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食料雑貨店向けガイドライン
筋骨格系障害予防のためのエルゴノミクス

資料出所:OSHAホームページ
(仮訳:国際安全衛生センター)

原文はこちらからご覧いただけます
http://www.osha.gov/Publications/osha3192.pdf



労働安全衛生庁(OSHA)
米国労働省
www.osha.gov

食料雑貨店向けガイドライン

OSHA 3192-05N
2004

筋骨格系障害予防のためのエルゴノミクス



食料雑貨店向けガイドライン
筋骨格系障害予防のためのエルゴノミクス

米国労働省長官
エレイン・L・チャオ (Elaine L. Chao, Secretary)

労働安全衛生庁(OSHA)担当労働副長官
ジョン・L・ヘンショー (John L. Henshaw, Assistant Secretary)

OSHA 3192-06N
2004



目次

 

要旨
    3
序論
    5
労働者を保護するためのプロセス
    7
  マネジメント支援の実施     7
  労働者の参加
    7
  問題の把握
    7
  解決策の実施
    8
  障害報告への対応
    8
    図1. 労働環境における活動内容別・潜在的エルゴノミクス的リスクファクター特定のためのチェックリスト     9
    図2. 特定作業内容別・潜在的エルゴノミクス的課題特定のためのチェックリスト     10
  研修の実施     11
  進捗状況の評価     11
解決策の実施     12
店舗全体におけるエルゴノミクス的解決策     13
フロントエンド(レジ、袋詰め、持ち帰り)     17
商品の補充     19
ベーカリー(パン菓子類製造販売店)     21
食肉および調理済み食品     23
生鮮食品     25
その他の情報源     26
参考文献     27



要旨
 

 労働安全衛生庁(OSHA)の「筋骨格系障害予防のためのエルゴノミクス: 食料雑貨店向けガイドライン」は、職場における傷害発症件数を減らし、重症化を防ぐために役立つ実用的な対策案を、食料雑貨店の経営者(事業者)および労働者に提供するものである。食料雑貨店で働く労働者が経験する業務上の傷害および疾病の多くは、ものを持ち上げる動作などさまざまな要因によって発症する可能性のある、腰(背)痛や、ねんざまたは筋違え、手根管症候群などの反復運動障害、或いは身体部位の酷使を原因とする傷害などといった筋骨格系障害(MSDs)である。MSDsは、労働環境以外における要素を部分的に、または全面的に原因として発症する場合もある。
 職場における作業とMSDsの発症の関係については、未だ解明されていないことが多い。しかしOSHAは、多数の食料雑貨店において蓄積されている経験が、労働者をより確実に守るための対策を講じる際の基盤になるものと考えている。本ガイドラインに示されている対応策は、今後これらの傷害に関する理解が進み、正確な情報が増え、技術が向上するに従って改訂される可能性がある。
 傷害を予防するための取り組みを既に実施している食料雑貨店は、業務上の傷害発症件数および労働者補償のコストを減らすことができたと報告している。これらの取り組みは多くの現場で傷害発症件数を減らし、労働効率の向上と操業コストの削減につながっている。例えば、身体部位をひねったり、手を遠くに伸ばしたりといったエルゴノミクス的リスクファクターを減らすことができるレジスターをデザインすることで、レジ担当者の労働効率と生産性を向上することができる (1)。この自主ガイドラインの目的は、食料雑貨店業界が業務上傷害および疾病の原因に対応するために既に行っている取り組みを、さらに改善し強化することである。
 本ガイドラインは、食料雑貨店、複合型総合スーパーマーケット、および倉庫を店舗とする小売店を含むディスカウント販売店のみを対象に作成されたものであり、ここに記されている内容は主として店舗経営者および店舗労働者向けであるが、企業経営者や安全問題担当者に有用な場合もある。OSHAは、倉庫、コンビニエンス・ストア、または食料雑貨店内に入っている銀行や郵便局、喫茶店などといった事業体向けに本ガイドラインを作成したのではない。しかし、ここに示されているものと作業や業務内容が類似している小売または流通に携わる事業体には、これらの情報が有用な場合もある。
 本ガイドラインは、食料雑貨店がエルゴノミクス的解決策の必要性について判断する際に利用できる、効果的な手法や参考となる有用な情報を提供している。ここに示されている対策案および情報は、個々の店舗のニーズおよび保有資源に適応させることができる全般的なガイドラインおよび柔軟な枠組みとして考案されたものである。またOSHAは、特に小規模企業の事業者は、本ガイドラインに述べられている全ての対策を実践することによって実現する包括的なプログラムほど本格的な対策を必要としていないことも認識している。更にOSHAは、小規模企業の事業者の多くが適正なエルゴノミクス・プロセスの実践に際して支援を必要としていることも理解しており、OSHAが小規模企業の事業者向けに無料コンサルティング・サービスの実施を強調するのはそのためである。
 本ガイドラインの核となっているのは、食料雑貨店が既に実施しているさまざまな解決策の説明である。OSHAは、食料雑貨店がこうした解決策を、これ以降に示すようなさまざまな要素を含む系統的改良プロセスの一環として検討することを勧めている。こうした改良プロセスの導入によって、職場で実施される解決策が、傷害発症件数やコストの削減に役立つと考えられる。
 対策案の策定にあたりOSHAは、食料雑貨店業界における既存のエルゴノミクス的対策やプログラムを検証し、既存プログラムの実施状況を現場視察した。さらにOSHAは、エルゴノミクス的改善および特定の解決策によって改善が期待できる労働活動に関する入手可能な科学的情報も検証した。またOSHAは、労働環境における一般的な活動および、食料雑貨店業界において成果を上げている作業形態、プログラム、およびプロセスに関して最も精度の高い情報を得るために、主要関係者を対象に一対一、またはグループ単位で面接も実施した。

 本ガイドラインの本質は助言であり、情報を提供するものである。これらは新しい基準、あるいは規則ではなく、新たな責務を生じさせるものでもない。米国労働安全衛生法では、事業者がエルゴノミクス的なリスクファクターに対応しなければならない範囲が、一般的義務に関する条項(29 U.S.C. 654 (a) (1))によって定められている。事業者によるガイドラインの不履行は違反ではなく、一般的義務に関する条項に違反した証拠にも当たらない。また、OSHAによる本ガイドラインの作成は、一般的義務に関する条項に基づき事業者に責務があることを示すものではない。本ガイドラインで、対策が提案されているが、事業者がこれを導入していない場合、一般的義務に関する条項に違反した証拠には当たらない。更にここで提案されている対策は、個々の雇用に関するニーズおよび人的資源に適応させることができるものとして考案されている。従って、ガイドラインの実施形態は、各職場の状況に応じて異なる可能性がある。




