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NIOSHアラート(警告)

天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落防止
(Preventing Falls of Workers through Skylights and Roof and Floor Openings )

(資料出所:NIOSH発行「ALERT」 DHHS(NIOSH) 発行番号 No.2004-156
(訳 国際安全衛生センター)


警告!
天窓・屋根・床の開口部付近での作業のための手すりの設置など墜落・転落 防止措置が十分でない場合、墜落死・転落死または重傷を負う可能性がある

米国国立労働安全衛生研究所(National Institute of Occupational Safety and Health:NIOSH)は、天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落による労働者の負傷及び死亡を防止するための対策を求めている。NIOSHの最近の調査結果は、事業者、労働者、建物所有者、天窓の設計者及び製造業者のいずれもが、天窓・屋根・床の開口部付近での作業における墜落・転落のハザードについて十分に認識あるいは理解していないとことを示唆している。結果として、天窓・屋根・床の開口部が手すりや蓋のないまま放置され、十分な墜落・転落防止措置が整備されずに、労働者が開口部周辺での作業に従事させられている。

本警告では、天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落に起因する5件の死亡例を取り上げ、今後の墜落・転落死防止の一助となる提言を盛り込んだ。

(1)建物所有者、及び(2)防護手すりのない天窓・屋根・床の開口部付近で作業させる事業者及び労働者は、本警告における提言に従うべきである。また、天窓の設計者及び製造業者は、設計改善や安全表示をすることで、労働者の安全に貢献すべきである。NIOSHは、労働安全衛生の専門家、政府関係者、産業団体、労働組合及び業界誌の編集者が、事業者及び労働者に対して、本警告における提言を注意喚起することを求めている。

背景

墜落・転落に起因する労働による死亡災害は、全米を通じて依然、深刻な安全衛生問題のひとつである。労働省統計局(Bureau of Labor Statistics: BLS)の労働災害死亡調査データによれば、職場における墜落・転落は外傷性死亡の主要原因の一つであり、2001年においては同死亡例の13.7%を占めている(5,900件のうち808件)。その年には、23名の労働者が天窓からの墜落・転落により死亡、11名が既存の屋根の開口部からの墜落・転落により死亡、また24名が既存の床の開口部からの墜落・転落により死亡した。これらの死亡例の大部分は建設業で発生した。

BLSの労働傷害疾病に関する調査データによると、1999年中に、約30万人の民間企業労働者が、墜落・転落により2日以上の休業を伴う負傷を負った。1999年には、推定80名の労働者が天窓からの墜落・転落により負傷、また100人が既存の屋根の開口部からの墜落・転落、617人が既存の床の開口部からの墜落・転落によりそれぞれ負傷した。負傷事故の大部分は建設業で発生したが、製造業や小売業、サービス業など他の産業でも多くの事故があった。

1980年代を通じて、NIOSHでは、死亡災害評価調査(Fatality Assessment and Control Evaluation:FACE)プログラムによって、高所からの墜落・転落に的を絞り徹底調査を行うことで、労働災害による墜落・転落の防止に努めた。FACEのもとで行われた調査の目的は、労働災害による死亡原因の特定と、将来の事故防止に向けた提言を行うことにあった。1989年、NIOSHは「天窓・屋根の開口部からの労働者の墜落・転落死を防止するために」と題する警告を発表した。同警告は、防護手すりのない天窓・屋根の開口部を、墜落・転落のハザードと特定し、墜落・転落防止策を提案した。

最新の警告はこの1989年版をもとに更新されたもので、若年労働者を含む労働者が、依然として、天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落のリスクにさらされていることを重要視している。最新の警告においては、墜落・転落のハザードの特定及び重傷と墜落死・転落死の削減のための防止策導入に向け高まりつつある取り組みに焦点を当てている。

現在の基準(OSHA)

