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2004年 労働災害による死亡者についての全国調査

資料出所:労働省統計局発行 「News」
http://www.bls.gov/news.release/pdf/cfoi.pdf
(訳 国際安全衛生センター)



News   米国労働省
(United States Department of Labor)
労働統計局(Bureau of Labor Statistics)   ワシントンD.C. 20212
技術情報:(202)691-6170
メディア情報:(202)691-5902
インターネット アドレス:http://www.bls.gov/iif/oshcfoil.htm
  USDL 05-1598
発表:2005年8月25日(木)
(米国東部時間)午前10時

2004年 労働災害による死亡者についての全国調査
(NATIONAL CENSUS OF FATAL OCCUPATIONAL INJURIES IN 2004)

2004年に米国で報告された労働災害による死亡者数は合計で5,703人となり、2003年の修正済み合計死亡者数である5,575人との比較では2%の増加となった。死亡者数は増加しているものの、2004年の合計死亡者数は本調査が開始された1992年以降の年次調査において過去3番目に少ない数となった。2004年における労働災害による労働者の死亡率は労働者10万人あたり4.1人となり、2002年と2003年の10万人あたり4.0人と比較すると、死亡率はわずかに上昇している。2004年における労働災害による死亡率の上昇は、労働者10万人あたり5.3人の死亡率を記録した1994年以降、初めてのことである。

2004年労働災害による死亡者についての調査で明らかになった重要ポイント

  • 2003年には2年連続の減少を記録したヒスパニック系労働者の労働災害による死亡者数が、2004年には11%の増加となった。

  • 2004年には、高齢労働者(55才以上)の労働災害による死亡者数が10%増加しているが、若年労働者(16才から24才)については死亡者数が減少している。

  • 2004年には職場での殺人による死亡者数が大幅に減少し、死亡数統計において、過去最低の死亡者数となった。

  • 物品との衝突に起因する労働災害による死亡者数については、2004年には12%の増加を記録して職場での殺人による死亡者数を抜き、死亡者数が3番目に多い労働災害となった。

  • 転落による死亡者数は17%増加してこれまでの最多人数を記録したが、その主な原因は、はしごや屋根からの転落による死亡者数の増加である。

  • 2004年には建設業界での労働災害による死亡者数が8%増加したが、この業界の雇用者数も増加しているため、2003年との比較における死亡率に大幅な上昇は認められない。

  • 2003年との比較では、2004年には27の州において、死亡者数の増加が報告されている。

2004年の労働災害による死亡者についての事由別の特徴

2004年には、転落に起因する労働災害による死亡者数が17%増加した。転落による死亡者数は2年連続で減少していたが、2004年には815人が転落によって死亡し、本調査開始以来の最多人数を記録した。転落による死亡者の増加は、屋根から転落によって死亡した労働者数の39%の増加(2003年128人、2004年178人)と、はしごからの転落による死亡者数の17%の増加(2003年114人、2004年133人)に起因する。屋根およびはしごからの転落による死亡者数は過去最高を記録した。屋根からの転落による死亡者の88%を建設労働者が占めているが、転落死亡災害全体で見ると、建設労働者がこの労働災害による死亡者に占める割合は54%である。

1992年から2004年の労働災害による4大死亡原因
1992年から2004年の労働災害による4大死亡原因
注意:2001年のデータについては、9月11日の同時多発テロでの死亡者数を除外している。
資料:米国労働省、労働統計局、「2004年労働災害による死亡者についての調査(Census of fatal Occupational Injuries, 2004)」

公道での死亡事故は前年まで2年連続で減少していたが、2004年には微増となった。2004年には1,374件の公道での死亡事故が記録されており、これは2004年に発生した労働災害による死亡者の4分の1に相当する。2004年には公道以外での事故(農地や工場敷地内での事故)はわずかに減少しているが、運搬機器および移動機器との衝突などによる事故により、その他の交通事故件数が増加している。

2004年には物品との衝突によって死亡した労働者数が12%増加(2003年531人、2004年596人)したが、この主な要因は、落下物、回転物、およびスライド物との衝突によって死亡した労働者数が増加したことにある。また、感電による死亡者がわずかに増加する一方、有害物質または有害な環境へのばく露による死亡者数は全体的に減少している。これは、極端に低温または高温な物との接触や、腐食性、毒性、またはアレルギー性物質へのばく露、および酸欠に起因する死亡者数が減少したためである。

