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研修生の声
第31回研修 (平成17年5月31日〜6月9日)
「ゼロ災(KYT)活動【英語】」
Zakaria Abdul Razak氏 (マレーシア)

(要約 国際安全衛生センター *原文(英語)はこちら

ゼロ災(KYT)活動 -- 研修生リーダーの声

 私は2005年5月31日から6月10日まで、東京において中央労働災害防止協会(JISHA)の一部門である国際安全衛生センター(JICOSH)が中災防・ゼロ災推進部の協力の下に実施したゼロ災活動(KYT)研修コースに参加しました。
 ゼロ災活動が労働災害との戦いにおいて効果的な手段であることは以前から認識されており、実際に多くの企業が、ゼロ災活動に力を入れることで、災害防止に関してはそれまでは夢でしかなかった劇的な成果を上げています。幅広い企業の例が示すとおり、ゼロ災活動への取り組みは日本のさまざまな産業部門を通じて効果を上げており、これらの企業では、ゼロ災活動の各種テクニックの導入による直接的結果として、半年から1年の間に、災害発生率が40〜75%減少しています。
 ゼロ災活動(KYT)コースは、危険予知をテーマとする刺激に富んだトレーニング・プログラムであり、参加者はゼロ災活動の背景にある考え方や、職場へのゼロ災プログラム導入が実際には容易であることを明確に理解することができました。ゼロ災活動は、人間行動の心理学的研究に基づいて、その成果を職場の安全問題に体系的に応用したものです。職場の全災害の96%が不安全行動をきっかけとして起きている事実に着目すれば、災害の減少と安全成績の向上を実現するには、職場におけるこうした不安全行動に焦点を絞って対処する必要があることは、ほとんどの人には明らかだと思います。たとえば、制御レバーに手を伸ばそうとして組立ラインの下にもぐったり、組立ラインの上によじ登ったりする、階段の昇り降りの際に手すりにつかまらない、作業終了後に機器類を片付けない、といった行動は、すべて不安全行動です。こうした行動は、実際にそれを行う人が直接コントロールできる行為ですから、労働者自分自身が主体となって進めることのできる安全行動の取り組みとして、改善のターゲットとすることができます。
 職場でのゼロ災活動の積極的運用のほかに、路上での危険予知に関する活動として交通ゼロ災活動(交通KYT)があります。交通ゼロ災活動は車両の運転を、単独で行う作業として捉えるものです。交通ゼロ災活動プログラムは、第三者が対策を講じるのをただ待つのではなく、他の運転者からもたらされる危険に対する予知能力を向上させることを目的としたものです。
 関西セキスイ工業での工場見学には触発されるものが多く、実際に職場で実施されているゼロ災活動プログラムについて現場の生の声を聞くことができました。そうした声から明らかなのは、導入初期段階では組織にとって大きな挑戦だったゼロ災活動プログラムが、安全の実績において非常に優れた成果を上げているということです。同工場の整理整頓基準は大変立派なもので、十年近く休業災害ゼロという安全の実績は、ゼロ災活動導入のメリットを如実に示すよい例だと思います。
 最後になりましたが、参加者全員、研修コースを楽しんで受講し、日本の優れた文化と日本の労働者の仕事熱心な姿勢に接することができたことを申し添えます。今回の体験が大きな刺激となって、参加者は職場でのゼロ災の目標達成へ向けて前向きに取り組むことができるでしょう。ひいてはそれが、ひとりひとりの労働者にとってより安全な作業環境の実現につながると思います。日本は、労働安全衛生の手本として他の国々のモデルとなるでしょう。歓迎会、送別会、そして京都の名所旧跡の見学は、いつまでも私の心に残る思い出です。

どうもありがとうございました。

カネカ・マレーシア(Kaneka Malaysia)社ESH部門取締役(環境・労働安全衛生担当)
Zakaria Abdul Razak