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歯科技工所でのベリリウム暴露による健康障害を防止する


資料出所:米国労働安全衛生庁(OSHA)ホームページ
Hazard Information Bulletins
(訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら


本公示の目的

今回の「ハザード情報に関する公示」(HIB)では、歯科技工士には慢性ベリリウム症(chronic beryllium disease : CBD)発症のリスクがあることを事業者と労働者に明らかにする。またベリリウムへの暴露を減らす方法、そのために装着すべき保護具の種類、ベリリウム感作の可能性のある労働者や、CBDの初期段階にある可能性のある労働者を把握するための各種の医学的検査手法についても明らかにする。



背景

ベリリウムを含有する歯科合金の取り扱いを原因とした慢性ベリリウム症:労働安全衛生庁(OSHA)は、ベリリウムを含んだ歯科合金を取り扱う歯科技工士の間で、慢性ベリリウム症が継続的に発生していることを懸念している(注1)。CBDは深刻な肺疾患であり、身体に障害を残し、あるいは死亡するおそれさえある。これまで歯科技工所の職員に発生しており(REFERENCES 1-3)、OSHAに寄せられた最近の手紙でも発症が続発していることが述べられている(REFERENCES 4)。

歯科技工所でベリリウムに暴露する労働者には、現行のOSHAベリリウム許容暴露限界値(PEL)が適用される。許容される暴露量は、8時間の時間荷重平均で大気1立方メートル当たり2マイクログラム(2μg/m3)、30分までの1回の暴露量は5μg/m3から25μg/m3までで、この25μg/m3が上限となり、これを超える暴露量は認められない。現行の2μg/m3というベリリウムのPELは、暴露した労働者のCBD発症を防止するには不十分ではないかと、いくつかの研究や報告で指摘されている(REFERENCES 5-7、9-14)。

本公示には、最近、CBDと診断された歯科技工士の事例報告を掲載した。またベリリウムへの暴露を減らし、ベリリウムを含有する歯科合金の鋳造、湯口切断、研削、研磨、仕上げに従事する労働者のCBD発症リスク軽減に有効な各種の工学的制御、作業慣行、訓練、個人用保護具、作業場所整備についての情報も提供している。さらにベリリウムに感作した個人を把握するための健康調査方式に関する情報も記載した。

注1 この公示が対象としているのは歯科技工所であり、歯科医院については、ベリリウムを含有する歯科合金の製造、修正が院内で行われていないかぎり対象とはならない。

労働安全衛生庁(OSHA)技術支援事務局は「ハザード情報に関する公示」を発表して、職業上の危険有害要因についての情報を提供し、また労働安全衛生に関連した注目に値する、革新的な、または特別の手順、慣行、研究についての情報を提供している。公示は基準や規則ではなく、それ自体が法的義務を規定したものでもない。あくまで助言的な性格のものであり、内容は情報提供が中心で、事業者による安全で健康的な職場の実現を支援することを目的としている。

公示に関する詳しい情報については、OSHA健康基準プログラム事務局(202-693-1950)までお問い合わせを。



事例報告

ベリリウム歯科合金への暴露と作業慣行:歯科技工士として13年間働いた53歳の女性が、2000年5月にCBDと診断された。この労働者は1987年から1995年まで、ベリリウム歯科合金のサンドブラスト、高速の研削機による合金からの金属湯口の切断、携帯用電気グラインダとバリ取り機による気泡の除去、支台歯への補綴物の適合作業を日常的に行っていた。こうした作業中は外科用の紙のマスクを着けていた。技工所には家庭用のビルトイン掃除機があり、ホースを取り付けて掃除できるようになっていたが、室内には大量の粉じんがあったと報告されている。

この労働者は1996年から別の技工所で働いていたが、このとき陶製の補綴物の研削、サンドブラスト、金属の仕上げ、ベンガラを使った補綴物の研磨などの作業に従事した。また清掃作業も行っていた。家庭用掃除機を使用し、掃除機のゴミ袋を毎日屋外に持ち出してゴミを振り落とし、それを洗い、屋外に吊るして乾かしていた。ゴミ袋を振ると粉じんが立ちこめた。この技工所はベリリウムの歯科合金を使っていたが、以前に雇用されていた技工所より使用回数はかなり少なかった。ここでは作業中にマスクもフードも着用しなかった。この労働者が働いていたどちらの技工所でも、浮遊ベリリウムの測定は行われなかった。

