このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。

最近の各国の労働安全衛生プログラム - デンマーク

(資料出所:ILO発行「Promotional Framework for Occupational Safety and Health」
International Labour Conference, 93rd Session, 2005, Report IV (1), Annex I, pages33-48)
Copyright © 2004 International Labour Organization (ILO)
Disclaimer The ILO shall accept no responsibility for any inaccuracy, errors or omissions or for the consequences arising from the use of the Text.

(仮訳 国際安全衛生センター)
原文はこちらからご覧いただけます


  デンマーク政府は1995年、デンマーク労働環境評議会(Danish Working Environment Council)に加わっている労使との協力のもと、清潔な労働環境のための2005年までのアクション・プログラムを作成した。このアクション・プログラムによって、安全で健康かつ労働意欲を起こさせる職場という普遍的ビジョンの達成を視野においた、労働者と企業競争力にとってメリットのある労働安全衛生強化を目的とした包括的プランについて、初めて合意が得られることになった。このアクション・プログラムが策定された背景には、デンマークの職場における安全衛生のレベルは多くの国に比べて高いものの、各種基準は十分に高いものとはいえないという懸念と、労働環境問題全般の継続的改善が必要との認識があった。アクション・プログラムは議会に提出され、幅広い支持を得た。

 アクション・プログラムで強調されているデンマーク労働環境法(Danish Working Environment Act)の原則では、企業は自社の抱える労働環境問題をみずから解決しなければならないとされ、その際、経営者と労働者の協力が予防的安全衛生業務の不可欠な要素とされている。指導と監督は、政府諸機関、部門安全評議会(Sector Safety Council)、および各種の事業者団体と労働者団体が行う。

 すべての企業は人間中心の持続可能な開発へ向けた競争的基盤として、創造性、資質、および生産性を高めるための安全で健康かつ労働意欲を起こさせる枠組みを提供する必要がある、という普遍的ビジョンを追求するため、政府は7つの部門横断的目標ないしビジョンを掲げている。そのねらいは、以下の低減またはさけることである。

種々の労働環境的要因によって引き起こされる死亡災害

発がん性化学物質への職業性ばく露および有機溶剤や重金属へのばく露に起因する職業的な脳の損傷

子供と若者の労働災害

重量物の持ち上げに起因する傷害および単調で反復的な作業に起因する職業性疾病

職場における心理的社会的リスク要因による健康被害

職場の劣悪な室内環境に起因する疾病または重大な問題

職場の騒音による聴力損失

  政府は、掲げられたすべてのビジョンを2005年までに実現することを保証することは不可能だが、これらのビジョンを目標としなければならないとした。

 アクション・プログラムでは、これらすべての優先目標において、また一般的にも、いつどのような部門において労働安全衛生活動が必要であるかに関しては調査・研究に基づく知識および資料収集が重要であることを認めており、政府の政策でも調査・研究を強化している。また、特にEU域内での国際協力、およびグローバルにはILOとの国際協力の重要性も指摘されている。アクション・プログラムの進捗状況については、1999年以降毎年見直しが行われている。