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業務関連交通事故 危険にさらされているのは誰か
Work-related Roadway Crashes Who's at Risk?

資料出所:NIOSH発行「Fact Sheet」DHHS(NIOSH)発行番号 No.2004-137 March 2004
(仮訳:国際安全衛生センター)


交通事故は米国の労災死亡の主要原因

背景と傾向

  • 交通事故は1992年から2001年までの労災死亡原因のトップを占めており、13,337人の民間労働者が交通事故で死亡している(負傷を原因とする死亡者数全体の22%が交通事故死)。

  • 当該期間中、すべての原因を合わせた労災死亡者数と死亡率は減少しているにもかかわらず、業務関連交通事故の年間死亡者数は増加した。交通事故の死亡率はほとんど変化がなく、専従換算(full-time equivalent: FTE)労働者10万人あたり約1人となっている(図1)。

データ出所:CFOI *

労働者の内訳
  • 被害者の89%は男性で、男性の死亡率(専従換算(FTE)労働者10万人あたり1.7人)は、女性の死亡率(0.3人)より約6倍高かった。

  • 自動車事故による死亡者数が最も多い年齢集団は35〜44才(3,275人、交通事故死の25%)で、次が45〜54才(2,904人、同22%)と25〜34才(2,899人、同22%)であった。

  • 65才以上では、交通事故による死亡率は大幅に高くなっている。75才以上の労働者はすべての年齢集団を通じて最も死亡率が高く(専従換算(FTE)労働者10万人あたり6.4人)、次に死亡率が高いのは65〜74才の労働者であった(同3.8人)。

データ出所:CFOI *

産業部門別、職業部門別の内訳

  • 死亡者数の最も多い産業部門は輸送・通信・公益事業(4,358人、全体の33%)で、以下、サービス業(1,884人、同14%)、建設業(1,403人、同11%)、製造業(1,093人、同8%)の順であった。

  • 死亡率が最も高い産業部門は輸送・通信・公益事業(専従換算(FTE)労働者10万人あたり4.6人)で、以下、鉱業(同3.4人)、農林水産業(同2.6人)の順であった。

  • 死亡者数の最も多い職業部門は輸送・資材運搬(6,212人、47%)で、以下、精密製造・工芸・修理工(1,178人、9%)、販売(975人、7%)、サービス(961人、7%)の順であった。

  • 死亡率の最も高い職業部門は輸送・資材運搬(専従換算(FTE)労働者10万人あたり11.1人)で、以下、農林水産業従事者(同2.5人)、肉体労働者(同1.4人)の順であった。

  • 職業部門で輸送・資材運搬に含まれるトラック運転手の死亡率は専従換算(FTE)労働者10万人あたり17.6人で、当該職業部門全体の死亡率より著しく高かった。

データ出所:CFOI *

事故の内訳
  • 業務関連交通死亡事故の原因で最も多いのは車両同士の衝突(49%)で、以下、ほかの車両や歩行者との衝突ではない(非衝突)単独車両事故(26%)、車両と路側の静止物体との衝突(18%)の順であった。

  • 死亡事故の62%は午前7時から午後4時までの間に発生しており、38%が連邦または州指定幹線道路上、26%が州間幹線道路上、24%が地方道または街路上で発生している。

データ出所:CFOI *


車両

  • 致命傷を負った労働者の乗っていた車両で最も多いのはトレーラートラック(3,780人、28%)で、以下、乗用車(3,140人、24%)、その他の詳細不明なトラック(2,359人、18%)、ピックアップトラック(1,607人、12%)の順であった。[データ出所:CFOI * ]

  • 1992年から2001年までの間にトラック乗員の死亡者数は増加したのに対し、乗用車の乗員の死亡者数は減少した(図2)。[データ出所:CFOI * ]

  • 致命傷を負った労働者の乗っていた車両のうち、62%は企業または政府の登録車両、17%はドライバーの登録車両、12%はドライバー以外の個人の登録車両であった。[データ出所:FARS]

  • 大型トラック(車両総重量10,000ポンド(約4.5トン)を超えるトラック)がほかの車両のドライバーにとって致命的となる可能性は、当該トラックの乗員よりも7倍高かった。1992年から2001年までの間に大型トラックとの衝突で死亡したほかの車両のドライバーは、年間平均4,425人であったのに対し、大型トラック乗員は681人であった。[データ出所:Traffic Safety Facts 2001]

データ出所:CFOI *


車両の乗員およびドライバー
  • 1997年から2002年まででは、致命傷を負った労働者の28%がシートベルトを着用しており、56%がシートベルトを着用していなかったか、またはシートベルトを利用できなかった。残る16%については、ベルトをしていたかどうか不明であった。

  • 事故に結び付いた要因は、道路または車線からのはみ出し(46%)、速度制限の超過または状況が許す以上のスピードの出しすぎ(23%)、ドライバーの不注意(11%)、ドライバーのウトウトや居眠り(7%)などであった。(注記:報告に記載できる事故の要因は各車両について4つまでである。)

  • 労働者が死亡した事故の8%では、その労働者が乗っていた車両のドライバーが飲酒運転だったことが判明している。

データ出所:FARS

車両

データ出所について

労災死亡者に関するデータ
*  労働災害による死亡者の調査(Census of Fatal Occupational Injuries: CFOI)、1992〜2001年(労働統計局(Bureau of Labor Statistics)がNIOSHのために作成した特別調査ファイル。ニューヨーク市を除く)

 死傷分析報告システム(Fatality Analysis Reporting System: FARS)、1997〜2002年。全米幹線道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration: NHTSA)(一般利用向けマイクロデータファイル)。
型トラックが関係した死亡者についてのデータ
 交通安全の事実2001年(Traffic Safety Facts 2001 [NHTSA])。発行番号DOT HS 809 484 (December 2002)。
死亡率の算出に使用した雇用データ
最新人口調査(Current Population Survey)、1992〜2001年(マイクロデータファイル)。

詳細については

業務関連交通事故については、www.cdc.gov/niosh/injury/traumamv.htmlを参照のこと。

職場の安全衛生に関するその他のトピックについては、NIOSHのウェブサイトwww.cdc.gov/nioshにアクセスするか、または下記まで電話のこと。
1-800-35-NIOSH (1-800-356-4674)