ベリリウム暴露の危険性に対する歯科技工士の認識:報告によると、この歯科技工士はベリリウムへの暴露に伴なう健康への悪影響について、事業者から何も知らされていなかった。OSHAの「ハザードコミュニケーション基準」(29 CFR 1910.1200)は、ベリリウムを含有する歯科合金などの危険物質の製造業者に対し、顧客にベリリウム歯科製品に付随して「化学物質等安全データシート」(MSDS)のコピーを提供するよう義務付けている。MSDSには、これらの物質がもたらす危険性と、労働者をその暴露から保護する方法を記載しなければならない。

「ハザードコミュニケーション基準」は、危険な化学物質を使用する事業者に対し、労働者が暴露する危険有害要因への対処法について、またその製品の安全な使用法と作業方法について、労働者に訓練を行うことも義務付けている。ベリリウムを含有する歯科合金のMSDSには、暴露による健康への影響を記載しなければならない。具体的には(1)ベリリウムに暴露した労働者は慢性ベリリウム症を発症するリスクがあること、(2)ベリリウムに暴露すると、肺炎または気管支炎に似た症状の急性ベリリウム症を発症する可能性があること。急性タイプのベリリウム症の例は今日では少ないが、ベリリウムを含有する歯科合金の研削担当者に発生した例が1件報告されている。また、(3)ベリリウムは、国際がん研究機関(IARC)から発ガン製物質に分類されている(REFERENCES 16)。

性ベリリウム症の診断、およびまぎらわしい他の肺疾患:1997年、この歯科技工士はsarcoidosis(類肉腫)と診断された。臨床的観察またはX線診断だけでは、CBDは類肉腫と間違えられる場合がある。この労働者は2000年5月に誤りなくCBDと診断された。このときは追加的な診断手続きがとられ、ベリリウムによるリンパ球増殖検査で陽性となり、また肺に病理学的、生理学的、機能的な異常があったことが根拠となった。現在は空咳、活力の低下、階段を1、2階ほど上がったり平面を早足で歩いた後の息切れなど、CBD特有の症状が現れている。



ベリリウムを含有する歯科合金の把握

すべての歯科合金がベリリウムを含有しているわけではない。歯科技工士は、使用する歯科合金の内容物を調べる必要がある。歯科合金の内容物に関する情報は、これらの製品に付随して歯科技工所に提供されるMSDSに記載されている(注2)。ベリリウムを含有する歯科合金と製品の別称、およびその商品名の一部を、この文書の付属資料に列記している。

注2 歯科技工士は、ベリリウム以外にもニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、ガリウム、ルテニウム、チタン、遊離ケイ酸、金、銀、プラチナなどの有毒物質に暴露するおそれがある。これらの物質の毒性は全般的にベリリウムより低いと思われるが、それでもできるだけ暴露は避けるべきである。


慢性ベリリウム症

CBDは主として肺に影響する。歯科技工士が発症する可能性があるのは、ベリリウムを含有する歯科合金製の歯冠、ブリッジ、部分義歯構造物の作業をしている最中に、ベリリウムを含有する粉じんを吸入する場合である。CBDはベリリウムに最初に暴露してから数カ月以内に発症する場合もあるが、きわめてゆっくりと、暴露から何年も経って発症する場合もある。ベリリウムにどれだけ暴露し、またどのくらいの期間、暴露すればCBDを発症するのかはわかっていないが、最近の情報では、OSHAの許容暴露限界値である1日8時間当たり平均2μg/m3未満の水準のベリリウムに、短期間(数週または数カ月)暴露しただけでも、CBDを発症する労働者がいることが示されている(REFERENCES 5-7)。

