欧州の労働災害統計によると、18〜24才までの若年労働者の労働災害率は他の年代グループに比べると50%以上も高くなっている。適切な管理監督が実施されていないことが、この高い労働災害の原因となっている。若年労働者は自分の仕事、周囲の環境及びこれらに付随するリスクに不慣れである。経験不足のため、リスク認識がないとかリスクに十分な注意が払われていないようである。また18才未満の労働者に対しては、いくつかの特別な就業制限業務がある。従って教育訓練の他に、成年者に比べて若い人は、より一層の管理監督が必要であろう。この若い人の中には職業体験実習あるいは教育訓練実習に就く学生及び新規新入社員も含まれる。
17才の女子が休日に仕事を開始してから、たった一時間後に指の一部を失ってしまった。彼女の指は、彼女が働いていたパン屋の機械で押しつぶされたのである。この安全衛生失敗事例集によると、彼女のスーパーバイザーは災害が発生するまで彼女がその機械を使用していたということに気づ付かなかったとなっている。
23才の若年労働者が、スプレー式塗料ガンを洗浄するために使用していた可燃性物質に接触、引火して広範囲の火傷を負った。この会社における不安全な作業方法としては、用途分類標識のない蓋無し容器の中で危険なガン洗浄を実施したこと、教育訓練・管理監督の欠如が挙げられている。
仕事に初めてついたその日2時間も経たないうちに16才の若者の足が骨折した。彼は18トンの廃棄物用トラックの乗降用ステップから足を踏み外し、このトラックの下に足を引きずられた。安全手順は作成されていたが、労働者が使用していたという確認システムが不適切であった。特定された問題点としては、管理監督・教育訓練の欠如が挙げられている。
事業者は若い人々に対する適切な管理監督実施要領を作成しなければならない。また事業者は管理監督のニーズを含め、若い人に対する特別リスクを特定するリスクアセスメント及びそれに伴って必要となった労働災害防止対策を実施しなければならない。
スーパーバイザーの役割に対して、事業者は次の事をしなければならない:
若い人の安全衛生確保につき、スーパーバイザーは以下の多くの点で重要な役割を担っている:
若い人は経験不足であるが、重要なことは、若い人の意見を積極的に求め、かつ安全問題に若い人の参加を促すことである。
若い人に対する安全衛生手順作成は、リスクアセスメントに基づいたものでなければならない。各種安全衛生対策は、若い人が期待どおりに作業しているかについて点検するために監視されなければならない。そして変更点があれば見直しが必要となるかもしれない。
従ってスーパーバイザーは問題点とか変更事項について報告しなければならない。また問題点及び関心事項について、若い人が報告するように促さなければならない。
スーパーバイザーは、管理監督下にある人びとの業務で実施許可されないある種の業務について知っていなければならない。
18才未満労働者に対する就業制限業務の一般的な規制としては次のような業務がある。
Factsheet64‘若い人に対する労働災害防止対策’では年齢による制限業務、労働時間制限及び職業訓練時の特別除外について詳しく記述している。若い人の業務について疑問点があれば事業者にそれを提起すること。国内関係要件をチェックすること。
ある事業者は若い人に対する良き指導者を任命している。
この指導者の役割は、特に若い人の世話をし、教え導くことである。これには次のような点があげられる(注4):
(注4)Rospaからのアドバイスを採用
雇用派遣会社からの22才の従業員が、頻繁に列車が通過する線路で作業していた時、列車に衝突され死亡した。この学生は偶にシフト作業にのみ従事していて、基本的な個人用安全通路についてのみ教育訓練をうけていた。安全手順と管理監督は不適切なものであった。この事故により当派遣会社では新入スタッフの業務遂行をモニターするための指導教育システムを初めとした安全手順などで多くの変更を行った。
若年労働者に関する詳細情報:http://osha.europa.eu/
英国でのガイダンスの詳細情報:http://www.hse.gov.uk
アイルランドでの法令の詳細情報:http://www.hsa.ie
マルタでの法令の詳細情報:http://mt.osha.europa.eu/legislation