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危険物質の除去・代替
Elimination and substitution of dangerous substances

資料出所:欧州安全衛生機構ファクトシート:FACTS 34
原文はこちらからご覧いただけます
(仮訳 国際安全衛生センター)

はじめに

「2003年欧州労働安全衛生週間」のテーマは、危険物質のリスク防止である。欧州安全衛生機構は、生物学的因子を含む危険物質に関し労働安全衛生情報の伝達に的を絞った、一連のファクトシートを作成している。このファクトシートは、危険物質を除去、または代替する際の過程を紹介している。




欧州連合(EU)の法は、化学薬品(1)、発ガン物質(2)、生物学的因子(3)に関する危険から労働者を保護するために、管理対策分類のトップに除去と代替を載せている。発ガン物質と突然変異誘発物質に関しては、代替のための要求事項はかなり厳しいものであり、代替は技術的に可能である場合にのみ実行されなければならない。代替に関する条項は労働者保護に関する国の規則に定められており、指令は最低限の要求のみを定めているため、作業工程を規制するような労働者を保護するための条項を補足したり、さらに厳しいものにする権限が加盟国に与えられている。

その他の規則は、市場取引やたとえばアスベストを含む危険物質、製剤(4)の使用に関し、EU全体に渡り規制を行っている。

現在、委員会で進められている化学物質管理のための新しいEUシステム(REACH)の下で、いくつかの物質に関し、特別使用許可を求める制度を導入する意向がある。

従って、作業場における危険物質の使用制限と代替に関して適用される国の法の明確化を求めることが、強く勧められている。


ヨーロッパの管理分類における除去と代替

ヨーロッパの法は、労働者の危険物質暴露を防止し減少させるために、対策の階層を用意している。

除去-----危険物質に結びつくリスクを減らす最善の方法は、工程の変更や物質が使用される製品を変更することにより、それらの物質の使用を中止する事である。

代替-----もし除去が不可能な場合、今使用している物質よりも危険度の低い物質や工程に置き換えることが次の最善の選択肢である。

管理-----もし物質や工程を除去及び代替出来ない場合、暴露は以下の方法によって防止し減少させることができる。

除去と代替の実践

ある物質からその他の物質への変更は、3段階の工程を経る。
  1. 代替物の確認:あなたが入手できるあらゆる選択肢を見つけなさい。全面的に有害物質を使用しないでもよい代わりの工程方法と、除去が困難な場合における代替物を捜しなさい。あなたが置き換えたい物質が、吹き付け塗装や脱脂のように、広く塗装工程において使用されていれば選択肢はさらに広がる。
  2. 代替物の比較:物質や使用工程を含む全ての代替物のリスクアセスメントを行い、得られた調査結果を検討しなさい。労働安全衛生に関する国の関連法令を調べなさい。同様に、選択肢が合法で互換性があるか環境製品安全法を確認し、あなたが達成すべき最低限の基準を確認しなさい。
  3. 決定:法的要件、技術的な可能性、製品の品質への影響・コスト(必要な投資を含む)及び新製品使用の際のトレーニングなどを考慮して決定しなさい。

どこから始めるべきか

危険物質への回避可能な暴露は、除去されるべきである。


探す場所に関するヒント

  • 工程で起こる危険に関して

    • 開放型の工程、例えば広範囲の塗装・蓋のない容器での混合/合成

    • 空気中に粉じん・蒸気・フュームを発生させる或いは液体を発散させる工程(溶接・スプレー塗装)

  • 物質関連

    作業工程を変更出来ない場合、以下に関する物質の暴露を除去、または回避

    • 火災や爆発の危険性を増す物質
    • 労働者への高濃度暴露を誘発する物質
    • 多くの労働者が暴露される物質
    • 有機溶剤のような揮発性の物質
    • 空気中に飛散する物質(例えばエアロゾル、粉じん)
    • 急性の健康障害をおよぼす物質(毒物、腐食剤、刺激物)
    • 慢性的な健康障害の原因となる物質 - アレルゲン、生殖その他に有害な物質
    • 作業場での使用が規制されており、特定の国内規制の対象となる物質
    • 作業場で、すでに問題を起こした物質(健康問題、事故、その他の重大な事件)
    • 業務上疾病を引き起こす物質
    • 規則的な健康チェック(従業員の健康診断)を必要とする物質
    • 経皮吸収の可能性のあるもの
    • 呼吸用保護具を使用する必要のある健康に害を与える物質(吸入防止が必要)

