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職場の騒音対策入門
An introduction to noise at work

資料出所:欧州安全衛生機構ファクトシート:FACTS 56
原文はこちらからご覧いただけます
(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日:2006.10.04

欧州においては、何百万人もの労働者が毎日、職場における騒音とこれに伴うリスクにさらされている。騒音が製造業や建設業などの産業において、問題であることは明白なことだが、コールセンター、学校、オーケストラボックスからバーにいたるまでのさまざまな労働環境でも問題となることがある。欧州の労働者の5人に1人は、作業している時間の半分以上で大きな声を出す必要がある。また、7%が職業性難聴となっている。(注1) 騒音性難聴は、欧州において最も広範に存在する職業病である。(注2)このFACTSHEETではリスク、法的責任およびその対策を含む職場での騒音にかかわる重要な問題を概説する。ほかのFACTSHEETでは、オンライン情報とアドバイス等により、これらの問題をより詳しく取り扱っている(http://ew2005.osha.europa.eu)(別窓)。

騒音とは?

騒音とは好ましくない音である。騒音の強さ(大きさ)は、デシベル(dB)で示される。デシベルの目盛りは対数であるため、3デシベルの騒音レベルの増加は、騒音の強さが2倍であることを示す。例えば、普通の会話はおよそ65dBであり、大声を出した時は、およそ80dBとなる。この違いは15dBだが、大声は30倍強い。人間の耳の感受性は、周波数によって異なるので、騒音の大きさまたは強さは、A特性のデシベル(dB(A))によって示される。

騒音が有害であるかどうかが決まるのは、強さだけではなく、ばく露の時間も極めて重要なので、時間加重平均騒音レベルが用いられている。職場の騒音は、通常では、一日の労働を8時間としている。有害な騒音が与える影響に関係するその他の要素としては、次のようなものがある。

騒音が原因の諸問題

騒音に対するばく露は、労働者にさまざまな安全衛生上のリスクをもたらす。

誰にリスクがあるのか

騒音にばく露する人には、だれにでも潜在的なリスクがある。騒音のレベルが大きく、ばく露の期間が長いほど、騒音による障害の生じるリスクが大きい。製造業と鉱業では、40%の労働者が、その労働時間の半分以上において、いちじるしい騒音レベルを経験している。建設業においては、この数字は35%で、農業、輸送、情報を含む他の多数の部門では、20%である。騒音が問題であるのは、製造業と他の古くから存在する産業だけではない。教育、ヘルスケア、バーやレストランなどのサービス産業においても、騒音が問題であることが知られている。

騒音レベルの例
雇用者の責務
雇用者は、法律上において、作業における騒音によるすべてのリスクから、労働者の安全と健康を守る義務がある。雇用者のなすべきこととしては、下記がある。

労働者の参加

 労働者と協議することは法的な要件でかつ労働者が安全衛生手順および安全衛生改善に確実に参加するように役立つことになる。労働者の知識を活用することでハザードが正しく指摘され、かつ有益な解決方法が実施されることに役立つ。労働者代表はこのプロセスで重要な役割を果たす。従業員は新技術あるいは新製品の導入前に安全衛生対策について協議を受けるようにしなければならない。また、機械メーカーおよびその他の機器メーカーは騒音レベルを低減する責任を有している。98/37/EEC指令によると空中伝達騒音の発生によるリスクが最も低いレベルまで低減されるよう、機器類は設計されかつ製造されなければならない。

法規制

機械および機器のメーカーもまた、騒音レベルを抑制する責任がある。理事会指令98/37/ECによると、機械は「空中への騒音の放出によるリスクが最も小さいレベルに引き下げられるよう、設計し組み立てる。」ことが必要である。

物理的要因(騒音)によるリスクを生ずる労働者のばく露に関する、欧州議会と理事会の安全衛生最小要件指令2003/10/ECが2003年に、採択された。この指令は、指令86/188/EECと置き換えられるもので、2006年2月15日までに全加盟国における法律に取り込まれる。

この指令の第5(1)条においては、技術の進歩と発散源におけるリスク抑制手段の利用を考慮に入れ、「騒音へのばく露によるリスクは、その発散源で除去するか、最小限度まで抑制する。」ことを求めている。また、この指令における一日平均の新しいばく露限界は、87dB(A)である。

詳細情報の所在

このFACTSHEETは欧州職場安全衛生週間2005キャンペーンの一部分である。

騒音に関する情報:http://ew2005.osha.europa.eu(別窓)

EU安全衛生法令:http://europa.eu.int/eur-lex/(別窓)

(注1)EU-15統計。Eurostat,EUにおける労働および健康の報告:統計ISBN92-894-7006-2
(注2) EU-15統計。EU安全衛生機構の報告、OSHと雇用適性との関連データ2002,ISBN92-95007-66-2
(注3)WHO騒音による聴力損失防止1997
(注4)マーストリヒト大学でのSIHI研究グループ(1999)  

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