2004年に発生した職場での殺人による死亡者数は、2003年との比較では大幅に減少している。2004年には551人が職場での殺人によって死亡しているが、これは2003年のデータとの比較では13%の減少であり、本調査開始以来の最低人数となっている。調査期間全体では、職場での殺人による死亡者数は1994年の1,080人が最多となり、これとの比較では49%の減少となる(ただし、2001年9月11日の同時多発テロに起因する職場での殺人による2,886人の死亡者を除く)。

労働災害による死亡者の業界別の特徴

全体として、労働災害による死亡者の91%は、民間部門に属する労働者である。2004年の労働災害による死亡者の47%が民間部門のサービス産業(3次産業)に属し、44%が製造業(2次産業)に属している。2004年に発生した労働災害による死亡者の残りの9%は、連邦、州、および地方政府の職員である。2004年には、民間部門での労働災害による死亡者数が3%の増加を示す一方、政府職員の死亡者数はわずかな減少となった。

2004年の労働災害による死亡者数と死亡率の業界別比較1
2004年の労働災害による死亡者数と死亡率の業界別比較
1 各業界とも、政府機関の被雇用者データを除外し、これについては別個に検討している。
死亡率 = (労働災害による死亡者数/労働者数) x 100,000 労働者についてのデータは、2004年人口動態調査(Current Population Survey:CPS)と米国国防省(Department of Defense:DOD)のデータを使用
資料:米国労働省、米国労働統計局、人口動態調査、労働災害による死亡者についての調査(Census of fatal Occupational Injuries)、米国国防省提供の2004年データ

建設業界では1,224人が労働災害によって死亡しているが、これは業界別の死亡者数では最多となり、2003年との比較では8%の増加となる。この増加の主な要因は、特殊製品販売請負業者での死亡者数が、2003年の629人から2004年の752人へと大幅に増加したことにある。

運輸および倉庫業界では829人が労働災害で死亡しているが、これは全業界の中でも2番目に多い死亡者数である。2003年と同様に、この業界での労働災害による死亡者の大部分は、トラック輸送に従事する労働者である(死亡者508人)。水上輸送および輸送のためのサポート業務に関連する業界における死亡者の大幅増により、2004年の労働災害による死亡者数が業界全体で増加している。

製造業界における労働災害による死亡者数は、2003年の420人から2004年の459人へと9%の増加となった。小売および卸売業界でも、死亡者数が増加している。

農業、林業、漁業、および狩猟業での労働災害による死亡者数は、2004年には7%の減少となった。

労働災害による死亡者の職種別の特徴

労働災害による死亡者数は、運輸および資材運搬にあたる職種で7%、建設および採掘にあたる職種で9%と、それぞれ増加している。これらの2つの職種での死亡者数を合計すると、2004年におけるすべての労働災害による死亡者数の約半数(46%)に相当する。

運輸および資材運搬にあたる職種は、主な職種グループでの労働災害による死亡者数の最大の人数を占めている(2003年の1,393人から1,490人に増加)。この職種グループの死亡率は、2003年の労働者10万人あたり16.7人から2004年の17.5人に増加している。また、自動車運転手の被災が、この職種グループにおける労働災害による死亡者の3分の2を占めている(2003年から5%増加して、1,005人の死亡者)。フォークリフトの操作や廃棄物の収集などの資材運搬にあたる職種では、職種グループで2番目に多い労働災害による死亡者数を記録している(271人の死亡者)。資材運搬にあたる職種での労働災害による死亡者数は、2004年には8%の増加となった。

建設および採掘にあたる職種では、2004年には主な職種グループの中で2番目に多くの労働者が労働災害によって死亡している(2003年の死亡者数1,038人から1,129人に増加)。建設労働者の労働災害による死亡者数は、2003年の788人から2004年の870人へと増加しており、この職種グループの中で最も増加率が高い。屋根職人については94人が労働災害によって死亡しており、2003年の死者数55人から大幅に増加した。この増加は、建設労働者での死者の増加の約半数に相当する。

労働災害による死亡率が高い職種は、伐採労働者(労働者10万人にあたり92.4人)、航空機パイロットおよび航空機関士(10万人あたり92.4人)、漁業従事者および漁業関連労働者(10万人あたり86.4人)、鉄鋼構造物関連の労働者(10万人あたり47.0人)である。

2004年に高い死亡率を示した職種
2004年に高い死亡率を示した職種
死亡率 = (労働災害による死者数/労働者数) x 100,000  
労働者についてのデータは、2004年人口動態調査(Current Population Survey:CPS)と米国国防省(Department of Defense:DOD)のデータを使用
資料:米国労働省、米国労働統計局、人口動態調査、労働災害による死亡者についての調査(Census of fatal Occupational Injuries)、米国国防省提供の2004年データ

