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大工は別の事業者から給与を受けていても「特別従業員」に該当

資料出所:BNA発行「Occupational Safety and Health Reporter」30-17
(訳 国際安全衛生センター)

アメリカ連邦地区裁判所は、ある大工が請負業者を相手取って提訴した傷害訴訟について、同人は請負業者の「特別従業員」に当たるとして、訴訟を却下した。(Giordano. v. Freeman Decorating Co. S.D.N.Y. No.97 Civ. 1928 (RCC), 3/28/00)

原告のユージン・ジョルダノは大工見習で、ニューヨーク・コンベンション・センター・オペレーション会社(NYCCOC)に雇用され、 ジェイコブ・K・ジャビッツ・コンベンション・センターで各種の見本市を開催する請負業者に役務を提供していた。原告はフリーマン・デコレーティング会社が請け負った見本市プロジェクトで作業中に負傷した。原告はNYCCOCから労災補償金を受け取ったが、その後にフリーマンを相手取って訴訟を起こした。

フリーマンは、原告は負傷した時点では特別従業員であり、すでに労災補償金を受け取っているので、ニューヨーク州の労働災害補償法によって訴訟を禁止されていると主張した。同社はさらに、原告はフリーマンのために、その監督下で特殊な作業を行うためにNYCCOCから派遣されていたのであり、フリーマンの特別従業員に該当すると述べた。

一方ジョルダノは、自分はNYCCOCから直接に給与と手当てを受け取っているので、その従業員であると主張した。またNYCCOCとニューヨーク大工組合との労働協約の規定により、フリーマンの特別従業員には該当しないとも言っている。

ニューヨーク南部地区連邦地区裁判所は、原告はフリーマンのために特殊な作業を行い、フリーマンのスタッフの監督下にあったので、その特別従業員に当たるとの判断を下した。同地裁はさらに、ある事業者の従業員がその事業者から給与や付帯給付を受けていても、他の事業者の特別従業員になることは可能だとしている。



別の事業者に対する役務

同地裁の判決によると、特別従業員とは「別の事業者に対する役務のため、期間の長短を問わず、限定された期間だけ勤務先を変更された」従業員を言う。従ってある事業者の一般的従業員が別の事業者の特別従業員になることは可能である。その際の決定要因は、特別従業員の作業方法、細目、最終的結果を支配する権利、支払いの方法、解雇の権利、機器の提供、作業の内容や目的などであると、裁判所は言っている。

特別従業員の身分を決めるような一つの要因があるわけではないが、裁判所は従業員の任務の遂行とその結果が「重要で、大きな比重」を持つと述べている。

このような分析に基づき、地裁はフリーマン・デコレーティング社が、関係当事者間の「作業関係のすべての重要な構成要素」を維持していたと判断した。ジョルダノはジャビッツ・センターにチャックインし、フリーマン・デコレーティングに配属されるのが普通である。

同地裁によると、NYCCOCの従業員はジョルダノに、フリーマン・デコレーティングで行う作業について、何の指示も与えていない。NYCCOCは作業の割当てと同時に「ジョルダノの配属期間中における同人の支配権を実質的にフリーマンに引き渡した」と見なされる、と地裁は述べている。

ジョルダノはNYCCOCの従業員であるマイロン・タイスが、ジョルダノのような見本市に働く大工の安全性一般を監督していた、と主張したが、地裁はNYCCOCがジョルダノと同人の作業に関する最終的な権限を持っていたとは考えなかったのである。タイスの職務は組合労働者の安全全般を監視することであり、フリーマン・デコレーティングのために特定の業務の遂行について指揮することではなかった。

ジョルダノが特別従業員であるというフリーマン側の証言に反論する十分な証拠が出されなかったため、地裁はフリーマンの言い分を認めた略式裁判判決を言い渡した。

http://www.bna.com