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平成16年度JICAセミナー カントリーレポート(イエメン)

資料出所:平成16年度JICA労働安全衛生政策セミナー カントリーレポート(イエメン)
(仮訳 国際安全衛生センター)



1. 内容
1) 労働安全衛生活動の現状
a) 労働安全衛生関連法令および規則の一覧と概要
・ 行政サービスに関する1991年法律第19号共和国令
第8章:保護、補償、労働安全
  1. 第108条:全ての政府組織および行政機関は、労働安全衛生法の規定および規則を遵守しなければならない。

  2. 第109条:保険および年金に関する法律は、全ての政府組織および行政機関の職員に適用されなければならない。
・ 労働法に関する1995年法律第5号共和国令、および1997年法律第25号による修正
第9章:労働安全衛生
第113条:事業主は、適切な労働安全衛生条件を提供しなければならない。
第114条:事業主は以下の規定に従わなければならない。
  1. 作業場は安全であること。

  2. 作業場での採光、照明、換気が十分であること。

  3. ガス、粉じん、煤煙、廃棄物の危険から労働者を保護すること。

  4. 設備や機械の危険から労働者を保護すること。

  5. 熱や湿気の危険から労働者を保護すること。

  6. 騒音、放射線、振動、圧力の危険から労働者を保護すること。

  7. 手洗所を設置すること。

  8. 飲料水を供給すること。

  9. 火災の危険から従業員を保護すること。

  10. 労働災害や職業性疾病の記録を残すこと。
第115条:個人用保護具、食事、定期健康診断、応急処置の提供
第116条:省は、事業主に対し、アドバイス、相談サービス、研修プログラム、啓蒙活動を提供し、経験や情報の交換を行う。
第117条:労働安全衛生上級委員会の設置、および上級委員会支部と企業における労働安全衛生地域委員会の設置。
第118条:事業主は以下のことを実施しなければならない。
  1. 労働上の危険要因の理解と対応

  2. 労働安全衛生に関する指導と監視

  3. 視覚資料の提供

  4. 労働安全衛生に対する意識の普及

  5. 労働環境における労働条件

  6. 事業主の権利
・ 労働・職業訓練省(Ministry of Labour and Vocational Training)の組織規約に関する1998年法律第19号共和国令
・ 労働安全衛生の社会保障・社会問題・労働省(Ministry of Social Security, Social Affairs and Labour)管轄を定めた1995年内閣令第229号
・ 労働安全衛生上級委員会の創設に関する1998年内閣令第13号
・ 行政機関、公的機関、半官半民機関、民間機関、非イエメン人労働者に対する職業性疾病医療システムの設置、就職時および定期健康診断費用管理について規定した1999年内閣令第306号
・ 労働安全衛生一般規則に関する1995年省令第78号
・ 職業性疾病一覧に関する1995年省令第138号
・ 女性の就労を禁止する職業および作業の決定に関する1996年省令第39号
・ 児童の就労を禁止する職業および作業の決定に関する1996年省令第40号
・ 公的機関、半官半民機関、民間機関への救急箱の設置に関する1998年省令第71号
・ 労働・職業訓練省規則に関する1999年省令第83号
・ 公的機関、半官半民機関、民間機関に対して規定された法律、規則、省令の遵守に関する数々の告知
b) 労働監督制度の概要
・ 労働法に関する1995年法律第5号共和国令および1997年法律第25号による修正の第11章は、6つの条項において労働監督を規定している。条項の内容をまとめると以下のようになる。
第122条:事業主は、監督が実施しやすいように協力し、データや情報を提供しなければならない。
第123条:監督官の職務
・ 労働法令の実施状況の監視
・ 詳細な報告書の作成
・ 労使関係の意識の向上
第124条
  1. 労働監督官は、省と省事務所に所属し、必要な際は専門官に支援を求めることができる。

  2. 企業監督時には、守秘義務を考慮し作業を行う。

  3. 労働安全衛生監督官は、労働衛生規則および手続きの実施状況を監視する。

  4. 労働監督官および労働安全衛生監督官には監督カードが提供される。

  5. 監督規則によって、書式、データ、通知書を調整する。
第125条:労働監督官の誓約
第126条:労働監督官の権限
・ 就業時間内であれば、いつでも企業内に立ち入ることができる。
・ 労働環境上の危険要因に対して予防措置を講じる。
・ 事業場の労働安全衛生活動に関して、必要であれば、労働環境からサンプルを採取することができる。
・ 労働環境からサンプルを採取し、いかなる書類についても持ち出すことができる。
第127条:
  1. 労働監督官の保護は省の責任である。