序論
 

 米国において食料雑貨店は、一般市民にとって非常に重要なサービスを提供する存在であるとともに、雇用を生み出す重要な業界でもある。近年、食料雑貨店の経営者および労働者の取り組みにより、労働環境における傷害および疾病の発生件数は減少している。しかし、こうした取り組みにもかかわらず、いまだに毎年数千人の食料雑貨店労働者が労働現場で傷害を被っている(2)。
 既に多くの食料雑貨店が、職場における傷害を減らすことを目的とした取り組みの中で、エルゴノミクス的リスクファクターにばく露の可能性を減らすために、本ガイドラインが提案しているような対策を講じている。
 食料雑貨店における作業内容には肉体的にきつい労働も含まれる。食料雑貨店で働く労働者の多くは、商品を棚に補充したり、チェックしたり、パン菓子類の飾り付けおよび肉製品の加工などを行う過程で毎日数千個の物品を取り扱っている。こうした作業は多数のエルゴノミクス的リスクファクターをともなう。中でも最も重要なリスクファクターは、力、反復運動、不自然な姿勢、および静止姿勢などである(4)。
 食料雑貨店業界では、これらのリスクファクターにより、傷害や疾病が発生する可能性が増加する。OSHAは本ガイドラインにおいて、以下のような症状を含むさまざまな傷害や疾病をさして、「筋骨格系障害(MSDS)」と呼んでいる。
      反復運動または過度な運動によって生じる筋肉損傷および腰痛
      腱炎
      手根管症候群
      回旋腱板損傷(肩の損傷)
      上顆炎(肘の損傷)
      一本の指を繰り返し使うことによって生じるばね指
 労働者がMSDを発症したからといって、それが必ず労働に関連するものであるわけではない。事業者は、労働環境における出来事やばく露の状況がMSD の原因になっている、あるいは発症に関連している場合、または既に発症していたMSD を顕著に悪化させた場合は、OSHAの記録管理規則(29 CFR 1904)に従って、そのMSDが労働に関連している可能性を考えるべきである。例えば、労働者が手根管症候群を発症した場合は、事業者は当該労働者が業務上使っていた手および前腕の動きと、その運動が行われていた時間を検証する必要がある。労働者が手根管症候群を発症し、当該労働者の作業内容が頻繁な手の動き、あるいは手に力を入れたり、不自然なかたちに保ったりすることを必要とするものである場合は、その傷害は業務に関連している可能性がある。一方、作業内容が手や腕の動きをあまり必要としないものである場合は、その傷害は業務に関連していない可能性がある。
 職場以外での、激しい物理的運動をともなう活動が、MSDSの原因または一因となりかねない。MSDsの発症には遺伝的要因や性別、年齢などの要素が関連していることもある。また、MSDsの発症報告は、仕事に対する不満や単調な作業内容、職務上の裁量範囲が狭いなどといった心理社会的要素と関連しているという報告もある(6)。しかし本ガイドラインでは、MSDs発症に関連する職場の身体的要因にのみ言及する。
 筋骨格系に及ぼす影響およびエルゴノミクス的課題に特に対応するために、既に傷害を予防するための取り組みを実施している食料雑貨店は、業務上の傷害発症件数および、それに関連する労働者補償のコストが減っていると報告している。傷害発症件数の減少は、勤労意欲を向上させ、労働者の離職率を下げ、労働者に継続勤務を促し、高齢労働者に早期退職をとどまらせることにもつながる。エルゴノミクス的原則に基づいた労働環境の変革は、作業上の不要な動作を減らし、疲労を軽減し、労働者の作業効率を向上することによって、生産性の向上にもつながる可能性がある。労働者の健康増進、勤労意欲および生産性の向上は、よりよい顧客サービスの実現にもつながると考えられる。
 本ガイドラインは、業務上のMSDs発症件数の低減を目的に、設備・機器、作業場のデザイン、または作業方法などを変えることを提案している。エルゴノミクス的変更の多くは、作業をするために必要な時間を短縮することによって、効率を上げるものである。既にプログラムを立ち上げている食料雑貨店の多くが、MSDsの発症件数が減り、労働者補償のコスト削減や効率の向上につながったと報告している。

リバティ・ミュ−チュアル・インシュアランス・カンパニーの「労働環境における安全指針」は、エルゴノミクス的課題の重要性について記している。

この指針では、労働環境における傷害の原因トップ10の中に、過度な負荷、身体反応、および反復動作の三つをあげている。

2001年の職場における重症傷害の内、これら三つが原因となっているものは43.8%(合計コストベース)を占めている。

職場における重症傷害の合計発生件数は1998年から2001年にかけて減少しているものの、コストベースでは13.5%(物価調整後4%)増加している(3)。

ディスプレイ・ケースの前部に商品を並べると、商品の見栄えがよくなる。しかし、奥行きのあるディスプレイ・ケースの奥にある商品を手前に並べ直したり、商品を補充したりする作業は、不自然で不快な姿勢をともなう。特に取り扱う物品が重い場合には、なおさらである。

この問題に対する解決策としてよく行われているのは、後ろから商品の補充ができるディスプレイ・ケースの使用である。ケースの後ろから補充された牛乳のカートンなどの商品は、傾斜した棚を滑って、消費者に一番近い最前部に常に配置される。労働者にとっても、商品が補充しやすいシステムである。

最近では、このコンセプトをさらに拡大したフロント・ローディング式のケースが開発されている。これは、ダミー背部構造を棚の後部に設置し、手の届く範囲を狭くしたものである。これによって商品は、消費者からよく見え、労働者にも扱いやすい、棚の前部に配置されることになる。

少なくとも小売り販売業一社がすでに、スプリング内蔵の背部構造を設置することによって、このコンセプトに改良を加えている。消費者が物品を棚から取ると、背部構造が残りの商品を後ろから押して、常に手の届きやすい前部に送り出すようになっている。このデザインでは、ケースの後ろまで手を伸ばす必要がないため、ケースへの補充がしやすい。補充担当者は、ひとつめの商品を棚の最前列に置き、続けて前から商品を次々に押し込むことができる(5)。

生鮮食品およびその他の商品を氷の中に埋めておくと、鮮度が保たれ、見栄えのよい状態も持続する。これは、重労働であり、時間もかかる作業である、氷の取り扱い(氷をすくい、持ち上げて、再びすくって移す作業)をともなう。

最近では、商品の上に氷を乗せるのにかかる時間を短縮するとともに、労力も半減できる手法が開発されている。従来の手法では、労働者はカートを製氷機のところまで押していき、氷を手ですくってカートに移し、ディスプレイ・ケースまで運び、カートから再び氷をすくってケースに移していた。

改良された新しい機械では、氷が下に滑り落ちるようになっており、機械の下に、四つのバケツが付いたカートを置くことができるスペースがある。氷が自動的にバケツの中に落ちるため、すくって移す手間が省ける。バケツは扱いやすく、カートから持ち上げて中の氷をディスプレイ・ケースにあけることにより、後半のすくって移す作業も省くことができる。その結果、全体としてみると、作業にかかる労力が軽減され、時間が短縮され、見栄えのするディスプレイが実現するのである(5)。



労働者を保護するためのプロセス
 

 以下に提案されている対策案の多くは、食料雑貨店が考案し、OSHAが食料雑貨店を視察する中で確認したもので、職場におけるエルゴノミクス・プログラムおよび安全プログラムの中で実施されているものである。これらは、食料雑貨店経営者が個々の店舗に適用させることができる、柔軟な枠組みを提供する目的でまとめられたものである。多くの食料雑貨店では、エルゴノミクス、労働者の安全および健康に関するその他の取り組み、労働者の補償問題、および危機管理は、通常同じ担当者によってひとつのプログラムに統括されている。OSHAは、事業者が、自らの施設におけるエルゴノミクス的課題に系統的に対応するためのプロセスを考案し、労働環境における安全と健康を脅かすリスクファクターを認識し、防ぐための全体的なプログラムの中にこのプロセスを組み込むよう勧めている。
 店舗および企業経営陣は、エルゴノミクス・プログラムを構築し、実施する際には、以下に示されている一般的なステップを検討するべきである。ただし、職場における問題を特定し、改善していく際に考慮するべきニーズと制限事項はそれぞれの店舗によって異なることを念頭に置いておく必要がある。店舗毎に、異なるタイプのプログラムおよび対策が実施され、エルゴノミクス・プログラムの目標を達成するために異なる担当者が任命されることもある。

