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個人用保護具

(資料出所:OSHAホームページ 「OSHA Fact Sheet」)

原文はこちらでご覧になれます

(仮訳:国際安全衛生センター)


PPEとは

 個人用保護具(personal protective equipment)すなわちPPEとは、化学物質、放射線、物理的環境、電気、機械あるいはその他の職場の危険有害要因との接触による、重大な職場の傷害、疾病から労働者を保護するために作られたものである。顔面防護具、保護眼鏡、ヘルメット及び安全靴に加えて、PPEにはゴーグル、つなぎ服、手袋、ベスト、耳栓及び呼吸用保護具といった種々の用具及び衣類が含まれる。


事業者の責務とは

 OSHAの基本的なPPE基準は、連邦規則コード(Code of Federal Regulations:CFR)タイトル29パート1910サブパートTに記されている。同等の規則は、OSHA認可の州計画を有する州にもある。一方、PPE要件は一般産業基準(General Industry Standards)のあらゆるところでみられる。例えば、OSHAの消防基準(Fire Brigades Standard)(29CFR1910.156)は、消防士に対する保護具要件となっている。更にタイトル29パート1926.95〜106は建設業をカバーしている。OSHAの一般的PPE必要条件としては、事業者が、どのような危険有害要因が存在するかを決めるために職場の危険有害要因アセスメントを実施することが義務付けられている。危険有害要因がある所では、労働者に適切なPPEを提供し、衛生的で、かつ使用可能な状態でPPEを使用、維持させることを求めている。

 PPEを使用することが必要な場合もある。しかしPPEは一般的には、工学的対策、作業実施方法対策及び管理的対策が行われた後の最後の防護の一線となるものである。工学的対策としては、機械及び作業環境を物理的に変更することが含まれる。管理的対策としては、暴露を低減するような作業計画、労働者を交代させるといった、作業方法、あるいは作業時期を変更することが含まれる。作業実施方法対策には、職場の危険有害要因に対する労働者の暴露をいかに低減するかということを労働者に教育訓練することが含まれる。

 事業者は、PPEの使用が必要となる危険有害要因があるかどうかを調査するために職場のアセスメントを実施しなければならない。もしそのような危険有害要因がある場合には、PPEを選び、それを使用することを労働者に求め、事業者のPPEの選択と決定を労働者に伝え、労働者に適切にフィットしたPPEを選ばなければならない。

 事業者は又、以下のことについて、PPEの使用を要求される労働者を教育訓練しなければならない。
  • PPEの適切な使用

  • いつPPEが必要かの認識

  • 必要なPPEの種類

  • 傷害から労働者を守る点でのPPEの限度の理解

  • PPEの着脱および調節

  • PPEの適切なメンテナンス


PPEによる頭部傷害保護


 ヘルメットは、労働者を落下物、飛来物、固定されたもの、又は電気導体との接触によって引き起こされる障害等の頭部衝撃、貫通傷害及び電気傷害から保護することができる。
また、OSHA規則は、ベルト及びチェーンといった機械部品に労働者の長い髪が巻き込まれないように頭髪を覆い保護することについても事業者に要求している。

PPEによる足及び脚の傷害保護

 フットガード(足甲プロテクター)及び安全靴に加えて、すね当て(例えば革、アルミ加工したレーヨンあるいはその他の適切な材料)は落下物や転がってくる物、鋭利な物、濡れていて滑り易い面、溶融金属、高温の箇所及び感電といったような危険有害要因から労働者を保護することにより、傷害防止に役立つものである。

PPEによる眼及び顔の傷害保護

 眼鏡及びゴーグルに加えて、特別なヘルメット、シールド、顔面シールド、サイド付保護眼鏡等は、粒子、砂、泥、ミスト、粉塵、グレア、飛来する小片、大きなかけら、熱い火花、光学的放射、溶融金属飛沫の危険有害要因から労働者を保護することができる。

PPEによる聴力保護

 耳栓あるいはイヤマフの装着は、聴力障害を防止するのに役立つ。高い騒音レベルへの暴露は、永久聴力損失あるいは、身体的かつ心理的ストレスのような障害を引き起こす原因となりうる。
発泡プラスチック製耳栓、ワックスを塗った木綿あるいはガラス繊維製ウールは可変自在型で、かつ通常よくフィットする。成型、あるいは半成型の耳栓の場合、専門家が、個々人の労働者にフィットするようにしなければならない。定期的に耳栓を清潔にし、汚れが落ちなくなった耳栓は交換する。

PPEによる手の傷害防止

 有害物質の皮膚吸収、ひどい切り傷、あるいは裂傷、ひどい擦傷、化学物質による火傷、熱傷及び有害となる極端な温度にさらされる労働者は、手を保護すると良い。

PPEによる体全体の保護

 場合によっては、労働者は職場での危険有害要因(例えば熱及び放射線、熱い金属、煮沸した液体、体液、有害物質あるいは廃棄物並びにその他の危険有害要因への暴露)に対して体の大部分あるいは全身を覆わなければならない。体全体のPPEに使用される材料には、難燃性ウール及び難燃性木綿に加えて、ゴム、皮、合成化学繊維及びプラスチックが含まれる。

呼吸用保護具

 技術的対策が不可能な場合、労働者は有害な粉塵、霧、ヒューム、ミスト、ガス、煙、スプレーあるいは蒸気で汚染された空気によって引き起こされる健康に対する有害な影響から保護するため適切な呼吸用保護具を使用しなければならない。一般的に呼吸用保護具は鼻及び口、あるいは顔、頭全体をカバーするもので、疾病及び傷害を防止することに役立つ。しかしながら、呼吸用保護具が効果的であるためには、確実にフィットすることが重要である。呼吸用保護具の着用を求められたすべての労働者は、就業前に、健康診断を受けなければならない。

詳細情報

 PPEに関する詳細情報は、OSHAのウェブサイトwww.osha.govからOSHA基準の全文を入手できる。更に、より詳しくPPEを説明している刊行物も、OSHAで入手できる。
「Personal Protective Equipment」(OSHA 3077)及び「Assessing the Need for Personal Protective Equipment: A Guide for Small Business Employers」(OSHA 3151)は、OSHAのウェブサイトで入手できる。建設業のPPEの詳細情報は、www.osha-slc.gov/SLTC/constructionppe/index.htmlにある。

 電話による申告、緊急報告あるいはOSHAアドバイス、OSHA援助あるいは製品についての問合わせは、最寄のOSHA事務所迄。オンライン申告あるいは連邦OSHA及び州計画の詳細情報は、OSHAウェブサイトで見ることができる。