若年者は経験不足、訓練不足及び認識不十分な面がみられるので特別なリスクに会う可能性がある。若年者の作業については、適切、安全かつ衛生的なものであると同時に、良いアドバイス、情報及び管理監督が必要である。18才未満の若年者…職業訓練、及び職業体験実習に就いている人並びに学校あるいは大学にまだ在学中に臨時的な仕事を行う人を含む…に対しては、ハザードへのばく露及び労働時間制限を含む多くの特別な規則が適用される。このfactsheetでは若年者に対する一般的かつ特別な労働安全衛生対策を、確実に担保するための要件を要約して提供する。他のfactsheetsでも事業者、監督者、若年者及び両親に対する多くのアドバイスを提供している。
法令―全ての人に対する保護
全ての人を保護するための優れた安全衛生マネージメントシステムは、すべての職場で導入されなければならない。このシステムには、若い労働者及び新人スタッフが傷害を被りやすいことに特別の注意を払わなければならないことが含まれている。
年令に関係なく、自社の労働者に対する事業者の責務としては、次のようなことがあげられる。
- ハザードを特定し、リスクアセスメントを実施すること(注1)―フルタイムの若年労働者だけでなく臨時的な若い労働者、例えば週末あるいは学校の休日に手助けとして雇った人及び職業訓練あるいは職業体験実習に就く人も含めること;
- リスクアセスメントに基づき、安全衛生を確実に担保する実施要領…特別な要領を含む…を策定すること:若い労働者あるいは新入スタッフに対する手順;雇用募集部門、職業体験実習企画者、職業訓練計画者等と共同で策定する;
- 特化された管理監督を含む必要な組織を準備し、そして役割を実行するための資格能力と十分な時間を有する監督者を確保すること;
- 傷害を被りやすい個人−若い労働者及び新入スタッフを含む−に対応した特別な対策を特定すること。例えば危険な機器使用に関する若年労働者の就業制限は、明確に特定されなければならないこと;
- 若年者の業務における潜在的なリスク及び採用した防止対策に関する情報を提供すること;
- 新人スタッフに、適切な訓練、教育及び情報を提供すること並びに業務の変更あるいは職場の変更事項についてもフォローすること;
- 若年労働者に影響を与える危害(若年労働者を保護するという特別なニーズを含む)から、特に敏感なリスク・グループを守ること;
安全衛生問題について労働者及び労働者代表と相談し、若年労働者自身を含む彼らを参加させること。若年労働者に対する取り決めに関し労働者代表に相談すること。
リスクアセスメントは若年者が仕事を始める前に実施しなければならない。リスクアセスメントに含まれるもの:職場;物理的、生物学的及び化学的物質;作業用機器とその使用;作業工程、運転及び作業組織;及び教育訓練。 18才未満の人々に対する一般的な規制として、許可されていない業務には次のようなものがある:
- 肉体的あるいは精神的な能力を超えるような業務;
- 毒物あるいはガンの原因となるような化学物質に彼らをばく露させるような業務;
- 放射線に彼らをばく露させるような業務;
- 極端な暑熱、騒音あるいは振動を含む業務;
- 経験不足、訓練不足あるいは安全に対する不十分な注意力により認識できない、あるいは避けられないリスクを含む業務;
18才未満だが最低の義務教育終了年令を超えている人は、以下の特別な状況下で上記の業務を実施することができる:
- その業務が職業訓練にとって必要不可欠な場合;
- 業務が有資格者の管理監督下で実施される場合;
- リスクが最低限可能なレベルまで低減される場合。
若年労働者は特別なリスクが残存している場合、それを抑制するすべての努力がなされていても業務遂行は許可されない。 若年労働者には労働時間制限が設けられている。また彼らは、一般の労働者と比べてより十分な休憩時間が許可されている。基本的には、夜間労働は若年労働者に許可されていない。13才以上の生徒:多くの加盟国では、各国の義務教育終了年令以下でも子供達は働くことが許されているが、年令に応じて労働時間、夜間労働・業務の種類及び定められた休憩時間に関し厳しい制限が設けられている。若年者は労働に対する自国の最低年令を超えている場合でも、彼らは軽い業務を行うことだけしか許されていない場合がある。生徒の両親あるいは法的後見人は作業開始前に、リスクアセスメントの結果及び子供達の安全に関し採用された管理対策について通知されなければならない。国内関連法令をチェックすること。そうすることで皆さんは、安全に関する貴重な要件、業務の種類に応じた就業制限事項、子供達が働いてもいい年令、労働時間の制限及び許可条件を知ることができる。
労働者の権利
若年者を含め、すべての労働者は次のような権利を有している:
- 職場ハザードの存在、労働者の安全保持のための実施事項及び事故あるいは緊急事態発生時の対応について知ること;
- これらの事項に関し情報、教育訓練をうけること。これは作業に関連し、かつ無料で実施されなければならない;
- 必要な保護具が無料で提供されること;
- 安全事項について質問をし、不安全な慣行あるいは状態を報告し、そして事業者と相談することに参加すること。
若年労働者は、自分の業務の安全状況及び実施事項について何か疑問点がある場合、監督者の見識に自分の心配事を伝える権利と責任を有している。最終的には、不安全な作業実施を拒否する権利を有している。管理者あるいは同僚が、危険な業務をするという理由だけで、若年者が危険な業務をする義務はない。
労働者の責任
ハザードを特定し、労働災害防止対策を実施する上での主たる責任は事業者に課されているが、労働者もまた責任を負っているという意味で、安全は両者の協力によるプロセスであるといえる。若年者を含むすべての労働者が自分自身と他人に気をつかわなければならないと同時に、安全衛生について事業者と協力しなければならないことが法令により決められている。例えば、次のことがあげられる:
- 機器、安全装置あるいは手袋、マスクというような保護具の使用を含むすべての安全規制及び教育訓練を守ること;
- 監督者に安全衛生ハザードを報告すること。
追加のfactsheetsを含め若年労働者の安全に関する追加情報:EU安全衛生庁のウェブサイト
http://ew2006.osha.europa.eu/で利用可能である。
労働災害防止対策でのアドバイス並びに特別なリスク及び職場のグッドプラクティスへのリンクは
http://osha.europa.eu/で利用可能である。アドバイス情報源には各国の監督機関、労働組合及び経営者団体からのものがある。
職場における若年者の保護に関する指令94/33/EC全文へのリンクは
http://osha.europa.eu/data/legislation/18から利用可能である。
この指令は最低規準をきめたものなので、各国内の法令及びガイダンスのすべての要件をチェックすることが重要である:
英国でのガイダンスの詳細情報:
http://www.hse.gov.uk
アイルランドでの法令の詳細情報:
http://www.hsa.ie
マルタでの法令の詳細情報:
http://mt.osha.europa.eu/legislation