マネジメント支援の実施

 MSDsの発症件数を減らすためのマネジメント支援、および労働者向けのコミュニケーション支援は非常に重要である。貴方はこの自主ガイドラインを手にとって読むことで、既にMSDs発症件数削減への関心を示して下さっている。マネジメント支援によって食料雑貨店が取り組みを続け、必要な資源を配分し、プログラムを実行に移す能力が向上する。OSHAは事業者に対し、以下の項目を実施するよう勧めている。
      明確な目標を設定する。
      その目標達成に向けて積極的に取り組む企業としての姿勢を表明する。
      該当する担当者に、それらの目標を達成するための責務(研修、業務内容の分析など)を課す。
      責務が果たされていることを確認する。
      適切な資源を提供する。
 経営者による有意義な取り組みにより、成果を上げるために不可欠なもうひとつの要素である労働者の参加も向上する。

労働者の参加

 労働者は、職場におけるリスクファクターに関して非常に重要な情報源である。労働者はリスクファクターの特定および問題の解決を促す。労働者の参加は、仕事に対する満足度および意欲を向上させ、職場改善の際に、それらをより受け入れられやすくすることにもつながる。事業者がエルゴノミクス・プロセスに労働者を参加させる方法を以下にあげる。
      提案、問題の提示
      実行が難しい作業の特定、報告
      作業手法についての議論
      作業場および設備・機器の設計デザイン、手順および研修の内容に関する意見の提示
      設備・機器の評価への参加
      アンケート調査および質問票への回答
      傷害の迅速な報告
      MSD症例調査への全面的参加
      エルゴノミクス的責務を担ったプロジェクトグループへの参加

問題の特定

 潜在的なエルゴノミクス的課題を特定するためには、労働環境および労働者が行っている作業を定期的に検証することが重要である。その一環として、OSHA様式300及び301による傷害と疾病に関する情報、労働者への補償記録、および労働者からの問題報告の検証をしても良い。
 労働者と話したり、仕事をしている労働者を観察するために食料雑貨店の中を歩いたりすることによっても、エルゴノミクス的課題を特定することができる。食料雑貨店におけるさまざまな仕事を検証する際には、以下のリスクファクターに特に注意を払うこと。
      力 ― 作業(重量物を持ち上げる 、押す、引っぱるなど)を行う、商品を取り扱う、または装置や器具を制御しながら扱うために必要な身体的労力。
      反復運動 ― 同じ動作や一連の動作を継続して、または頻繁に長時間繰り返す。
      不自然な、または静止姿勢の維持 ― 長時間または繰り返し肩より高い位置に手を伸ばす、膝を曲げる、しゃがむ、作業台の上にかがむ、手首を曲げたままでナイフを使う、ものを持ち上げながら胴をひねるなどといった、身体に負担をかける姿勢をとること。
      接触による刺激 ― 身体または身体の一部(手など)を、硬い、または尖った角に押しつける、または手を金槌のように使う作業。
 いくつものリスクファクターをともなう作業の場合、障害が発症する危険性が高くなる。しかし、仕事内容にリスクファクターが存在すれば、労働者が必ずMSDsを発症するわけではない。ある労働活動によって労働者が障害を発症するリスクは、労働者がその活動の中でリスクファクターにさらされている時間の長さ、頻度、および程度(きつさの度合)に左右される(6)。例えば、休憩をとらずに長時間レジを打っていると、手および手首を痛めることが明らかになっており(7)、背中や下肢を痛める可能性もある(8)。
 食料雑貨店業界は、労働活動を評価するための手順およびチェックリストをいくつか考案している。例えば、図1および図2は、食料雑貨店がエルゴノミクス的課題を特定する際に役立てることのできるチェックリストである。これらのチェックリストには、米国食品マーケティング協会が考案した内容(4)、およびOSHAが考案した内容が含まれている。

解決策の実施

 本ガイドラインの「解決策の実施」の項には、さまざまな課題の解決策が提案されている。

障害報告への対応

  本ガイドラインで提案されている解決策は、食料雑貨店におけるMSDsに関連すると考えられる要素に対応するために考案されたものであるが、将来障害が起こらないことを保証するものではない。食料雑貨店が、労働者の障害または疾病に対応することができる医療担当者を現場に配備していることはまれである。従って、店舗経営者または該当する担当者は、障害に関する報告を受け、適切に対応するための手順を構築しておくべきである。早期介入は、潜在的障害に対応する効果的な手法である。発生する可能性のある作業上の問題に対応できるよう、労働者は障害の発症を早期に報告するべきである。治療や、場合によっては作業の制限が必要になることもあるが、障害に対して対応が行われなかった場合には、よりコストのかかる対策が必要となるため、こうした事態が発生しないよう、根本的な問題に早期に対応するよう注意するべきである(9, 10, 11)。
 OSHAの傷害および疾病の記録および報告に関する規則(29 CFR 1904)は、事業者に、業務上の傷害および疾病の記録を義務付けている。食料雑貨店は、問題のある分野を特定し、エルゴノミクス的取り組みを評価する際に、これらの記録を役立てることができる。連邦法および州法は、業務上の傷害または疾病を報告した労働者を差別することを禁じている(29 U.S.C. 660(c))。
 新しく職場に就いた、または職場に復帰した労働者が経験する筋肉痛が、MSDsの症状と混同されることがある。仕事に慣れるまでのあいだに起きる筋肉痛は、ほとんどの場合、数日たつと消える。一過性の筋肉痛は、新規採用された労働者が仕事を始める際、または数週間職場を離れていた労働者が職場に復帰する際に最も多く起きる。ただし症状が長引き、徐々に悪化する場合は、MSDを発症している可能性がある。

図1.
労働環境における活動内容別・潜在的エルゴノミクス的リスクファクター特定のためのチェックリスト

 以下のいずれかの項目が「はい」である場合は、当該活動をさらに検証するべきである。

ものを持ち上げる際の力

      持ち上げる際に、対象物をつまんで持つ必要がある。
      片手で重いものを持ち上げる。
      非常に重い物品を、機械装置の補助なしに持ち上げる。
      重い物品を、かがんだり、肩の上まで手を伸ばしながら、または身体をひねりながら持ち上げる
      ほとんどの物品を、スキャナーの上を滑らせるのではなく、持ち上げてスキャンする。

押す、引っぱる、運ぶ際の力

      台車、パレット・ジャッキ、またはその他のカート類を動かし始めるのが難しい。
      壊れたパレットの破片や平らでない床面(ひび割れ)のせいで、押している最中に車輪がひっかかったり、はまってしまったりする。
      ものを動かす際に、通常は押すよりも引っぱることの方が多い
      重いものを手で長距離運ぶ。