ベリリウムへの感作:ベリリウムに感作した労働者だけが、CBDを発症すると考えられている。ベリリウムに感作した労働者とは、ベリリウムにアレルギー反応を起こした労働者である。業務中に暴露してから数週間または数カ月以内に感作する労働者もいれば、暴露した職務から転職した後で感作する労働者、あるいはまったく感作しない労働者もいる。ベリリウムへの感作は、「BeLPT」(ベリリウム・リンパ球増殖検査)といわれる血液検査によって発見できる場合がある。この検査は、白血球の一種であるリンパ球がベリリウムにどのように反応するかを計測する。結果が陽性の労働者は感作していることになる。CBD患者のなかには、リンパ球検査では陽性を示さないが他の診断検査ではベリリウムに陽性を示す者もいる。感作は、ベリリウムの粉じんまたはヒュームの吸入によって発生するとみられている。ベリリウムを含む粒子が皮下に蓄積されて皮膚を損傷し、感作を引き起こす可能性がある。ベリリウム感作に伴なって現れる症状は明らかになっていない。感作した人がすべてCBDを発症するかどうかは不明だが、調査で把握したベリリウムに感作した労働者のうち、46%から100%が、第1回目の臨床検査の時点で、すでにCBDを発症していた(REFERENCES 6、11、12、17-21)。現在、ベリリウムに感作したがCBDを発症していない人は、年間約10%の割合でCBDを発症する可能性があると推計されている(REFERENCES 22)。

慢性ベリリウム症の兆候と症状:CBDを発症した労働者がその事実に気づいていない、または症状がまったくないか軽い場合もある。CBDの発症が臨床的に証明された労働者は、以下の兆候または症状のいくつかが観測できる場合がある。つまり原因不明の咳、特に活動後などの息切れ、疲労、体重または食欲の低下、発熱、寝汗である。CBDを発症しているのに症状のない労働者でも、今日では医学的検査の発達で診断が可能になった。CBDは何年もかけてゆっくりと進行する場合があるため、労働者は発症に無自覚なまま長期間を過ごすこともある。CBD患者で臨床的症状のない人は、一般に無症候性CBD、または準臨床的CBDと呼ばれる。



推奨

工学的制御、作業慣行、個人用保護具、訓練:以下の対策は、歯科技工士によるベリリウムへの暴露を減らすために有効である。

1.工学的制御

工学的制御は、労働者を保護するための最前線に位置する手法である。したがって事業者は適切な工学的制御を実施するとともに、労働者に使用方法と作業方法を学ぶ訓練を施し、歯科技工士によるベリリウムへの暴露を、現行のOSHA許容暴露限界値未満に抑えるべきである。工学的制御法としては以下を推奨する。

  • 可能ならば、歯科技工に使用する合金はベリリウムを含有していないものに変えるべきである。
  • ベリリウムを含有する歯科合金の鋳造、切断、研削、研磨にかかわるすべての作業手順は、適切に設計、設置された局所排気装置を使用して行うべきである。
  • 掃除機と局所排気装置には、高性能の大気微粒子フィルター(HEPAフィルター)を装着するべきである(注3)。

2.ベリリウムへの暴露を減らす作業慣行

歯科技工士によるベリリウムへの暴露を減らすために、以下の作業慣行を実践するべきである。

  • 発じんの量が多い電動グラインダなどの方式を、発じん量の少ない手作業での研削方式などに変えるべきである。
  • ベリリウムを含有する歯科合金の作業を行う場合は、局所排気装置(フード)を適切に使用し、粉じんやヒュームの発生を最小限に抑えるべきである。
  • 設備と作業区域周辺の床の清掃には大気微粒子フィルター(HEPAフィルター)付き掃除機を使用すべきである。
  • 部品や作業面の清掃には圧縮空気を使用しない。
  • 清掃に湿ったモップを使用する場合、乾燥後に粉じんの残滓を残さないようにする。
  • 労働者への浮遊ベリリウム粉じんやヒュームの暴露を、定期的に個人サンプリング方式によって監視し、ベリリウムへの暴露をOSHAの許容暴露限界値未満のなるべく低い水準に抑える。
  • ベリリウムを含有する歯科合金の鋳造または製造区域に立ち入りできる労働者の数を制限する。
  • 適切な呼吸用保護具を使用する。

3.衛生、衣類、作業場所の整備方法と個人用保護具

ベリリウムを含む粉じんが自動車内に持ち込まれ、作業に従事した労働者の靴、衣類、毛髪に付着してさらに家庭に持ち込まれる可能性がある(REFERENCES 23)。ベリリウムに暴露した労働者の家族にCBDが発症した事例がある。皮膚への接触を最小限に抑え、家庭への有害物質持ち込みと非作業区域の汚染を減らすため、ベリリウム合金を含む歯科用品と補綴物を製造している区域では、保護衣の着用を徹底する(保護衣には、技工所用作業衣、ブーティーなど労働者の皮膚、毛髪、個人の衣服の上から着用する衣類が含まれる)。また事業者は、労働者に以下の点を徹底させるべきである。

