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欧州安全衛生機構発行「Magazine」2001年3号

論説

Hans-Horst Konkolewsky(欧州安全衛生機構所長)

この記事のオリジナルは下記のサイトでご覧いただけます。
http://osha.europa.eu/publications/magazine/#3


10月にEU加盟国で実施された「労働安全衛生欧州週間2000」は、作業関連性筋骨格系障害への幅広い注目を集めるための好機になった。筋骨格系障害は、もっとも多い職業性疾病のひとつで、毎年、欧州のあらゆる産業と職種の何百万人もの労働者を苦しめている。しかし、既存の安全衛生規則と良好な実践のための指針を順守すれば、その大半は予防したり低減させることが可能だったはずである。この点を広く知らしめることが、欧州週間キャンペーンの主な目的だった。

欧州委員会が欧州安全衛生機構に対し、今年の欧州週間の調整と組織化の役割を要請したのは大いに歓迎すべきことだった。それは欧州の職場に対し、安全衛生と生産性向上に必要な情報を提供するという機構の使命にまさに合致していた。機構は、各加盟国の活発なフォーカル・ポイントのネットワークを持ち、社会的パートナーと強力な連携関係にあるため、欧州全域を対象とする効果的な宣伝キャンペーンとしての役割を果たすには最適である。

「欧州週間」は、高度な組織と協力に基づく意欲的な試みだった。機構の基本的任務は、調整、支援、励行にあった。情報、広報、宣伝資料をEUの全公用語で提供し、「欧州週間」用のウェブサイトを多言語で開設するとともに、欧州議会が決定した追加資金により、37件の「欧州週間プロジェクト」を共同で支援した。その一部を抜粋して本誌に掲載している。しかし実体的な活動は、加盟国、さらには各団体、企業、労働組合が担ったのである。

また筋骨格系障害防止のための質の高い多数の具体的解決策に対し、機構としてはじめて良好な実践に対する欧州賞制度を設け、これが成功したことも喜ばしい出来事だった。これらの解決策は、機構のウェブサイトを通じて他の方面にも提供する予定である。

今回のキャンペーンは、欧州連合議長国のポルトガルとフランスからも大きな支援を得た。2月にリスボンで欧州委員会のディアマントプル雇用・社会問題担当委員が欧州週間の開会をアピールした結果、活動に弾みがつき、欧州全域で多数の参加者が報告された。また議長国フランスが、本誌の出版と11月の「欧州週間」閉会式の準備に協力してくれたこともきわめて意義深かった。

「欧州週間」はコミュニケーション、認識の喚起、効果的解決策に焦点をあてたが、本誌(第3号)の狙いは、作業関連性筋骨格系障害対策の次の段階をどうすべきか討議を開始し、「欧州週間」の経験を新たな段階へと発展させることにある。「欧州週間」閉会時の「筋骨格系障害防止に関する欧州全体の状況」に関するセミナーでは、この問題についてより詳細に議論する予定である。