器具を使う際の力

      器具を使う際に、つまんで持ったり、一本の指で操作する必要がある。
      器具が労働者の手に大きすぎたり、小さすぎたりする。

反復運動

      複数回スキャンする必要がある。
      スキャンする際に、手首をすばやく動かす動作をともなう。
      反復運動が休みなく数時間続く(デリミートのスライス、食料雑貨のスキャン作業など)。
      作業のなかで繰り返し指に力を入れる必要がある(パン生地をこねる、フロスティング(砂糖衣)を絞り出す、値札貼り機を使うなど)。

不自然な姿勢または静止姿勢

      重い物品を持ち上げる、または持っている際に、背中を曲げる、またはひねる。
      狭いスペースからものを持ち上げる、または狭いスペースにものを入れる。
      恒常的に行われている作業が、寄りかかる、前にかがむ、膝を曲げる、しゃがむといった動作をともなう。
      恒常的に行われている作業で、手首を曲げる、またはひねる。
      恒常的に行われている作業で、手が腰より低い位置または肩より高い位置になる。
      恒常的に行われている作業で、身体の背面(袋詰めのために物品を押すなど)、または側面を使う。
      シフト時間中のほとんどが、疲労解消マットなどを敷かず立ったまま仕事をする。
      腕または手が長時間同じ状態のまま姿勢を変えたり、休みを入れたりせずに作業を行う。

接触による刺激

      尖った、または硬い角に接触する可能性がある。
      手を金槌のように使う(容器を閉める際などに)。
      手のひらに器具/調理用具(ナイフ)の端が食い込む。

図2.
特定作業内容別・潜在的エルゴノミクス的課題特定のためのチェックリスト

 以下のいずれかの項目が「いいえ」である場合、当該活動は、その長さ、頻度および程度によっては、エルゴノミクス的問題の原因となる可能性がある。

レジ打ち

      物品に手が届きやすい
      キーボードの補助台は調節可能である。
      レジ担当者は、物品を肘のあたりの高さで扱うことができる。
      身体をひねらずにディスプレイを見ることができる。
      レジ担当者が尖った、または硬い角に接触することがないように、すべての角が滑らかに、または丸くなっている。
      物品は一回目でスムーズにスキャンできる。
      手をひねらずに物品をスキャンすることができる。
      レジ担当者は、重い/かさばった/不自然なかたちの物品を、持ち上げることなくスキャンすることができる。
      重量計、コンベヤー、および水平スキャナー・プレートがすべて同じ高さにある。
      スキャナー・プレートはきれいでひっかき傷がない。
      レジ担当者は疲労解消マットを足元に敷いている、または足置きが設置されている。

袋詰めの実施

      袋詰め担当者は、袋スタンドの高さを調節できる。
      袋詰め担当者が、尖った、または硬い角に接触することがないように、すべての角が滑らかに、または丸くなっている。
      袋には持ち手が付いている。
      袋詰め担当者は、レジの上にかがんだり、背中をひねったりせずに、袋をカートに乗せることができる。

生鮮食品

      ナイフはよく切れる。
      作業台などは、肘のあたりの高さで作業ができるように配置されている。
      重い物品を動かす際にはカートが使われている。

商品棚の補充および倉庫

      高所にある棚にものを出し入れする際には、段付き踏み台/はしごが使われている。
      商品の補充は、身体をひねったり曲げたりすることを最小限に抑えるかたちで行われている。
      大型袋および箱には持ち手が付いている。
      冷たい物品を取り扱う際には、手袋が使われている。
      箱カッターの刃はよく切れる。
      重い物品を動かす際にはカートが使われている。
      荷を腰の高さまで上げたままにしておく際には、カートまたはパレット・ジャッキが使われている。
      軽量パレットが使われている。
      箱の重量は、労働者が持ち上げることのできる範囲内である。

ベーカリー(パン菓子類製造販売店)

      カウンターは労働者に適切な高さおよび幅である。
      重い物品を動かす際にはカートが使われている。
      恒常的に行われている作業で、手/手首を曲げたまま、ひねったままにすることはない。
      作業は肘の高さあたりで行われている。

食肉および調理済み食品関連の作業

      ナイフはよく切れる。
      カウンターは労働者に適切な高さおよび幅である。
      重量計、グラインダー、スライサーなどは、肘の高さあたりで作業を行うことができるように配置されている。
      恒常的に行われている作業で、手/手首を曲げたまま、またはひねったままにすることはない。
      箱の重量は、労働者が持ち上げることのできる範囲内である。
      器具の柄は、労働者の手に合った大きさである(大きすぎず、小さすぎない)。

研修の実施

 事業者および労働者が本ガイドラインで提案されている解決策を安全に実施するためには、研修を実施することが非常に重要である。研修は、すべての労働者が理解できるかたち、および言語で行われなければならない。事業者は、新規採用者オリエンテーションや、スタッフ・ミーティング、部内ミーティング、シフト・ミーティングなど通常の労働活動の中に、さまざまな方法でエルゴノミクス研修を組み込むことができる。またOSHA、事業者団体、保険会社などさまざまなところで、研修に使える資料を入手することができる。OSHAは、食料雑貨店の労働者向けに、以下の事項を提供できるような研修を実施するよう勧めている。
        痛みを起こしたり、傷害につながったりする可能性のある作業内容に関する知識。
        当該労働者が行う作業で使われるべき適切な器具および作業内容に関する理解。
        MSDsとその初期兆候を判別する能力。
        重篤な障害が発症する前に、MSDsの初期兆候に対応することの利点
        OSHAの記録管理規則(29 CFR 1904)に従って当該食料雑貨店が定めている、業務上の傷害および疾病の報告手順の把握。

 またOSHAは、エルゴノミクス的取り組みをコーディネートし、監督する立場にある経営者および監督者に、責務を効果的に遂行するために必要な知識を得るための研修を受けるよう勧めている。特別な責務を負うこれらの人々は、得られた情報および研修によって以下のことができるようになる。

        食料雑貨店における作業内容を分析するために、チェックリストおよびその他のツールを適切に使う。
        適切な設備・機器および作業内容を選択することで問題に対応する。
        労働環境を変更することによって得られる利点を特定する。
        その他の労働者による解決策の実施を助ける。
        エルゴノミクス的取り組みの効果を評価する。

 食料雑貨店の労働者にも、労働環境における新しい展開について知り、初期研修で得た知識を確認できるように再研修することが有用である。

進捗状況の評価

 OSHAは、食料雑貨店に各自のエルゴノミクス的取り組みの効果を評価し、未解決の問題の追跡調査を行うよう勧めている。評価および追跡調査は、傷害および疾病を継続的に減らし、特定のエルゴノミクス的解決策の効果を追跡し、新しい問題の特定、さらに注意する必要のあるエリアの判別に役立つ。食料雑貨店経営者は、エルゴノミクス的課題を特定する際に用いるのと同じ手法(OSHA様式300および301による傷害と疾病に関する情報、労働者の補償記録、労働者への面接、および労働環境の観察など)を用いて、進捗状況を評価することができる(10, 11)。また事業者は、成果の経緯をさかのぼって追跡し、取り組みの効果に関するデータを提供するために、活動内容や改善点などをリストに記録しておくこともできる。
 事業者がプログラムを評価する頻度は、施設の大きさおよび複雑さによって異なる。経営者は、明らかになった問題点に応じてプログラムを改良し、プログラム評価の結果およびプログラムの改訂内容を労働者に伝えるべきである。