OSHAは、一般産業界と建設業界の労働者を、天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落から防止するための基準を整備した。OSHAの一般産業基準では、「すべての天窓・床開口部・穴は、標準的な天窓防護幕または標準的な固定式手すりによって、すべての側面が防護される」よう要求している[29 CFR * 1910.23(a)(4)]。またOSHAでは、天窓防護幕が以下の基準を満たすよう求めている:
 天窓防護幕は、そのどの一部分においても最低200ポンドの垂直荷重に耐えられるような構造と取り付けになっていること。通常の荷重や衝撃のもとで湾曲して下部のガラスを破損しないような構造と取り付けになっていること。またその構造については、格子状の場合は開口部の長さが4インチ以下、また羽根板状の場合は開口部の幅が2インチ以下(長さの制限なし)であること[29 CFR 1910.23(e)(8)]。
天窓防護幕の代わりに固定式手すりが使用されている場合、OSHAでは、以下の基準を満たすよう求めている。
 標準的な手すりは、上段の手すり、中段の手すり及び複数の支柱によって構成され、床、足場、通路、あるいは斜面から上段の手すりの最上面までの高さが42インチ以上あること。上段の手すりは、その長さ全体にわたり表面が平らであること。中段の手すりは、上段の手すりと床面、足場、通路、あるいは斜面の間のほぼ中間にあること。手すりの末端部は末端の支柱より外にはみ出さないこと。ただし、外にはみ出す場合でも、その突起がハザードでない場合はこの限りではない[29 CFR 1920.23(e)(1)]。
1995年、OSHAの建設業界向け墜落・転落防止基準が改訂、強化され、現在、同基準はOSHA基準のサブパートM - 墜落・転落防止[29 CFR 1926.500-503]に収められている。労働者は以下のとおり保護されなければならない。
 各労働者は、通路及び作業場において、個人用墜落防止具(Personal Fall Arrest System:PFAS)や蓋、あるいは各開口部の周囲に設けられた防護用手すり設備によって、下部面からの高さが6フィート(1.8メートル)以上ある開口部(天窓を含む)からの墜落・転落から保護されなければならない[29 CFR 1926.501(b)(4)(i)]。
これら墜落・転落防止手段の詳細は29 CFR 1926.502に規定されている。以下の各項は、OSHA基準をもとにこれらの概要をまとめたものである。採用する墜落・転落防止手段が、すべての墜落・転落防止基準と実務要件を確実に満たすためには、OSHA基準の全文を参照のこと。
 個人用墜落防止具(PFAS)とは、作業場から墜落・転落した労働者を捕捉するシステムを指す。これは、アンカー、コネクター、胴ベルトまたはハーネスで構成される。また、ランヤード、ショックアブゾーバー、命綱、あるいはこれらの適切な組合せによるものを含むことがある。なお、1998年1月1日以後は、墜落防止のための胴ベルトの使用は禁止されている[29 CFR 1926.500(b)]。

個人用墜落防止具の取付け用アンカーは、作業台の支持や吊り下げに使われるアンカーとは独立したものでなければならず、防止具を装着している労働者一人当たり最低5,000ポンド(2,220kg)の荷重に耐えられるものでなければならない。あるいは、次に述べるように設計され、かつ使用されなければならない。つまり、(1)安全係数2以上を有する完全な個人用墜落防止具の一部として設計され、かつ(2)有資格者の監督の下で使用されなければならない[29 CFR 1926.502(d)(15)(i)(ii)]。

蓋:車道及び車両通路にある蓋は、上部を通過すると予測される最大車両の軸重の最低2倍の荷重を支障なく支えられるものでなければならない[29 CFR 1926.502(i)(1)]。

その他のすべての蓋については、労働者、機器、及び蓋の上に一度に置かれる可能性のある物資のそれぞれ最低2倍の荷重を支障なく支えられるものでなければならない[29 CFR 1926.502(i)(2)]。