    技術的に可能な限り、発ガン物質と突然変異誘発物質は代替されなければならない。いくつかの加盟国では、この規則は生殖に有害な物質にも適用できる。

    保管方法および事故で発生しうる危険について、考慮しなければならない。事故で物質が漏出した場合、大きなリスクをもたらすことが考えられる。

危険物質に関する情報は、多くの情報源から得ることができる。予備的なものではあるが、物質が潜在的な危険性を持つかどうかを確認するためのもっとも簡単な方法は、分類とラベルの情報を見ることである。それは、化学物質を提供している安全データシートの中に入っている。
安全データシートが入手できない物質に関しては、化学物質の供給者から入手することができるだろう。(専門書、取扱い説明書)

その他の情報源には、物質に関する各国の規制や、職業性暴露限界(OEL)、放出限界、製品含有量の制限のような法的な限界値がある。皮膚への浸透、またはアレルギーを起こす可能性のある物質の表示は、いくつかの国のOELリストで見ることができる。

危険評価を行うにあたり、企業は、危険物質の在庫リストを用意しなければならない。量、手順、暴露を受けた労働者数、作業場の対策結果、暴露の予測、物質の分類など、使用された物質に関連するデータを比較できるようにすることにより、除去と代替に関してとられるための優先順位を示すことができる。

リスクアセスメントで確認された代替のための優先順位は定期的に見直し、作業手順に変更が出たときも見直されるべきである。


その他の質問:

物質の購入を決定するのは誰か

誰がコメントを出し、同意するか(管理者、安全委員会、予防サービス)

この決定は定期的に見直されるか


代替のためのガイド

ほとんどの加盟国で、公的、または非営利の民間団体が、危険の削減と代替に関するやさしく理解しやすいガイドを提供している。イギリスのHSEが出している「代替への7つのステップ」(5)とCentrum GBW;NL発行の「作業における危険物質」(6) (Gevaarlijke stiffen op het werk)が、代表的な例である。

やさしい計算例は、ドイツのColumn Model (7)(BIA、DE)から入手できる。化学製品の分類や関連作業場情報を利用することにより、系統だった容易な方法で化学物質の比較をすることに役立つ。特に中小企業を対象としたものである。

化学物質の選択に役立つように、企業グループがいくつかのデータベースを展開している。これらのデータベースは、しばしば、それぞれの分野向けになっており大変明確な情報を提供している。(8)

代替の利点

危険物質使用の除去、または危険性のより少ない物質への変更は、工程にかかわる全ての人々の利益につながる。除去と代替は以下のような結果を導く。

詳しい情報

危険物質の除去と代替に関する詳しい情報は、欧州安全衛生機構のウェブサイトで入手できる。
http://osha.europa.eu/good_practice/risks/ds/

危険物質に関してこのシリーズで入手できるその他のファクトシートは、以下のウェブサイトでも入手できる。http://osha.europa.eu/ew2003/
常に最新の情報を提供している。


デンマーク MAL-KODE システム(The Danish MAL-KODE system) ‐ 代替のための実践的手段

デンマークのコードNo.Wizard MAL-KODE(9)は、塗装工によって表面に塗られる塗料、接着剤、その他の化学物質に用いられる。このコードシステムは、例えば2-1のようにハイフンでつながれた2つの数字から成る。ハイフンの前の数字は、物質から出る蒸気吸入に対する最低限の予防措置を表し、ハイフンの後の数字は、皮膚や目への接触、または摂取に対する最低限の予防措置を表す。必要な予防は、数字に関連したガイダンスの中に述べられている。

コード番号の計算は、製品の化学成分に基づいている。コード番号は、製造者情報になくてはならない部分であり代替のための優れた手段である。異なる製品のコード番号を比較することは、製品のラベル、または安全データシートの情報を比較するよりはるかに容易である。



(参照)
  1. Council Directive 89/391/EEC contains the basic provisions for health and safety at work where not covered by more specific legislation.
  2. Council Directive 90/394/EEC of 28 June 1990 on the protection of workers from the risks related to exposure to carcinogens at work and its amendments.
  3. Directive 2000/54/EC of the European Parliament and of the Council of 18 September 2000 on the protection of workers from risks related to exposure to biological agents at work.
  4. Council Directive 76/769/EEC of 27 July 1976 relating to restrictions on the marketing and use of certain dangerous substances and preparations, its amendments and technical adaptations.
  5. http://www.hse.gov.uk
  6. http://www.arbobondgenoten.nl/arbothem/gevstof/GBWleafl_gevaarlijke_stoffen.pdf
  7. http://www.hvbg.de/d/bia/pra/modell/spaltee.htm
  8. e.g.for the Nordic pulp and paper industry (http://www.kcl.fi/info/database.html) or for European car manufacturers (http://www.mdsystem.com/index.jsp)
  9. http://www.ic.dk/dkcodenum.htm

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