解決策の実施
 

  食料雑貨店向けのエルゴノミクス的な解決策の項では、エルゴノミクス的リスクファクターに対応し、コストを管理し、労働者の離職率を下げるために、設備・機器、作業内容および手順をどのように変えることができるかが説明されている。こうした改善により、不必要な動作、およびマニュアルハンドリングによる重労働を除くことができるため、労働者の生産性および作業効率が向上することもある。OSHAは事業者に、食料雑貨店におけるエルゴノミクス的問題に対応する際により好ましい手法として、実行が可能な場では、工学的技術および管理上の手法を用いるよう勧めている。最初に示されている解決策は、食料雑貨店のすべての、またはほとんどのエリアに適用可能なものである。その次に、以下を含む、食料雑貨店の特定部門向け解決策が示されている。
      フロントエンド(レジ、袋詰め、持ち帰り)
      商品の補充
      ベーカリー(パン菓子類製造販売店)
      食肉および調理済み食品
      生鮮食品
 OSHAは、すべての食料雑貨店の部門向けにそれぞれ特定の解決策を提案しているわけではないが、一般的な対策案も有用であると思われる。OSHAは、食料雑貨店は店舗のさまざまなエリアにおける課題に対応するため、さまざまな解決策を実施しなければならないと考えているが、ひとつの食料雑貨店でこれらすべての解決策が実施されることは期待していない。これらの解決策は、すべてを網羅しているわけではない。食料雑貨店経営者は、それぞれの労働環境に適した革新的なエルゴノミクス的解決策を、ここから発展させて構築するよう奨励されている。これらは、個々の店舗経営者が起点としてとらえるべきエルゴノミクス的解決策の例にすぎない。経営者は、それぞれの店舗のニーズに見合ったその他の革新的手法も模索することを期待されている。
 事業者は、既存の店舗を改修する、または新規店舗を設計する際には、エルゴノミクス的課題を特に考慮に入れるべきである。大きな変更はこうしたときのほうが実施しやすく、低コストあるいは追加コストなしにエルゴノミクス的設計を導入することができる(12)。

 キング・カレン・グローサリー・カンパニーは、レジ打ち作業における反復運動を効果的にコントロールするために、三段階の取り組みを開始したことを報告している。同社はまず、第一段階として、レジ担当者、店舗支配人および経営陣を対象に研修を実施した。レジ担当者を対象にした研修では、反復運動の問題、負担の少ない作業方法、および傷害の早期報告の利点を認識させることに焦点を絞った。

次に第二段階として、レジ台およびスキャナーのデザインを変えた。変更点は、手で持ち上げたり、腕をひねったりする動作を減らすためにスキャナー・重量計一体型システムを採用したこと、および胴体をひねる動作を減らすためにレジ担当者の真ん前にスキャナーを配置したことである。そして最後に第三段階として、障害を被った労働者のできるだけ早い職場復帰に取り組んだ。このプログラムでは、労働者が障害を発症すると、看護婦が48時間以内に当該労働者と連絡を取り、職場に復帰するまで治療状況を監視することになっている。

キング・カレン社によると、こうした改善の結果、1992年に21件だったMSDの発症件数が1996年には5件に減ったという(13)。



店舗全体におけるエルゴノミクス的解決策
 



 本項では、傷害を被るリスクを減らすために労働者が実行することができる、店舗全体における安全作業に関するエルゴノミクス的原則について説明している。事業者は、これらの手法を用いることができるように労働者を訓練し、これらが実行しやすいように店舗を設計するべきである。

力を入れてしっかり握る

 力を入れてしっかり握れば、手および前腕の筋肉が効果的に使われ、つまんでつかむよりも負担が少ない。従って、可能な限り常に、片手または両手で力を入れてしっかり握るようにするべきである。

 力を入れてしっかり握るとは、すべての指を握る対象物に巻き付けること、と説明することができる。対象物を拳で包む、と説明されることもある。


 袋、缶、小さな箱などさまざまな物品を、力を入れてしっかり握ることができる。


力を入れてしっかり持ち上げる

 片手で力を入れてしっかり握って持ち上げるには物品が重すぎる、またはかさばりすぎる場合には、両手で力を入れてしっかり握ること。

つまんでつかむ

 力を入れてしっかり握ることができる場合には、つまんでつかむべきではない。しかし、小さな軽い物品(ガムの包みなど)については、つまみながらつかんでも構わない。


店舗全体におけるエルゴノミクス的解決策

安全に持ち上げる

 食料雑貨店におけるほとんどの仕事は、ものを持ち上げる動作をともなう。事業者が労働者に、重い、またはかさばるものを持ち上げる際に補助手段を提供することは重要である。あるものを持ち上げる際に補助が必要かどうかは、対象物の重量および大きさ、持ち上げる頻度、地面からどのくらいの高さにあるか、どのくらいの高さまで持ち上げなければならないのか、どのくらい遠くまで運ばなければならないのか、持ち手が付いているかなど、さまざまな要素に左右される。補助手段としては、台車やカート、または同僚の手助けなどがあげられる。労働者はさまざまな大きさのものの適切な持ち上げ方、補助を求めるべき状況について研修で学ばなければならない。

物品を持つ、持ち上げる、運ぶとき
  • 適切に持ち上げられるよう準備するため、箱およびケースを持ち上げる前に重量を確認する。

  • 腰をひねらないように、身体の向きを調整する。

  • 物品を身体の近くに持つようにする。

  • 背中を伸ばした状態にしておく。

  • 足の筋肉を使って持ち上げる。

  • 急に持ち上げず、スムーズに持ち上げる。

  • 物品を置く場所に身体を近づけておく。


店舗全体におけるエルゴノミクス的解決策

推奨される作業姿勢

 推奨される作業姿勢とは、自然で快適に保つことができる姿勢である。ここに推奨されている以外の姿勢で作業を行うと、通常は体力を浪費したり無駄な動作をしたりすることになり、傷害のリスクも高くなる。また、姿勢を頻繁に変え、作業の合間に身体を伸ばすストレッチ運動を行うことも重要である。それによって血行がよくなり、疲労が軽減される。



店舗全体におけるエルゴノミクス的解決策

最適および望ましい作業範囲

 以下に示される最適および望ましい作業範囲で作業が行われれば、生産性が向上し、より快適に作業ができるようになる。ものを持ち上げたり、手を伸ばしたりする作業がこれらの範囲の中で行われるのが最も安全である。これらの作業範囲外で作業が行われると、傷害のリスクを高める可能性のある不自然な姿勢が生じる。重いものを持ち上げる作業をこの最適作業範囲内で行うことが特に重要である。

最適作業範

  • 腕を軽く曲げて前に出した状態で、手首までの身体の前の範囲。

  • 肩幅の範囲。

  • 上は心臓の高さあたりまで。

  • 下は腰の高さあたりまで。
望ましい作業範囲

  • 腕をまっすぐ前に伸ばした状態で、手までの身体の前の範囲。

  • 両肩よりそれぞれ1フィート分外側までの範囲。

  • 上は肩の高さまで。

  • 下は両手を両脇におろした状態で指先の高さまで。

 

