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最近の各国の労働安全衛生プログラム - ニュージーランド
(資料出所:ILO発行「Promotional Framework for Occupational Safety and
Health」
International Labour Conference, 93rd Session, 2005, Report IV (1), Annex
I, pages33-48)
Copyright © 2004 International Labour Organization (ILO) |
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(仮訳 国際安全衛生センター)
原文はこちらからご覧いただけます
事故補償機構(Accident Compensation Corporation: ACC)大臣は2003年6月、政府を代表し、職場における傷害や職業性疾病だけに限定されない「傷害のない安全なニュージーランド(a
safe New Zealand, becoming injury free)」と名付けられたビジョンを掲げて、社会全体を対象としたニュージーランド傷害防止戦略(New
Zealand Injury Prevention Strategy)を発表した。この戦略では、建設的な安全文化の達成と安全な環境作りが目的として明記された。広く社会全体を考慮しているのは、災害による傷害を補償するために、ほかの類例のない無過失制度をとっていることが背景にある。戦略では、次の10の目標を掲げている。
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(i) |
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傷害防止に対する意識向上および取り組みの強化
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(ii) |
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傷害防止能力の強化
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(iii) |
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安全な環境、システム、および製品の設計と開発
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(iv) |
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傷害防止を支援する法的政治的枠組みの維持と強化
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(v) |
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協力と協調を通じた傷害防止活動の取り込み
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(vi) |
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傷害防止に関する知識と情報の充実
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(vii) |
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傷害防止のための効果的な介入措置の策定と実施
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(viii) |
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傷害防止へ向けた適切な資源水準の確保
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(ix) |
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重要分野を対象とする各種の傷害防止国家戦略の策定、実施、および監視
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(x) |
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傷害防止におけるリーダーシップの育成
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ニュージーランド傷害防止戦略は、幅広い分野の各種組織団体と協力してニュージーランドの傷害防止の実績向上に取り組む政府の姿勢を表すものである。同戦略では、職場だけでなく、広く社会全体を対象とした傷害防止活動のための戦略的枠組みを提示している。この枠組みは、政府諸機関、地方政府、非政府組織、地域社会、および個人の行動指針となる。
事故補償機構(ACC)は、他の政府諸機関および関係準拠集団と協力して、戦略の実施計画の策定を主導した。2003年10月に事故補償機構(ACC)大臣によって発表され、2004年7月1日に発効する予定の最初の実施計画では、戦略に掲げられた目標それぞれについて、主な活動および関係分野が定められている。事故補償機構(ACC)大臣は、戦略の責任者であり、実施計画にてらして戦略の進捗状況を監視し、毎年政府に報告することになっている。また、戦略の最初の正式な見直しを5年後に行うとしている。
大半の先進諸国と同様、労働安全衛生法規は、機械的なものにしても、電気的なものにしても、また物理的、化学的なものにしても、特定のハザードに関するリスクを最小限に抑えるために講ずべき措置を記述することで、予防に軸を置いて作成されてきた。1992年、こうした予防的法律は、講ずべき措置については具体的に言及せずに、リスクを除去または最小に抑えるためのあらゆる現実的な手段を講じることを事業者に義務付けた1つの重要な制定法に取って代わられた。これ以後は、各産業部門における三者協議の枠組みの中で、最善の実施基準(codes
of best practice)およびガイドラインの作成に重点が置かれることになった。何が実施可能であるかは企業の規模および事業内容にもある程度左右されるが、実際に講じられた防止措置が、実施基準の措置と同程度に効果的であることを証明する責任は(そのような状況が生じた場合には)事業者が負う。
2002年雇用安全衛生修正法(Health and Safety in Employment Amendment Act
2002)は、1992年の法律の適用範囲を拡大し、奉仕労働者、派遣労働者、および船舶と航空機の乗員も明示的にその対象に含めるとともに、ストレス、過労、アルコール・薬物・外傷性ショックに起因する健康障害などの課題にも対処できるようにしたものである。従業員数が30人を超える企業では、労働安全衛生管理を目的とした既定の従業員参加制度があり、代表が認定訓練コースを受講する際には有給休暇が認められている。目下のところ災害防止に携わる要員は多種多様であって、訓練を受ける機会はしばしば限定されていることが指摘されている。傷害データ情報についても、普及を促して、利用しやすいように改善する必要性が指摘されている。
2003年には、ニュージーランド傷害防止戦略に沿った形で、職場安全衛生戦略(Workplace
Health and Safety Strategy)の策定作業が始まった。職場安全衛生戦略では、ニュージーランドの職場の衛生と安全に関する政策開発・サービス提供活動のための戦略的枠組みを整備することになる。戦略には、ビジョン、各種原則、行動のための一連の目標と優先課題が盛り込まれる。行動プログラムの概要は、この戦略のための実施計画に記載されることになる。最終的な戦略は、広く一般からの意見聴取を経て2005年6月に発表される予定になっている。
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