労働災害による死亡者の人口統計面での特徴

ヒスパニック系およびラテン系労働者についての労働災害による死亡者数は、前年までは2年連続で減少していたが、2004年には大幅に増加している。このカテゴリに分類される労働者の労働災害による死亡者数は、2003年の794人から2004年の883人に増加し、その増加率は11%となった。また、その労働災害による死亡率は、2003年の労働者10万人あたり4.5人から2004年の10万人あたり4.9人に増加している。また、ヒスパニック系およびラテン系労働者の殺人による死亡者は2003年から27%減少しているものの、転落(27%の増加)、交通事故(27%の増加)、および物品や機器との接触(14%の増加)での労働災害による死亡者が増加したことにより、このカテゴリに属する労働者の労働災害による死亡者数が増加することになった。アジア系、ネイティブハワイ系、および太平洋諸島系の労働者の労働災害による死亡者数は、2003年の158人から2004年の177人に増加しており、その増加率は12%である。この増加には、24人のアジア系労働者が死亡した2件の多数死亡事故が関係している。

高齢労働者(55才以上)の労働災害による死亡者数は、2004年には10%の増加となった。高齢労働者の死亡率は、2003年の労働者10万人あたり6.2人から、2004年の10万人あたり6.6人に増加している。若年労働者(16才から24才)については、労働災害による死亡者数は6%の減少となった。一方、15才以下の労働者の労働災害による死亡者数は、2003年の25人から2004年の12人へと半減している。2004年には男性労働者の死亡者数は増加しているが、女性労働者の死亡者数は2003年のレベルから8%の減少となった。

自営業者の2004年の死亡者数は前年とほぼ同数で、2004年の労働災害による死亡者数の5分の1を占めている。賃金給料労働者の労働災害による死亡者数は、2003年の4,405人から2004年の4,537へと、3%の増加を示した。賃金給料労働者の労働災害による死亡者の率は、10万人あたりで、2003年の3.4人から2004年の3.5人への微増となった。

労働災害による死亡者の州別の特徴

2004年と2003年の労働災害による死亡者数を比較すると、増加が27の州、減少が22の州とコロンビア特別区、そして1つの州で同数となった。2004年に25人以上が労働災害によって死亡した州のうち、6つの州(アラスカ、コネチカット、フロリダ、ルイジアナ、ニュージャージー、ニューメキシコ)では死亡者数が20%以上増加する一方、2つの州(アーカンソー、オレゴン)では死亡者数が20%減少している。

州の詳細な調査結果については、CFOI(労働災害による死亡者)データの収集を担当するそれぞれの州機関への問い合わせにより入手可能である。この調査に参加している州機関とその電話番号は、表6に記載されている。

本調査の背景

「労働災害による死亡者についての調査(Census of Fatal Occupational Injuries:CFOI)」は、労働統計局(BLS)の労働安全衛生統計プログラムの一環として実施されており、米国におけるすべての労働災害による死亡者数についてのデータをカレンダー年ごとに集計している。本調査は、州と連邦のさまざまなデータソースを使用し、労働災害の特定や検証、および特徴の把握を行っている。それぞれの死亡災害についての情報(業種、職種などの労働者の属性、使用していた機器、事故災害の状況)を死亡診断書、労災保険記録、連邦および州の機関に提出された報告書などと相互参照して入手した。データの完全性と正確性は、この方法により、を最大限に確保されているものである。2004年のデータについては、データ収集段階で20,000件を超える個別の文書の検証を実施している。

今回の調査は、米国の全50州とコロンビア特別区での死亡者についての調査としては13回目のものである。BLSによる死亡者についての調査は、連邦と州が等分にコストを負担する共同プログラムである。各州についての詳細データは、表6に記載されている州機関で提供している。

BLSがこれとは別に実施している「業務上の傷害および疾病についての調査(Survey of Occupational Injuries and Illnesses)」では、死亡労働災害以外の就労不能を伴う職場での傷害および疾病について、業界ごとの発生数や発生頻度、労働者の特性および労働災害の特徴を明らかにしている。

2003年の死亡労働災害以外の職場での傷害および疾病に関するニュースリリースは、米国(202) 691-6170への問い合わせまたは下記Webサイトからのアクセスによって入手できる。今後の予定としては、2004年の業界別事故発生率について2005年11月の公表を予定しており、2004年の労働者および事故の特徴などの情報については、2005年12月の提供を予定している。詳細データについては、BLSのWebサイトhttp://www.bls.gov/iif/で確認できる。

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