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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > アメリカ 高齢化するベビーブーマー:エルゴノミクス(人間工学)プログラムの準備はできているか?

高齢化するベビーブーマー
エルゴノミクスプログラムの準備はできているか?

資料出所:「Safety Focus」2000年11・12月号 P.17,18
(訳 国際安全衛生センター)

アメリカの労働者の高齢化が進んでいる。1945年から1964年の間に生まれた「ベビー・ブーマー」と呼ばれる世代の高齢化につれ、労働者の平均年齢は上がり続けている。

統計をみてみよう。

■  労働者の平均年齢は、1984年の34歳から2000年には39歳に上昇した。最近の労働省のデータによると、現在の労働者の36%は、35歳から55歳の間と推計されている。このうち16%が55歳から59歳である。
■  2005年には、45歳から64歳までのアメリカ人の人口は7,000万人になると推計される。国勢調査局は、この年代のアメリカ人を現在5,700万人としているので、大幅な増加になる。


職場の変化

アメリカ人は、年齢差別と定年退職制を禁止する法律に守られているため、その多くが60歳代から70歳代まで働き続ける道を選んでいる。寿命が伸び、体力が向上した結果、高齢労働者の退職時期は遅くなっている。労働市場が逼迫している現在、多くの事業者は高齢労働者を価値ある資源ととらえ、退職延期の決断を支持し、後押ししている。


加齢に伴なう正常な生理的変化

労働者の状態が総体的に変化するにつれ、その肉体的能力や技能についての特別な検討が重要になるだろう。安全衛生の専門家にとっては、高齢化する労働者の安全、衛生、生産性を維持するためのニーズを把握し、プログラムを開発することが課題になる。労働者の加齢に伴ない、視力、聴力、心臓、肺、皮膚、筋肉、尿道、腸管、内分泌器官、免疫系統に変化がでてくる可能性がある。


エルゴノミクスプログラム

高齢労働者は、そのニーズを考慮したエルゴノミクス的変更で恩恵を受ける。ただし、エルゴノミクス的変更は、労働者全員に役立つように設計すべきであることを忘れてはならない。


安全衛生の専門家(health and safety Professeional)のための特別な検討

アメリカで年齢差別に対する訴訟リスクが増えているなかで、安全衛生の専門家は関連法への理解を深めておくことが重要である。エルゴノミクスに基づく業務評価は、ビジネスとしても有望である。アメリカ企業のためのリソースとしての高齢労働者の価値を認識し、彼らの特殊なニーズに応える積極的なプログラムを開発すべきである。

ウィスコンシン大学(ホワイトウォーター)
エリザベス・コーネリアソン(MS. RN. COHN-S)