近年の鉱山での死亡事故増加を懸念するMSHA
資料出所:「Safety Focus」2000年11・12月号
(訳 国際安全衛生センター)
鉱山安全衛生庁(MSHA)のJ・デビット・マッカーティー次官補が、先ごろ、金属および非金属鉱山の関係者あてに書簡を交付し、最近、これらの業種で死亡事故が増加していることへのMSHAの懸念を明らかにした。2000年6月の金属および非金属鉱山での労働者の死亡は10人だったが、前年同月は2人だった。2000年は、金属および非金属鉱山での災害で、これまでに28人の労働者が死亡している。
金属および非金属鉱山での死亡事故のうち、18件は動力斜坑巻上機と機械が原因である。MSHAによると、鉱山の操業責任者が基本的な安全手続きを確立し、労働者が使用する前に機械の不具合を把握するための操業前点検などを実施していれば、18件の死亡事故はいずれも防止できた。動力斜坑巻上機の安全問題についての研修用資料は、MSHAのウェブサイト(www.msha.gov)で入手できる。
死亡事故のうちの7件は、より包括的な職場点検を通じて死亡事故の原因になりうる職場の危険要因を把握していれば、防止可能だったとMSHAはみている。MSHAによると、効果的な職場点検のカギは労働者の研修にあり、これによって鉱山安全手順の順守を徹底し、危険をはらむ鉱山の諸条件を認識させることである。
またMSHAは、今年、金属および非金属鉱山で死亡した労働者のうちの6人は、救命胴衣、命綱、安全ベルトとシートベルトなど、MSHAの規則で義務づけられた個人用保護具を装着していなかったと指摘している。関係者あての書簡では、個人用保護具を装着しなかったことが個別の死亡事故につながったかどうかは明言していないが、経営者と管理者に対し、労働者が適切な個人用保護具を利用できる体制を整えるよう促している。最後にMSHAは、今年、金属および非金属鉱山で死亡した労働者のうちの8人は、外部請負業者の労働者であったと指摘している。そして外部請負業者に個々の鉱山に対応した安全問題と手順を認識させることで、これら業者による災害増加は防止できると考えている。
出所:2000年7月11日付のMSHAから金属および非金属鉱山関係者あての書簡(www.msha.govより)
MSHAが業務上の騒音暴露の新基準に関する方針文書を発表
8月4日、MSHAは、業務上の騒音暴露に関する同庁の安全基準(9月13日付で発効)の実施方法を概説した文書を発表した。これは、業務上の騒音暴露基準発効前に発表予定であった2つの方針文書のうちの最初の分である。MSHAによると、この方針文書は、新基準の実施方法に関する労使双方への勧告をまとめたものである。
MSHAは、昨年9月に業務上の騒音暴露に関する衛生基準を策定したが、鉱山経営者と労働組合が連邦裁判所に提訴したため、今年まで実施できなかった。その後、当事者が合意に達したため、提訴は棄却された。
方針文書は質疑応答形式で作成されており、MSHAの審査と騒音基準の実施方法の細部を明らかにしている。たとえば、業務上の騒音基準に基づき、鉱山の操業責任者は労働者の騒音暴露を規定水準以下に抑えるため、実施可能なあらゆる工学的および管理上の抑制策を講じることが義務づけられる。方針文書では、そうした抑制策が個別の鉱山経営にとって実施可能かどうかをMSHAが判断する際の要素を、いかに適用するかを説明している。この方針文書のコピーはMSHAのウェブサイト(www.msha.gov)で入手できる。
出所:MSHAプログラム方針文書 No.P00−IV−3
"Noise Enforcement Policy"(「騒音対策実施方針」)
アイラ・マイケル・シェパード
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