  • 飲食や喫煙、化粧などの前に顔、手、腕を洗浄すること。
  • 作業区域に食品、飲料、化粧品、タバコを持ち込まないこと。
  • 手袋とアームスリーブを使用して皮膚への接触を最小限に抑えること。
  • 事前に適切に洗浄しないかぎり、保護衣を着用したまま飲食のための区域に入らないこと。
  • 普段着は作業衣とは別に清潔な場所に収納すること。
  • 勤務時間中、作業衣をできるだけ清潔に保つこと。
  • 作業衣を脱ぐ前に掃除機で吸引すること(吹き飛ばしたり振り落としたりしないこと)。
  • ブーティーを着用していない場合、作業区域を出る前に靴の汚れをふき取ること。
  • 保護衣や保護具を着用したまま作業区域を出ないこと。また洗濯のために家庭に持ち帰らないこと。
  • 作業後は作業衣を覆い付きの容器に収納すること。
  • 作業区域を出る前に、最低限でも手と顔を洗うこと。
  • 可能なら、施設を出る前にシャワーを浴び、普段着に着替えること。

注3 局所排気装置のフィルターとすべての掃除機は、定期的に保守して暴露を最小限に抑えるべきである。フィルターは技工所のフード内など、適切に換気された密閉状態の中で交換すべきである。手袋、全身を保護するカバーオールなどの個人用保護具と呼吸用保護具が必要になる場合がある。

4.呼吸器保護

最近の研究で、OSHAが定める2μg/m3未満の水準のベリリウムに暴露した場合でも、CBDを発症する労働者がいることが示されている(REFERENCES 5-7、9-14)。したがって許容暴露限界値未満にある場合でも、事業者は暴露する労働者に対し、国立安全衛生研究所(NIOSH)承認の、100シリーズフィルター付き空気浄化呼吸器(状況に応じてN、P、Rの各タイプ)か、場合によってはHEPAフィルター付きの電動ファン付き呼吸用保護具を用意すべきである。労働者がベリリウムを含有する歯科合金の製造に従事し、粉じんが浮遊状態になる可能性のある場所ではとくに必要である。呼吸用保護具の着用者は、着用について医学的に承認を受け、また保護具が的確にフィットするようテストをしなければならない(OSHAの「呼吸保護基準」29 CFR 1910.134を参照)。(注:上述の事例では、歯科技工士はマスクをまったく着用していなかったか、外科用マスクを着用していた。外科用マスクの使用は十分な呼吸保護にならない。顔面を密閉せず、また微細な粒子を効果的にしゃ断できないからである。外科用マスクの使用は誤った安心感を与え、浮遊ベリリウムのヒュームまたは粉じんへの暴露から労働者を保護しない)。

5.訓練と情報

事業者はOSHAの「ハザードコミュニケーション基準」(29 CFR 1910.1200)を順守しなければならない。これ以外にも事業者と労働者が暴露を予防するために有効な情報がある。以下の情報には、ベリリウムへの暴露に伴なう健康障害から労働者を保護するために有効な要件と推奨事項の両方が含まれている。事業者は、ベリリウムに暴露する労働者に対し、以下の事項に関して訓練し、情報を提供しなければならない。

  • ベリリウムを含有する合金に暴露する可能性のある作業場所での作業に特有の性質。
  • ベリリウムを含有する歯科合金の「化学物質等安全データシート」(MSDS)。
  • 暴露の結果として発生する可能性のある肺の疾病(CBD)の深刻さ。
  • CBDの兆候と症状。
  • 暴露の結果として肺がんを発症する可能性。
  • ベリリウムを含む粉じんへの皮膚接触を回避する重要性。
  • ベリリウムを含有する合金への暴露を減らすために事業者が採用している工学的制御。
  • ベリリウムを含有する合金への暴露を減らすために実行すべき具体的な作業慣行。
  • 呼吸用保護具や皮膚保護具など適切な保護具の使用。
  • 作業区域のベリリウム感知に有効な作業場所のモニタリングなどの方式。
  • 歯科技工所のベリリウム汚染状況(レベル)を調査するために事業者などが実施したサンプリングの調査結果。
  • 暴露した労働者がベリリウムに感作しているかどうか判定するための血液検査(ベリリウム・リンパ球増殖検査)を受けられること。
  • この「ハザード情報に関する公示」のコピー。