フロントエンド(レジ、袋詰め、持ち帰り)



  • レジ担当者が、コンベヤーの遠くにある物品を、身体を曲げたり手を伸ばしたりして取るのではなく、最適作業範囲で手に取ることができるように、動力式のインフィード・コンベヤー(in-feed conveyer)を使う。

  • コンベヤー上の商品をレジ担当者の手元に流すために、「スイーパー」を使う。
  • (レジスターの引き出し)やプリンターなど頻繁に使われる物品物を、水平に手を伸ばして届きやすいところに配置する。

  • 手を伸ばす動作を最小限に抑えるために、インフィードおよびテイクアウェイ・コンベヤーを、できるだけレジ担当者の手元近くに設置する。

  • 調節可能な立/座式の腰掛け、またはレジ担当者が寄りかかることのできる腰部補助器具の付いたレジ台の使用を検討する。

  • レジ担当者が接触する可能性のある、尖った、または硬い角を削る、丸く加工する、またはパッドを付ける。

  • レジ担当者用の足置きを設置する。交互に片足を休めることで疲労を軽減することができる。
  • 作業台の下に、つま先を置くことができる適切な空間(少なくとも4インチ)を確保する。つま先を置く空間があれば、レジ担当者はレジスターの近くに立つことができ、手を伸ばす負担が軽減される。

  • 労働者が長時間立ったまま作業を行うエリアでは、足置きや疲労解消マットを使う。疲労解消マットの上に立つと、何も敷かない床の上に立つのと比べて、顕著に快適さが増す。

  • コンベヤーのベルトの電子監視装置をスキャナーの近くに配置する。ただし、物品の向きを直すことができ、ベルトが物品をスキャナーの上まで押し出さないよう電子監視装置とスキャナーのあいだに十分な空間を確保する。

  • 望ましい作業範囲内で作業を行う。

  • 同じ商品については、物品をひとつずつスキャンするのではなく、キーボードを使った数量の入力を検討する。

  • 二度試しても物品がうまくスキャンされない場合は、キーボードを使ってコードを入力する。
  • 望ましい作業範囲内で作業を行うために、高さ、水平の距離、および傾き加減を調節できる補助台の上にキーボードを設置する。

  • 身体をひねる、および左右に手を伸ばす動作を減らすために、前に向いたレジスターを使う。
  • レジ担当者の腰の位置に合わせてレジスターの高さを調節する、または踏み台を使う。

  • レジスターのディスプレイを、目線の高さ、または目線よりやや低くなるように配置する。

  • 大きい、またはかさばる物品については、手で取り扱わなくてもよいように、スキャン・カードまたはスキャン・ガンを使う。
  • レジ担当者が物品を持ち上げるのではなく、横に滑らせることができるように、スキャナーとコンベヤーを同じ高さに設置する。

  • 定期的にスキャナーの保守点検を行う。汚れたスキャン・プレートを清潔にし、ひっかき傷が付いたものは交換する。

  • スキャナー・重量計一体型システムを使う。
  • 高さを調節できる袋スタンド(bag-stand)を用意する。袋詰めエリアでは、レジ袋の上部がコンベヤーの高さよりやや低い位置に来るのが望ましい。

  • 袋をカートに乗せる際に過度に手を伸ばさなくてもよいように、カートを労働者の近くに配置する。

  • 持ち手の付いた袋を使う。持ち手が付いた袋は運びやすく、運ぶ際に身体への負担が少ない。

  • 袋および食料雑貨品を店舗の外に運ぶ際にはカートを使う。

  • 駐車場からカートを回収する際に動力式牽引機を使うことを検討する。動力式牽引機を使えば、より多くのカートを効率的に、少ない労力で動かすことができる

 

商品の補充



  • ケースを持ち上げたり運んだりする際には、背中(腰)への負担を軽減するために、身体の近くで持つようにする。

  • 冷凍商品を取り扱うときは保温手袋を使う。冷温は血行を悪くし、手に負担をかけることがある。値札を貼る作業では、冷凍食品の表面から霜を取り除くために、指先がざらざらした手袋を使う。

  • 低い位置の棚に長時間かけて商品を補充する際には、膝パッドを使う。これにより、床に膝をついたときに膝にかかる負担を軽減することができる。

  • パレットの上、または高所の棚にある物品を取る際には、段付きの踏み台を使う。
  • 低い位置の棚で長時間作業をするときは、膝台または腰掛けを使う。これにより、しゃがんだり床に膝をついたりしたときに膝および脚にかかる負担を軽減することができる。

  • 長時間床に膝をついていたり、しゃがんでいたり、高所に手を伸ばしていたりすることのないように、商品の補充作業は交替で行う。

  • パレットから補充先の棚またはケースに物品を移動する際にはカートを使う。

  • カートの車輪がよく回転するようにしておく。車輪の回転が悪いと、押すのが難しい。車輪の状態が悪いラックまたはカートは、修理するまで使わないようにするべきである。

  • 重い物品および回転率の早い物品が手の届きやすい位置に置かれるように、商品棚の物品を配置すること。これにより身体を曲げたり頭上まで手を伸ばしたりすることによって生じる身体への負担を軽減することができる。

  • 適切な安全カッターを使う。労働者が左利きの場合は、左手用のカッターも用意すること。

  • 安全カッターの刃を鋭い状態にしておくこと。刃が切れにくいと、より強い力をかけなければならなくなる。カッターの刃を頻繁に交換すること。

  • パレットが不適切に積み上げられていた場合は、今後の問題を減らすために、納入業者にその旨を通知すること。

  • 床が平らなところで、破片や液体などがこぼれていないようにしておく。床に、早急に修理が必要な問題がある場合は、その旨を報告する。

  • 適宜、持ち手の付いた箱または大型袋を使う。

  • 手で持ち上げる重量を軽くするため、納入業者とともに、より軽量の箱の開発に取り組む。アメリカ保存食品製造業者協会や食品マーケティング協会などの業界団体は、重量40ポンド以下の容器またはパッケージを使用することをすべての企業に推奨している(14)。

  • 押しやすいように、より大きな車輪の付いたカートを使う。労働者がより自然な姿勢でケースを持ち上げたり置いたりできるように、最低段が高めになっているカートを使う。

  • カートおよびパレットのまわりに、荷を持ち上げる作業に必要なだけの空間が確保されているようにする。労働者が手を伸ばしたり身体を曲げたりするのではなく、パレットまたはカートのまわりを歩ける状態にするべきである。

  • 労働者がケースを整理し、ケースを開け、商品に印を付けたり、商品を補充することができるだけの空間が確保されているようにするために、商品棚の間の通路は過密な状態にしない。

  • ものを持ち上げたり運んだりする動作を減らすために、倉庫および中央加工エリアにローラー式コンベヤーおよび回転台を設置する。労働者がそれほど力を入れなくても簡単に回るように、回転台の保守点検を行っておく。ケースを扱う際に必要な、押したり引いたりする力を軽減できるように、ローラー式コンベヤーの保守点検を行っておく。

  • 回転台が使われない場合は、ケースを簡単に回転させることができるように、ローラー式コンベヤーの端の部分に、できれば付着防止コーティング加工されたステンレスの板を取り付ける。金属の表面を滑らせれば、容易にケースをローラー式コンベヤーの上に押し出せるはずである。
  • パレットを腰の高さまで持ち上げるには、動力式ハンドジャッキまたはシザー・リフト(scissors-lift)を使う。これにより、腰を曲げてケースを持ち上げなくてもすむ。

