な原因と考えている。
サービス業(3次産業)は、2004年に発生した重度の傷病の68%を占めているが、この業界において、過度の負荷、特に物品を持ち上げる作業が多くを占めることは明白である。
製造業における切断、腱炎、手根管症候群の発生率は、民間産業全体の2倍となっている。一方、商業、運輸業、公益産業では、物品を持ち上げる作業における過度の負荷がすべての主要産業の中で最も高い数値を示している。
教育および医療サービスの業界では、傷病件数に占める女性労働者の比率が最も高く、79%となっている。BLSによれば、これは民間産業全体での女性労働者の比率の2倍以上となる数値である。またこの業界では、傷病件数全体の16%を黒人労働者の傷病が占めているが、民間産業全体での黒人労働者の傷病件数は全件数の8%である。
レジャーおよび接客産業では、若年労働者の傷病件数が全体の9%を占めている。これは、民間産業全体における割合の3倍に相当する。
BLSによれば、重度の傷病件数全体の33%以上を雇用期間が1年未満の労働者の傷病が占めているが、これは、雇用期間が1年未満の労働者が全労働者に占める割合である25%を上回る数値である。
また、重度の傷病件数の66%を男性労働者の傷病が占めているが、これは男性労働者が全労働者に占める割合(55%)や、労働時間に占める男性労働者の労働時間の割合(59%)を上回っている。
筋骨格系傷害(Musculoskeletal disorders):BLSの発表によれば、2004年に発生した就労不能日を伴う傷病全体の32%を筋骨格系傷害が占めている。
この傷害の69%は、サービス業界(3次産業)で発生している。
サービス業界(3次産業)の中でも、ほとんどの筋骨格系傷害が商業、運輸業、および公益産業で報告されている(33%)。また、製造業(2次産業)の中では、生産部門での発生件数が高い割合(20%)を占めている。
肉体労働および資材運搬業務、看護補助および患者の付き添い業務、大型トラックおよびトレイラー トラックの運転業務にあたる職種では、全職種の中でも筋骨格系傷害が最も多く発生しており、それぞれの職種での同傷害の発生件数は、33,590件、29,980件、17,770件となっている。
By Lauren Couillard
傷病に関するBLSのプレス リリースは、BLSのWebサイト http://www.bls.gov/news.release/pdf/osh2.pdf でご覧になれます。
12-15-05
Copyrightc 2005 BY BUREAU OF NATIONAL AFFAIRS, INC., EASHINGTON, D.C. OSHR ISSN 0095-3237
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