  2. 労働監督官に対する規定違反が発生した場合、省は関連する裁判所を通じて適切な手続きを取る。

  3. 労働監督官の報酬。
c) 労働災害補償保険スキーム
・ 行政機関、半官半民機関、公的機関における社会保障および年金に関する1991年法律第25号共和国令−この法律は、全9章、100条で構成されている。
第2章:資金源
第3章:老人、障害、死亡保険
第4章:年金計算
第5章:健康保険と労働災害
第6章:年金および報酬の受給者
表1 障害の決定および労働災害の結果として生じた障害度の査定に関する規定
表2 職業性疾病および中毒について
・ 民間機関の社会保障に関する1991年法律第26号共和国令
第3章:労働災害保険
第4章:老人、障害、死亡保険
第5章:国外就労者保険
表 (1) 身体障害、視覚障害、聴覚障害度の査定
表 (2) 退職年金の減額率
表 (3) 収入区分
d) 労災データおよび労災データ収集システムの概要
データ収集システムは2つの政府機関によって管理されている。
・ 保険・年金当局
  1. 被保険者の月間基本給与から毎月6%を差し引き、老人、障害、死亡保険の保険金を賄う。

  2. 事業主は規定に従い、全従業員の月間給与給総額の1%を毎月差し引いて、労働災害保険の保険金を賄う。

  3. 事業主は規定に従い、全従業員の月間給与総額から6%を毎月差し引いて、老人、障害、死亡保険の保険金を賄う。

  4. 事業主は、該当公的機関に報告しなければならない。
・ 社会保障公団
  1. 被保険者の月間基本給与から毎月6%を差し引き、老人、障害、死亡保険の保険金を賄う。

  2. 事業主は規定に従い、全従業員の月間給与総額の9%を毎月差し引いて支払い、老人、障害、死亡保険の保険金を賄う。

  3. 事業主は規定に従い、全従業員の月間給与総額の4%を毎月差し引いて支払い、労働災害保険の保険金を賄う。

  4. 事業主は該当公的機関に報告しなければならない
e) 労働安全衛生の研修・教育制度
技術教育・職業訓練省(Ministry of Technical Education and Vocational Training)は、行政機関、公的機関、半官半民機関、民間機関の研修生および労働者に対する労働安全衛生研修制度において重要な役割を果たしている。
  1. 技術・職業研修技術開発基金の目的は、事業主からの税金の徴収および研修促進スキームの承認であるため、研修の資金は基金によって賄われている。

  2. 研修部は、関連部署と協力し、労働安全衛生分野の指導員および研修員に対し研修コースを実施している。

  3. 職業分類部は、関連部署と協力し、労働安全衛生の分野における研修機関に認定証を発行している。

  4. 研修課程・継続教育部は、関連部署と協力し、労働安全衛生に関するマニュアルや教科書を準備している。
2) 労働安全衛生に関する行政政策実行上の問題点および個人的見解から見た対応策
  1. 労働安全衛生政策の国家レベルでの実行。

  2. 研修課程の質を高め、研修課程の作成段階で、経験の豊富な国際機関と情報交換をする。

  3. 労働安全衛生活動の促進。

  4. 公認センターの実績と能力の向上。

  5. 労働安全衛生業務を行う関連部署間の連携の強化。

  6. 労働安全衛生分野の専門機関の創設。

  7. 労働法および労働安全衛生関連規則の更新。

  8. 国内の労働安全衛生職員の技術開発および規模の拡大。

  9. 労働安全衛生連携センターの支援。


別紙1



別紙3



別紙4

社会問題労働省労働安全衛生局 組織図


別紙5

労働安全衛生局発表統計値

項目 2000 2001 2002 2003
訪問企業数 163 260 320 484
労働災害数 321 438 808 780
死亡件数 4 8 3 12
永久労働不能件数 18 4 - 21
部分的労働不能件数 36 60 53 80
治療後健康体に回復した件数 273 418 752 670
就職時健康診断を受診したイエメン人の数 848 2404 9515 11667
就職時健康診断を受診した非イエメン人の数 871 1594 2406 2799
受診時の非職業性疾病の発見件数 206 313 410 451
啓蒙プログラム件数 41 35 46 86
労働災害による傷害および死亡に対する全補償額 3,600,000 5,200,000 7,105,000 8,000,000