すべての蓋は、風、機器、または労働者によってずれが生じることのないよう、設置時に固定されなければならない[29 CFR 1926.502(i)(3)]。

すべての蓋は、識別のための色分けをするか、あるいは、危険の警告を与えるための「開口部」あるいは「蓋」という言葉による標記をつけなければならない。注意:この規定は、通りや車道で使われる鋳鉄製マンホールカバーや鉄格子には適用されない[29 CFR 1926.502(i)(4)]。

防護手すり設備とは、労働者が下方へ墜落・転落するのを防止するために設置される手すりのことを指す[29 CFR 1926.500(b)]。

(注意:防護手すりの取付けと使用についての要件を詳細に記した、29 CFR 1926.502(b)の(1)から(15)の防護手すり設備の項を参照すること。以下に、防護手すり設備が開口部の周辺で使用される際に満たすべき要件を規定している項の一部を掲載する。
 防護手すりが開口部で使用される際は、その開口部の保護されていないすべての側面や縁に対して設置されなければならない[29 CFR 1926.502(b)(11)]。

防護手すりが物資の搬出入の用途のための開口部の周辺で使用される際は、防護手すりには物資の搬出入ができるような取り外し可能な柵の部分が2ヶ所以上あってはならない。開口部が使用されていないときは、蓋によって閉じられるか、あるいは、保護されていないすべての側面や縁に防護手すり設備が施されていなければならない[29 CFR 1926.502(b)(12)]。

防護手すりが(梯子段のような)通路上にある開口部の周辺で使用される際は、防護手すりは、ゲートが取り付けられるか、あるいは通行者が直接、開口部に入り込むことができないような構造となっていなければならない[29 CFR 1926.502(b)(13)]。

(注意:当警告は天窓・屋根・床の開口部からの労働者の墜落・転落防止を訴えるものである。その他の墜落・転落の危険に対しては、他の墜落・転落防止手段がより防止力が高い可能性がある。)

公正労働基準法(Fair Labor Standard Act: FLSA)

 公正労働基準法(FLSA)は18歳未満の若年者の雇用に関し規定している主たる法律である。FLSA では、16歳未満の若年者が就労できる職種に制限を設けていることに加えて、労働省長官により特に危険と認定された職種への18歳未満の若年者の就労を禁じている(危険職種禁止令(Hazardous Orders))。16歳未満の若年者は、児童労働規則(Child Labor Regulation)3により建設業と製造業での就労が禁じられている[29 CFR 570.33(a) and (f)(4)]。危険職種禁止令16(HO16)の「屋上業務職」の項では、非農業産業において18歳未満の労働者が屋根工事(修理作業を含む)に就労することを禁じているが、18歳未満の労働者による天窓の据付は禁じていない[29 CFR 570.67]。なお、学生の学習者と実習者は適用除外となっている[DOL 2001]。最終的な決議はまだされていないものの、労働省は、屋根上で行われるすべての作業を含めるために、就労禁止をすべての屋上業務職へ拡大したHO16の改訂案を提出している[連邦規定64. 67130 (1999)]。屋根上の若年者には、屋根上の作業に限定されない様々なリスクがあることが立証されていることから、NIOSHはこの改訂を支持する[NIOSH 2000a]。

以下の事例は、NIOSHのFACEプログラムとNIOSHが支援する州単位のFACEプログラムによって調査されたものである。これらの事例は、天窓・屋根・床の開口部からの様々な墜落・転落の代表例として、選別されたものである。2002年を通して、FACEプログラムでは天窓と屋根や床の開口部からの墜落・転落死亡例43件を調査した。FACEレポートの全容はNIOSHのウェブサイトで入手可能である。(www.cdc.gov/niosh/face/faceweb.html )。

