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ベトナム労働総連合(VGCL) 研究テーマ
民間部門の産業界および手工業界におけるOSHの状況
Tran Dinh Bac博士およびNILP職員, NILP and
Colleagues
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国家再生への気運が高まる中、民間部門では全ての産業が急速に発展し、徐々に国家経済におけるそれぞれの重要な地位を確立しつつある。しかし、ほとんどの産業・手工業界の労働条件および労働環境は劣悪であり、汚染レベルも高く、労働者の安全と健康、そして環境を害する多くの危険が潜んでいる。この主な原因は、労働安全衛生問題に十分な注意が払われておらず、雇用主と労働者のOSHに関する知識が乏しいことにある。
1996年〜1999年8月にかけて実施された測定、調査および分析の結果、民間部門におけるOSHの厳しい現実が次のような実際の数字で示された。
* 労働人口 (1998年): 5,952,400人 (国内総労働人口の17.8%
)
* 企業数: 615,296社
* 生産工場:
- 全工場の50%が住宅地の中、または周辺にある。
- 全工場の70%が安全生産条件を満たしていない。
- 全工場の85%が衛生条件を満たしていない。
- 設計・建設された全工場の87%が技術的作業に向いていない。
- 全工場の63%が接地装置を導入していない。
* 生産技術・設備の使用:
- 全作業の78%が手作業で進められているか、または重労働である。
- 全設備の50%が旧式であり、20年間以上も使用されている。
- 機械の回転部品の85%に安全装置が付いていない。
- 全設備の70%が登録または承認されておらず、いくつかの自作設備(アセチレン容器)に至っては点検もされていない。
- 粒じん・有毒ガス発生源の70%に適切な収集・処理システムがない。
- 電気設備の83%に接地装置が取り付けられておらず、短絡による爆発・火災を引き起こす可能性が高い。
* 労働環境:
- 粒じん濃度がきわめて高く、許容上限の数100倍に達している。
- 鉛、水銀、一酸化炭素、二酸化炭素等の濃度は非常に高い。
- 全労働者の63%が作業場で多くの危険要因にさらされている。
- 全労働者の66%が極度に高温な環境での作業を強いられ、57%が騒音、51%が粒じん、27%が有害科学物質、21%が落下物の危険にさらされている。
- 全企業の80%が十分な照明器具を設置していない。
* 労働者の健康状態:
- 全労働者の75%が疲労を感じているか、または、仕事後の異常な疲れを訴えている(頭痛:23.2%、背中の痛み:45.4%、眼精疲労:34.1%、手の痛み:29.6%、足の痛み:26.7%)。
- 調査対象とした労働者の59%が慢性病を患っている(咽頭炎:47.7%、鼻炎:40.5%、気管支炎:31.6%など)。
- 病気による1人当たりの年間平均欠勤日数:56.4日
* 職場での事故:
- 面接した全労働者の40%が軽微または重大な事故を経験している。
- 職場における事故発生率: K = 70.5
職業性疾病も重大な問題となっているが、この研究プロジェクトでは調査対象外とした。
上記のデータから見ても、民間部門の産業界および手工業界で働く労働者が、極めて劣悪な条件または環境下で作業していることは明らかである。この研究プロジェクトでは、民間部門の産業界および手工業界における労働条件および環境と、労働者の健康状態の改善を目指し、様々な対策を実施していく予定である。

ある民間企業で起こったアセチレンシリンダーの爆発事故
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