  • パレットに積む荷の高さを労働者の手の届く範囲内に収めるよう、納入業者と協力する。

 

ベーカリー(パン菓子類製造販売店)



これらの対策案は、食料雑貨店から得られた情報をもとに考案されたものである。異なる作業形態を持つベーカリーもあり、別の解決策の方がより適切な場合があることを、OSHAは認識している

  • ケーキが肘の高さあたりに置かれ、より快適な姿勢で作業ができるように、ケーキ・デコレーション用回転台を配置する。高さの調節が可能な回転台を使うことも解決策のひとつだが、回転台の下に底上げ用の台を置く、さまざまな高さの回転台を使う、または身長の低い労働者用に踏み台を設置することもできる。
  • 労働者の手にかかる負担を減らすために、可能な場合は、小さな絞り出し袋を使う。袋が大きければ大きいほど、絞り出す際に強い力を要する。

  • 店舗内で混ぜ合わされるアイシング(糖衣)や衣生地を別の容器に移す必要がないように、適切な数のミキシング・ボウルを用意する。

  • 労働者が長時間立ったまま作業をするエリアでは、足置きや疲労解消マットを使う。

  • カウンターやその他の作業台の下に、つま先を置けるだけの空間が確保されているようにする。
  • アイシングや衣生地の入った容器を底上げ用の台(小さな台や空のバケツなど)の上に置き、最適作業範囲の高さになるようにする。

  • 扱う重量が重くなりすぎないように、粉、砂糖、塩およびその他の原材料は小さめの容器に入れる。

  • 原材料の入った大きな袋および容器を持ち上げる際には、背中(腰)にかかる負担を軽減するために、身体の近くで持つようにする。
  • 生地の入った容器や粉の入った袋など、重い物品を動かす際には、カートまたは車輪付きスタンドを使う。

  • ベーカリー・ワゴンの車輪がよく回転するようにしておく。車輪の回転が悪いと、押すのが難しい。車輪の状態が悪いカートは、修理するまで使わないようにするべきである。

  • できるだけ、ケーキのデコレーションや生地を扱うなどといった継続的な作業と、より身体への負担の少ない作業とを、シフトの中で交互に行わせるようにする。
  • デコレーション用絞り出し袋にアイシングを入れる際には、柄の短いスクープを使う。柄が短い方が、手首にかかる負担が軽減される。

  • 労働者の手に合った(幅が広すぎず、狭すぎない)、滑りにくいへら、スプーン、およびその他の調理用具を使う。

  • 生地を扱う際に手を伸ばす動作を減らすために、パン焼き皿の幅の広い方の側面に立って作業をする。
  • 生地または衣生地を容器から移す際には、労働者がどちらの手でも使うことのできる両手利きのスクープを使う。

  • アイシングに着色料を混ぜる際には、できるだけ動力式ミキサーを使う、または着色済みのアイシングを購入する。これにより、アイシングに着色料を混ぜるときに労働者の手にかかる負担を軽減することができる。

  • アイシングが適度なやわらかさであるようにする。堅すぎるアイシングは、デコレーション用絞り出し袋から絞り出しにくい。アイシングを店で作る場合には、アイシングが適切なやわらかさになるように液体を加える、または温める。アイシングを大型容器単位で購入する場合は、容器を室温で保管するか、使う前に温める。冷たいアイシングは堅く、デコレーション用絞り出し袋から絞り出しにくい。

  • 手で絞る絞り出し袋をなるべく使わなくてすむようなケーキ・デコレーション手法の採用を検討する。労働者の手にかかる負担を軽減するために、可能な限り常にエア・ブラシまたは機械式ディスパーサーを使う。

  • ドーナッツにグレイズ(砂糖シロップ)をかけるエリアでは、手を伸ばす範囲を減らし、背中(腰)にかける力を軽減できるように、できるだけ、幅の広い方の側面に立って作業をする。引っぱりだして労働者が側面で作業ができるようになっているグレイズがけ用作業台もある。
  • 高所の棚にある物品を取る際には、段付きの踏み台を使う。
  • 労働者が手を高く、または遠くに伸ばさずに顧客に商品を手渡すことができるデザインのケースおよびカウンターを探す。

 

食肉および調理済み食品



これらの解決策の多くは、魚介類およびチーズを取り扱う部門にも有用な場合がある。

  • ラックの車輪がよく回転するようにしておく。車輪の回転が悪いと、押すのが難しい。車輪の状態が悪いラックは、修理するまで使わないようにするべきである。

  • グラインダー、カッター、およびその他の機器・器具を、刃がよく研がれ、手入れが行き届いた状態にしておく。刃が鈍い、または手入れが悪い機器・器具は、操作により強い力を要する。

  • 冷凍物品を取り扱う際に着用できるように、保温手袋を用意する。

  • カッターやグラインダーで長時間継続して作業をしないようにする。できるだけ、これらの作業と、より身体への負担の少ない作業とを、シフトの中で交互に行わせるようにする。

  • 手で扱う重量を軽くするために、納入業者と協力して、食肉およびその他の原材料により軽量の箱を使うようにする。

  • 大きな箱および重い物品は身体の近くで持つようにする。これにより、背中(腰)にかかる負担を軽減することができる。

  • 詰め物やその他の物品用の原料を準備する際には、フード・プロセッサーを使う。

  • ラベルが手の届きやすいところにあり、労働者が身体をひねったり歩いて取りに行ったりしなくてもよいように、包装作業台を整理する。

  • 労働者が接触する可能性のある、尖った、または硬い角を取り除く、丸く加工する、またはパッドを付ける。

  • 労働者の手が届きやすいように、ローラー式コンベヤーのコントローラーを、包装作業台の近くに設置する。包装作業台が二つある場合には、いずれの台で作業する労働者もコンベヤーの上からトレイを引っぱったり引きずったりしなくてもよいように、コントローラーを二つ用意するべきである。

  • 労働者が、トレイを持ち上げて作業台に乗せるのではなく、滑らせることができるようにローラー式コンベヤーと包装作業台を同じ高さにする。

  • 頭上の棚にものを保管する必要がある場合には、発泡トレイなど軽い物品を保管する。

  • 高所の棚にある物品を取る際には、段付きの踏み台を使う。
  • 最適作業範囲内で作業を行うことができるように重量計を配置する。労働者が作業するのに高すぎる、または低すぎる位置に重量計が置かれると、労働者は不自然な姿勢で作業をしなければならなくなることがある。すべての労働者が快適な姿勢で作業ができるように、可能な場合は、重量計の台を調節可能なものにする。また、労働者も顧客も背の高いディスプレイ・ケースの上に手を伸ばして肉の包みを取らなくてもすむように、重量計をカウンターの一番低い部分の近くに配置する。
  • グラインダーから出てくる挽肉をトレイに受け、包装する際に労働者が座って作業ができるように、小さな腰掛けを用意する。特に長時間グラインダーで作業をする際に、しゃがんだり腰を曲げたりしたままにしていると、背中(腰)および脚を痛める可能性がある。