事例

事例1 除雪中、天窓からの墜落

 塗料製造会社の43歳の男性労働者が、防護手すりのない3フィート四方の天窓のレンズから14フィート下のコンクリート床に墜落した後、死亡した。被災者と彼の同僚は建物の平らな屋根の上から雪を取り除いていた。被災者は、屋根にある天窓を完全に覆うほど雪が厚く積もった屋根の上を歩き、恐らく雪で覆われた天窓に気がつかずに天窓のレンズの上に踏み込んでしまい、彼の体重によってレンズが割れてしまった。その時、被災者の同僚は、屋根の反対方向に向かって歩いていたが、被災者のいた辺りで音がしたので振り返って見ると、そこに割れた天窓のレンズを発見し、助けを呼んだ。その天窓には、防護幕や蓋がなく、その周囲には防護手すりもなかった[ウイスコンシン州保健家族事業局 1999年]。

事例2 建設中の防護手すりのない床開口部からの墜落

 住宅建設請負業の39歳の自営業者が、防護手すりのない床開口部より10フィート下のコンクリートの基礎部分に墜落して死亡した。彼は他の二人の作業員と2階部分を工事中で、2階の主寝室の切妻壁に水平器をあてようとしている最中に、煙突を通すために作られた二つの床開口部のうちの一つに後ろ向きで足を踏み入れてしまったらしい。1階と2階の床部分には、煙突用の床開口部の所以外は、ベニヤ板が敷かれていた。開口部の大きさは、それぞれ約4フィート×5フィートであった[マサチューセッツ州公衆衛生局 1999年]。

事例3 除雪中、グラスファイバー製屋根パネルからの墜落

 62歳の農家の男性が、細長い倉庫の屋根に取り付けられた採光用の波形グラスファイバー製パネルから墜落し、その負傷がもとで死亡した。事故の当日、この男性は、トラクターショベルを倉庫に横付けし、バケットを使って屋根の上に登った。そして屋根の斜面の上を歩いて登り、換気口に結い付けられていたロープに到達した。現場の状況から、彼は、屋根から雪を下ろす際には片手でロープにつかまっていたことがうかがえる。彼が雪に覆われた3フィート×10フィートの波形グラスファイバー製パネルの上に踏み込んだところパネルが割れ、約16フィート下のコンクリート床に墜落した。グラスファイバー製パネルには防護手すりがなく、またそのパネルには開口部を覆っていることを示す警告が付されていなかった[ミネソタ州衛生局 1994年]。

事例4 建築中に蓋が外された屋根開口部からの墜落

 27歳の大工が、開口部を覆っていたベニヤ板の一部を外し、その開口部から13フィート下のコンクリート床に墜落して死亡した。暖房・換気・空調設備用の37インチ×67インチ四方の開口部を覆っていた4フィート×8フィート大の厚さ5/8インチのベニヤ板の一端から釘が外されていた。現場の状況から、被災者が、電源コンセントのある階下の床に電気コードを投下するために、ベニヤ板の蓋の一端から釘を外したことがうかがえる。彼はおそらく、階下で電気コードをコンセントに差し込んでくれる人を探そうとして、ベニヤ板を背中に乗せた状態でひざを曲げて開口部にかがみこんだ。ひざをつこうとしいているときに、バランスを崩したか、あるいはベニヤ板の重みによって、開口部より頭から墜落した[NIOSH 1989b]。

事例5 屋根修理中の天窓からの墜落

 14歳の男性労働者が、56インチ×24インチの縁が取り付けられた天窓のレンズから約12フィート下のコンクリート床に墜落し、その負傷がもとで死亡した。被災者とその16歳の兄は、他の数人の日雇い労働者とともに、生花卸売業者の一階建て店舗の平屋根上での組立屋根材の引き上げと撤去作業のために、事故当日、屋根工事の請負業者に雇われていた。被災者が、屋根材を素手で引き上げる作業を15分程度行ったその時、後退中に天窓レンズの上に踏み込んでしまい、レンズが彼の体重で割れた。天窓には、防護幕、蓋や防護手すりがなく、またレンズには上に座ることや乗ることを禁じる警告が付されていなかった。なお、この業者が被災者とその兄を屋根上の作業にあたらせたことは、危険職種禁止令16の違反に当たる[NIOSH 2002]。