ベリリウム感作と慢性ベリリウム症に関する健康調査の方式:

1.事業者に対して

事業者は、ベリリウムに暴露した歯科技工士を医師または他の資格をもつ医療専門家のもとに送り、ベリリウム感作またはCBD発症を検査してもらうことを検討すべきである。CBDの検査の第1段階は、通常はベリリウム感作に対する血液検査(BeLPT)で、これに医療専門家が適当と考える他の検査が加わる(注4)。わずかな例外を除き、BeLPTの血液検査は呼吸検査や肺のX線検査より早くベリリウムへの反応を検知する。BeLPTが陽性と確認されれば、その労働者はベリリウムに感作していることになる。ただしそれはCBDを発症している、あるいは発症することを意味するものではない。ベリリウムに感作していることを知らされると、CBDを発症するかどうかが心配になる人もいる。こうした人は、CBDに通じた医療従事者に詳しい医学検査やカウンセリングについて相談することを考えるものである。

労働者がCBDを発症する前の段階で、必ずベリリウムに感作していると一般に考えられているが、血液検査で感作が示されない場合もある。ほとんどの医学研究所ではBeLPTを日常的には実施していない。ただし医療専門家は、以下に列挙した検査機関や医学研究センターに検査を要請できる。検査のために労働者を医療専門家に送る際は、この「ハザード情報に関する公示」を持参させるべきである。

注4 ブラッシュ・ウェルマン社の研究者の文献中、1件の報告書(REFERENCES 17)がBeLPTはスクリーニング検査の基準を満たしていないが、CBDのための有効な検査方法であると結論付けている。この報告書によると、検査で感作が確認された労働者の46%が、最初の臨床検査でCBDを発症していた。別の調査では、検査で感作が確認された労働者の49%〜100%が、同じく最初の臨床検査でCBD患者であった(REFERENCES 6、11、12、18-21)。

2.労働者に対して

ベリリウムを含有する合金でできた歯科用品または補綴物の修理もしくは製造を担当していて、以下にあげた症状のどれかが現れた場合は、事業者と医療専門家に過去のベリリウムへの暴露について報告するか、職業性の肺疾患を専門とする医療専門家から情報を得て、自分がCBDを発症しているかどうかを判定すべきである。

  • 原因不明の咳
  • 息切れ
  • 疲労
  • 体重または食欲の低下
  • 発熱または寝汗

以上の症状は見られないが、ベリリウムに感作しているのではないかと心配な場合は、事業者と医療専門家に血液BeLPT検査を受けたい旨を申し出るべきである。その際、この「ハザード情報に関する公示」を持参すること。



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付属資料

Dental Alloys Containing Beryllium
Nickel alloy
Pent V Ticonium Premium
100 Denture Alloy
non-precious
nickel/chrome
ceramic bake-on
alloy

Pentillium Ultratek
ADAN2 Jel-Span Polaris Uniflo-B
Argeloy NP
Premium NP Unitbond
Bak-On NP Pre- Solder Litecast B Rex V Vera Bond
Beta
Rexillium
Biobond II Microbond 2000 Rexillium III Vident 550 NI-CR
Be Alloy
Biobond II Ceramic Bonding
Alloy
Purcast Rexillium V Vitrified V Bond
Co-span Neydium + Be Rexillium W Vitron
CSN Alloy Nickel Chromium Alloy Servalloy V Premium NP
Dentillium
Dentsply Regalloy T Partial
Denture Alloy
Nobil Ceram
Noble Metal Alloy
Summit
T-3
W.C. V Pisces
Westbond B
Dentsply Regalloy 100 Partial
Denture Alloy
NPA I Tech Star Will-ceram Lite-cast B
Excelalloy NPX III Ticon Will-ceram Lite-cast B
Fidelity 1000 Odyssey Ticonium No. 44 Wiron
Formula 40 Omni Ticonium No. 50
Gemini II Pen V Ticonium No. 100

Dental Products Containing Beryllium
A or C Abrasive Grinding Wheels, Sticks and Hones

註)
(1)一般的に、これらの合金のベリリウム含有量は、0.5〜2.0%程度である。
(2)このリストは、過去、歯科用に使用されたベリリウムを含有する製品リストの一部である。
(3)2000年以来、Jel-Spanは、ベリリウムを含有しないで製造されている合金である。