  • グラインダーから出てくる挽肉を小さな容器に受け、より快適に作業ができる別の作業台に運んで、トレイに包装するようにする。グラインダーから出てくる挽肉を直接トレイに受けて包装していると、背中(腰)を不自然なかたちにして作業しなければならないが、別の作業台に移動することにより、これを避けることができる。

  • トングを使う場合には、ケースの前部にある物品にも届くように、柄の長いトングを選ぶ。
  • 手を伸ばす範囲を狭くし、それによって背中(腰)にかかる負担を軽減するために、できるだけトレイの幅の広い方の側面に立って作業をする。

  • 手/手首を曲げた、またはひねったまま作業を行わないようにする。
  • ナイフをよく研いでおく。労働者は最適なナイフの研ぎ方について、研修で学んでいるべきである。ナイフ研磨機を定期的に使い、全シフトで、ナイフをよく切れる状態にしておくために、砥石および固定研磨機を使うべきである。
  • より使いやすいものがないか、さまざまな種類のナイフを試してみる。デザインの中には特定の切断加工や仕上げ加工、部位分割作業に適しているものがあり、これらは「特定用途」器具ととらえるべきである。

  • 可能な限り常に、調節可能な作業台を導入する。例えばカット台、重量計、および肉類スライサーなどがここに含まれる。
  • 労働者が過度に手を伸ばさずに顧客に対応できるような、ケースおよびカウンターを探す。

  • 労働者が長時間立ったまま作業をする必要がある場所では、疲労解消マットや足置き、座/立式腰掛けを使う。
  • 労働者が身体を曲げなくても挽肉を受けられ、手をかなり上に伸ばさなくても肉を入れることができるようなグラインダーを探す。
 
 
 

生鮮食品



  • 手動の食品加工器具(ナイフ、ハサミなど)を、刃がよく切れて、手入れが行き届いた状態にしておく。刃が切れにくく、または手入れが悪い機器・器具は、操作により強い力を要する。
  • 氷を扱う際には軽量のプラスチック製のシャベルを使う。この器具は、重いシャベルに比べて身体にかかる負担が少ない。労働者は小さなシャベルを使うことによって、手ですくうよりも、より短時間により多くの氷を移動させることができる。
  • 氷を製氷機から商品のディスプレイ・ケースに運ぶ際には、運搬用氷ケースを使う。

  • 最適作業範囲で作業を行うことができるように、重量計および包装作業台を配置する。労働者が作業するのに高すぎる、または低すぎる位置に重量計が置かれると、労働者は不自然な姿勢で作業をしなければならなくなることがある。すべての労働者が快適な姿勢で作業ができるように、可能な場合は、重量計の台および包装作業台を調節可能なものにする。

  • 箱、メロン類、ジャガイモの袋、またはその他の重い物品を持ち上げたり運んだりする際には、身体の近くに持つようにする。これにより、背中(腰)にかかる負担を軽減することができる。

  • スイカなどの重い物品は輸送用容器に入れておき、動かすときにはパレット・ジャッキを使う。

  • 商品を冷やす際には、氷をシャベルで移す作業を省くために、氷ではなく冷蔵庫を使うことを検討する。

  • 重い物品または回転率の早い物品を、最適作業範囲内の棚に配置する。
  • 重い物品を動かす際にはカートを使う。手を伸ばしたり運んだりする動作を最小限に抑えるために、作業中のカートはディスプレイ・ケースに並べて配置する。



その他の情報源
 

 以下の情報源は、食料雑貨店におけるエルゴノミクスおよび業務上のMSDsの発症予防に関するさらに詳しい情報を必要としている者にとって、有用だと思われる。

Working Smart in the Retail Environment Ergonomics Guide、食品マーケティング協会、(202) 452-8444)
食品マーケティング協会は(有料)、このガイドを含むさまざまなガイドラインおよびビデオを多数発行している。このガイドは、安全性、快適さ、および生産性を向上する方法についてレジ担当者および第一線管理者を指導するものである。また、労働者が用いるべき、および避けるべき一般的および特定の手法の概要をまとめた「適切な作業形態についての手引き(Working Smart Quick Reference)」も含まれている(1996年、68頁)。

In Search of Better Checkstands、国際食品商業労働組合
特にレジ担当者が食料雑貨物品をつかんで持ち上げてスキャンする必要がないようなかたちの食料雑貨スキャナーの利点など、レジスターのデザインに関する詳細な情報を提供するものである。

Easy Ergonomics, A Practical Approach for Improving the Workplace、カリフォルニア州労使関係局
一般的なエルゴノミクス的助言を提供するために作成されたものであり、特定の業界を対象にしたものではない。自らの労働環境におけるエルゴノミクス的状況の改善に取り組む事業者、監督者、および労働者向けに、簡単で実践的なエルゴノミクス的取り組みを提案するものである(1999年、90頁)。

Elements of Ergonomics Programs、米国保健社会福祉省、米国立労働安全衛生研究所、(800) 356-4674)
この文書は、業務上のMSDsの発症予防を目的とした、労働環境で実施する可能なプログラムの基本的要素について説明したものである。ここには、プログラム構築に役立てることができる技術、手法、参考資料およびその他の情報を得られる情報源などをまとめた「ツール・ボックス」が含まれている。

Ergonomics for Very Small Business - Retail/Wholesale(ポスター)、カリフォルニア州労使関係局
 零細規模の小売りおよび卸売り事業の事業者向けの、安全なエルゴノミクス的作業内容の例を掲載したポスター。
 さらに、米国イリノイ州アーリントンハイツにあるOSHAの研修所では、エルゴノミクスを含む、安全および健康に関するさまざまなコースを受講することができる。また全国各地にある研修所教育センターでもコースを受講することができる。コースの開講スケジュールについては、OSHA研修所(2020 South Arlington Heights Road, Arlington Heights, IL 60005, (847) 297-4810)またはOSHAの研修内容に関するウェブサイトを参照のこと。
 OSHAの認証を受けた計画のもと、独自の労働環境における安全および健康プログラムを運営している州および地域が多数ある。食料雑貨店に対する州の具体的な指導内容および規則遵守支援、または食料雑貨店に適用されるさまざまな州基準に関する情報を得る方法については、州の運営するプランの事務局に直接連絡することができるが、その方法についてはOSHAウェブサイトを参照のこと。
 OSHAは、事業体に対して労働環境における安全および健康面の支援を行う、無料コンサルティング・サービスを実施している。OSHAのコンサルティングは、主に連邦政府OSHAが資金を提供しているが、具体的なサービスは全米50州の州政府、コロンビア特別区、グアム、プエルトリコ、およびバージン諸島がそれぞれ実施している。各州では、安全で健康的な労働環境を確立、維持するために支援を要請してきた事業者に対し、労働環境における安全と健康に関して十分な資格を持つ専門家および医療従事者が対応している。危険の多い業界または危険をともなう作業を行っている中小企業の事業者向けに立ち上げられたこのサービスは無料で実施されており、秘密が厳守されている。OSHAのコンサルティングに関する情報はウェブサイト(www.osha.gov)で閲覧可能であり、またOSHAの出版部((202)693-1888)に小冊子「事業者向けのコンサルティング・サービス(Consultation Services for the Employer)(OSHA 3047)」を依頼することもできる。



参考文献
 

[ガイドラインの原文を参照]