結論

これらの事故は、事業者、労働者及び建物所有者が、防護されていない天窓・屋根・床の開口部付近での作業に係る墜落・転落のハザードの深刻さを十分に認識あるいは理解していないことを示唆している。NIOSHのFACE調査では、これら墜落・転落事故の誘因を以下のように特定した。

  • 安全計画及び労働者への教育指導が不適切であったこと
  • 墜落・転落の危険の特定とその排除を怠ったことや、適切な墜落・転落防止手段の提供を怠ったこと
  • 労働者により開口部の蓋が取り外されたこと
  • 悪天候条件下で、墜落・転落から労働者を保護することを怠ったこと
  • 若年労働者に対する不適切な仕事の割り当てが行われたこと
  • 元請建設会社と請負建設業者の間において、どのように安全責任に対処するのか、及びいかに工事現場で労働者を危険から保護するのかについて明確に規定した書面による契約が交わされていなかったこと)

提言

 死亡災害の原因究明に取り組むためには、事業者、労働者、建物所有者の一層の努力が必要である。NIOSHは、天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落による労働者の死傷事故防止のため以下の対策を提言する。

事業者

 事業者は、労働者を天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落から保護するために、以下の対策を講じるべきである。

  • 関連するOSHAの墜落・転落防止基準を最小限満たす文書による包括的な墜落・転落防止プログラムを作成、導入、実行すること
  • 天窓・屋根・床の開口部周辺部での作業においては、以下のいずれかにより適切な墜落・転落防止措置を確保すること
    1. 蓋あるいは防護幕の設置
    2. 防護手すりの設置
    3. フルハーネス、ランヤード、コネクター及び適切なアンカーポイント(固定位置)を含む個人用墜落防止具。個人用墜落防止具が使用される場合、事業者は、墜落・転落を防止するのに適切なアンカーポイントを選択しそれがどこに位置しているかを労働者に周知しなければならない。現場において個人用墜落防止具の使用が選択されたときは、労働者は、使用可能なアンカーポイントの適切な選択方法及び使用方法を含めた、適切な防止具の使用方法について、教育訓練を受けなければならない
  • 墜落・転落の危険性を特定し、労働者が使用するべき適切な墜落・転落防止手段を決定するために、作業開始前に現場の点検を行う有資格者(註)を任命すること
    (註)OSHAによれば、有資格者とは、(1)労働者にとって非衛生的、あるいは有害、危険な環境や労働条件のなかにすでにあるハザード及び予測されるハザードを認定できる者、(2)それらのハザードを取り除くため速やかに改善策を講じる権限のある者をいう。[29 CFR 1926.32]
  • 選択された墜落・転落防止手段が、使用され正しく維持されていること、かつそれが墜落・転落に対して適切な防止手段となっているかを確認するために、定期点検と臨時点検を実施すること
  • 墜落・転落のハザードにさらされる可能性のある労働者一人ひとりに対して教育訓練を行うこと。教育訓練は、労働者に墜落・転落のハザード及びそのハザードを最小化するために従うべき手順を認識させるものでなければならない。労働者への墜落・転落防止教育訓練は、知識と経験の両方、またはいずれか一方を有する適格者によって実施されなければならない。教育訓練は、以下の要素を最低限含んでいなければならない:
    1. 職場における墜落・転落のハザードの特定及び説明
    2. (蓋、防護手すり、個人用墜落防止具などの)墜落・転落防止設備の、組み立て、点検、保守、使用、取り外しの正しい手順
    3. 墜落・転落防止計画において労働者が果たすべき役割
    4. 天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落防止のための例えば、標準的な防護手すり、蓋、防護幕や個人用墜落防止具に関する要件を含む関連するOSHA規則[29 CFR 1910.23及び 1926.500-503]。
  • 連邦及び州の児童労働に関する各種法規についての知識・理解を有し遵守していること
    1. 16歳未満の労働者が、建設業及び製造業のいかなる作業にも従事することのないよう確実にすること
    2. 18歳未満の労働者が、屋根上での作業及び非農業産業での屋根工事に従事することのないよう確実にすること
    3. 作業現場に18歳未満の労働者がいることを、すべての労働者に確実に周知すること。若年労働者が行うことのできる作業に関して、及びその可否が不確かな作業について誰に報告すべきかに関して、情報を与えること。
    4. もし必要ならばアメリカ労働省、賃金・労働時間部局に相談すること。連邦政府の児童労働に関する法律に関しては、http://www.dol.gov/dol/topic/youthlabor/index.htmを参照するか、電話にて問い合わせること、電話番号は1-866-4-USADOL。 各州の労働局へのリンクはhttp://www.ilsa.net、または、 http://www.youthrules.dol.gov/states.htmを参照するか、電話にて問い合わせること、電話番号は1-866-4-US-WAGE。 また、すべての年齢の労働者に適用されるOSHA基準についての情報は、http://www.osha.govにて入手可能。
  • FACEの事例報告や労災統計について話し合うことで墜落・転落防止の教育訓練を補完するために、この警告の内容を使用すること。例えば、現場で安全に関するツールボックスミーティングをするなかで、この警告を使用するなど

