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決定第141/1998/QD-TTG号の施行から一年が経過したNILPの現状
NILP所長代行
Le Van Trinh博士
1998年8月1日、ベトナム社会主義共和国政府首相は、国立労働保護研究所(NILP)の機能および職務の改革補正に関する、決定第141/1998/
QD -TTg号を発行した。この決定によって、NILPは、各省と同格で政府直属のめだまとなる最も重要な省庁関連機関の一つになった。他の科学技術研究開発機関との違いは、首相が決定第141号によって、NILPをベトナム労働総連合(VGCL)の管轄とし、科学技術環境省(MOSTE)との連携を定めると同時に、科学分野の研究・推進・教育訓練・技術開発、ならびに労働安全衛生に関わる労働組合組織活動でのベトナム労働総連合(VGCL)への援助において、NILPに対し4つの主な機能と職務を委任すると明言した点にある。
1971年5月1日に国家委員会によって設立されて以来、NILPはこの28年間の活動の中で絶えず発展と成長を遂げてきており、専門研究機関として政府とベトナム労働総連合(VGCL)の信頼に応える優れた実績を上げ、高い評価を得ている。
NILP全職員は、首相が承認した決定141号を誇りに思うとともに名誉あるものとして受け止め、政府が課したOSH分野における自らの役割に大きな責任を感じている。4つの国家機能と職務を果たすため、現在NILPは労働者の健康管理・保護戦略、部門間の連携などに関わる重要項目に焦点をあてた新組織構造計画の策定にあたっている。
この新組織構造に従って、大気汚染、有毒ガス・粒じん、物理的危険、光工学の4つの環境関連部を統合し、3つの研究室を備えた技術・環境センターと国家労働環境監視機構を設置する。またOSH情報推進訓練部を強化し、より重要かつ広範囲な職務を遂行するOSH情報推進訓練センターとする。労働衛生人間工学部や安全工学部、保護具部などを含めた他の部署もそれぞれ強化し、国家の産業化と近代化を担う労働者の環境改善を目指した調査研究を進める。
研究開発活動に関しては、1998年8月以降、NILPは、政府に委託されたプロジェクトを予定通り実施した以外にも、たとえば、「労働者の健康を害する環境汚染リスクの処理戦略と監視対策に関する調査研究」-KHCN.11.07を実施した。これは、工業地域にある約60社の労働者4000人を対象に現地調査を実施し評価を行ったもので、これにより、労働環境保護戦略の改善対策を発表している。また、「国家の産業・近代化時代における女性労働者の労働安全衛生」は、主として、北・中央・南ベトナムにある40社の女性労働者を対象に現地調査を行ったもので、そのアンケートの分析結果を基に、女性労働者に関する戦略原案を作成した。そのほかにも、NILPは、農業・民間部門産業分野のOSHに関連した14のプロジェクトを行政レベルで立案し、これまでに、炭鉱労働者などを、騒音および振動から保護するための1つのプロジェクトを実施している。
ベトナム共産党中央執行委員会の決議案第2号の精神に基づき、また、首相から機能および職務を委託され、NILPは、産業界、県、企業と密接な協調体制を確立し、直接的な業務を実施するための短期および長期共同研究計画を共同で進めている。たとえば、VIETSOPETROとの「石油・ガス採掘労働者の環境、労働条件および健康管理」に関する共同計画、Hoa
Binh県人民委員会と共同で実施する、地方住民へのサービス事業に関する共同計画、国家環境部との環境管理計画の共同実施などである。
プロジェクトや共同研究を実施する上で、NILPは世界中の国際機関や大学、研究所とも協力関係を構築し、発展させてきた。例えば、国際労働機関(ILO)とは、ILO/DANIDAの援助を受けて「ベトナムの漁業・建設業におけるOSH・労働条件・労働環境の改善」
を目指すプロジェクトを共同実施した。 このプロジェクトの成果は、水産省および建設省から高い評価を受けている。また、国立労働衛生学研究所、日本労働省、日本の産業医科大学医学部衛生学教室(UOEH、北九州市)は、「Quang
Ninh炭鉱における労働条件のアセスメント」や「高輝度が労働者の健康におよぼす影響」などの調査研究を共同で実施した。さらにNILPは、労働省が立案した「国のけい肺症撲滅プロジェクト」の主要メンバーでもある。
実際の生産を目的としたOSHアプリケーションの開発活動に関しては、NILPは保護具と粉じん処理装置の試験的製造に取り組む2つのプロジェクトを実施した。これらはいずれも研究努力の成果と言えよう。NILPが開発した製品は、多くの企業から歓迎されている。政府、州および研究所レベルでの研究結果に基づいて、NILPは、Duyen
Hai機械製作所、Hai Phong鉄鋼所、Lang Sonセメント工場、Hoa
Binh発電所等への鉄鋼炉じん煙処理・排気システムの導入など、労働条件と労働環境の向上を目指して、企業に対し積極的な支援を行っている。
OSH情報推進教育分野では、NILPはOSH国内情報ネットワークおよびCIS/ILO協力センターの中心的組織として、OSH管理システムのローカルネットワークの開設に関する外部協力契約をILOと結んでいる。NILPでは国内外に向けてOSH情報のベトナム語版と英語版を月1回発行している。
NILPは全国の産業界、県および企業から参加者を募り、定期的にOSHに関する技術研修を開催している
(1998年9月から1999年9月現在までに約100回実施)。NILP職員は、建設大学、技術大学、医科大学、国家経済大学、軍事医学研究所を含めた数多くの大学で講義を行っており、特に労働組合大学とは密接に協力し合い、労働保護学部で定期的にOSH研修講座を開催している。またNILPは研修参加者が関連専門分野で修士号または博士号を取得できるよう支援を続けている。
ベトナム労働総連合(VGCL)との連携のもと、NILPは1999年5月の第1回全国安全衛生週間にハノイで開催されたOSH全国展示会に「労働組合とOSH」と題した展示ブースを設け、組織委員会においても、中心的な役割を演じた。NILPはこの他にも、全国環境展示会(1998年9月)および第1回ASEAN環境フォーラム(1999年9月)に参加している。
NILPはこれまでに、海外研修を終えた4人の科学修士を職員として採用している。現在、NILPには1人の博士候補生と4人の修士候補生がいる。教育の場を必要とする多くの声に応えるため、NILPをOSH分野における大学卒業後の教育機関とする案を政府に提出した。
首相決定第141/1998/QD-TTg号の施行から1年間の間にNILPは大きく発展し、いくつかの成果を上げた。しかしこれは単なる出発点に過ぎない。NILPは今後もあらゆる努力を注いでいかねばならないのである。
1999年上半期NILP総会に出席したベトナム労働総連合(VGCL)筆頭副会長兼NILP科学評議会議長
Nguyen An Luong博士
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