墜落・転落防止プログラムの作成と導入に関しての上記以外の提言は、NIOSHの出版物「墜落・転落による労働者の死亡」(Worker Deaths by Falls)において入手可能である[NIOSH 2000b]。

なお、一部の住宅建築に携わる事業者は、墜落・転落防止策の文書による明文化をOSHAにより義務付けられていないことに留意すること。ただし、そうした事業者にも防止計画を策定すること及びハザードにさらされるすべての労働者へその計画を周知することが義務付けられている[OSHA 1999]。NIOSHは、工事監督者と労働者に明確な安全の手引きを提供するため、事業者の墜落・転落防止計画が明文化されることを提言する。

天窓の設計者及び製造業者

天窓の設計者及び製造業者は、天窓からの墜落・転落から労働者を守るために、以下の対策を講じるべきである。

  • 現在の天窓の設計を査定し、天窓の部品強化と、防護幕などの安全対策を設計へ取り込むことを検討すること。NIOSHの技術者によると、200ポンドの体重の人が、天窓や天窓防護幕に落ちた場合の荷重は400から500ポンドに換算されると推定されている。従って、労働者が落ちた場合に備え、天窓と防護幕の安全性に余裕があるような設計に変更するよう、NIOSHは提言する。金属製の格子や防護幕は天窓の付属品の一部として作り天窓上部に取り付けることができるだろう。さらに、既存の天窓に後から取り付けることができる格子や防護幕も何種類かある。また、天窓と防護幕の両方とも年月の経過につれ劣化するので、製造業者は、天窓と防護幕がどのくらいの期間その耐荷重限度を維持できるのか明示すべきである
  • 労働者に、天窓に乗ること、立つことまたは座ることを禁止する表示を目に付きやすいところに天窓ごとに付けること。安全表示と安全ラベルに関する要件の手引きは、ANSIの基準 Z535.4 [ANSI 2002a]、及び OSHA基準の 29 CFR 1910.145 及び 1926.200に記されている
  • 天窓の取り付け方法の説明書に加えて、取り付け時と保守時に存在する墜落・転落のハザードについての警告を含めること。また、取り付け者がOSHAの墜落・転落防止基準を参照するよう、説明書のなかで推奨すべきである

建物所有者

建物所有者は、天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落から労働者を守るために、以下の対策を講じるべきである:

  • 作業を行う屋根にあるすべての天窓の正確な位置を示した印刷物を、労働者に提供する。元々の平らな屋根の上に金属製の勾配屋根を被せた建物では、現状では屋根裏部屋になっている平らな旧屋根部分に天窓がある可能性がある。このような天窓は、保守作業員が墜落・転落するハザードになる
  • 新築と既存の建物の双方に、墜落防止具用に適切なアンカーポイントを常設すること、またその場所を労働者に分かるよう明確に表示すること
  • 屋根に上がる労働者やその他の者を保護するために、天窓の周囲に常設の手すりや防護幕を取り付けること
  • 天窓及び天窓のあるエリアへの入口(ドア、階段、梯子、または屋根に通ずるハッチ部分)に警告表示を設置すること
  • −表示は、英語及び英語を読めない労働者の場合は彼らの主要言語で書いたものを設置すること。以下は、英語とスペイン語による警告表示の例である
危険!

天窓の上に乗ること、立つこと、または座ることを禁止する。死傷の恐れがある

  • −労働者が設置されている表示を読めない場合は、口頭で警告すること。必要であれば通訳を使うこと
  • −安全表示と安全ラベルに関する要件の手引きは、ANSI 基準のZ535.4と Z535.2 [ANSI 2002b]、及び OSHA基準の 29 CFR 1910.145 を参照のこと
  • 天窓のある屋根上へ通じるすべてのドアに錠を設置し、カギは権限所有者のみに渡すこと
  • 屋根の上の金属性パネルの間に、波形のグラスファイバー製パネルがあるかどうか点検すること。すべてのグラスファイバー製パネルに警告表示を付し、周囲に防護手すりを設置するか、あるいは、より強度のある材質のものに取り替えること

労働者

 労働者は、天窓・屋根・床の開口部からの墜落・転落から自らを守るために、以下の対策を講じるべきである:

  • 天窓のレンズの上または屋根や床の開口部に被せてあるいかなる蓋の上にも、決して座らないこと、寄り掛からないこと、また踏み込まないこと。蓋に使用されている材質は、体重を支えられない可能性がある
  • 現場を離れる前に開けた、あるいは蓋を外したすべての開口部に確実に蓋をすること。他の労働者が蓋のされていない開口部に気が付かず墜落・転落するおそれがある
  • 開口部に蓋をするあるいは防護手すりを設置する際に守るべき安全手順について、管理監督者に尋ねること
  • 墜落・転落防止に関する情報を事業者、またはOSHAの事務所から入手すること(OSHAのホームページはhttp://www.osha.gov、電話は、 1-800-321-6742)
  • 下面からの高さが6フィート以上ある防護手すりや蓋のない開口部の上で作業するときは、常に個人用墜落防止具を使用すること。例えば、天窓や換気装置の設置時などのように、作業の性質上、開口部に防護手すりや蓋ができない状態で作業をする時など
  • 個人用墜落防止具を使用する時は、毎日点検を行い、どのような損傷や欠陥も管理監督者に報告すること。また、事業者が安全と認めたアンカーポイントだけにアンカーを固定すること
  • 職場にある防護手すりのない天窓・屋根・床の開口部あるいは墜落・転落のハザードのあるものについて、速やかに管理監督者に報告すること
  • 事業者が提供するすべての安全衛生教育プログラムに参加すること
  • 事業者が定めている安全労働慣習に従うこと
  • 作業の安全な進め方が分からないときは、事業者の指示を仰ぐこと
  • あなたが16歳未満の場合、いかなる種類の建設作業にも従事してはならない。また、あなたが18歳未満の場合、非農業産業の現場において、修理作業を含めた屋根工事に従事してはならない(学生の学習者と実習者には、一部適用除外あり)。連邦政府の児童労働に関する法律に関しては、http://www.dol.gov/dol/topic/youthlabor/index.htmを参照するか、電話にて問い合わせること、電話番号は1-866-4-USADOL。 各州の労働局へのリンクはhttp://www.ilsa.net、または、 http://www.youthrules.dol.gov/states.htmを参照するか、電話にて問い合わせること、電話番号は1-866-4-US-WAGE。