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問題解決の図書館
library of solutions

欧州安全衛生機構発行「Magazine」5号
(仮訳:国際安全衛生センター)

この記事のオリジナルは下記のサイトでご覧いただけます。
http://osha.europa.eu/publications/magazine/5/en/index_11.htm



KATH JONES
(英国ノッティンガム大学労働・衛生・組織研究所)
問題解決の図書館

 図書館というものは、訪れる人に静けさを与えるオアシスのように見られるかもしれない。しかし、英国のある中央図書館に関する研究によると、このような環境のもとでさえ、職員はかなりのストレスを感じながら働いているというのである。

 この研究は1997年に初めてロンドンで行なわれた。全職員から回答が寄せられた極秘アンケートの結果、この図書館の職員の「疲労度」ポイントは、英国平均よりかなり高いことがわかった。主なストレス原因が二つ特定された。管理者側とのコミュニケーションとサポートの問題、そして職員の配置とキャリア開発の2点であった。2点とも明らかに緊張、職業性筋骨格系障害、満足度の低い仕事、退職希望度についての報告と相関性があった。

 また、この研究は、ストレスを増大させる潜在的な危険要因にも焦点を当てている。図書館の内部が比較的高温多湿なうえに、職員は日常的に仕事を中断させられるような状況に対処しなければならないことも潜在的な危険要因として考えられる。

 管理者側は職員と協力し、こうした問題を自分たちだけで解決できるものとできないものに分けて取り組んだ。現実的な解決法が見つかった問題もあった。例えば、温度や湿度に関する問題は、技術者を呼んでエアコンシステムを改良させたことで労働環境はすぐさま改善された。
 
 もう一つの問題は、管理者側とのコミュニケーションとサポートについてだが、これも目に見えるものではないが等しく重要な問題である。こうした問題に取り組むために、図書館では、業績管理システムを導入し、職場のセキュリティを強化し、また、ジョブローテーションや業務の条件、管理者側と職員との協働の仕方やコミュニケーションの取り方に関する統一的な方法を新たに採用した。

2000年に、再度リスクアセスメントが行なわれたが、ストレス度やそれに関連する問題は目立って減少していた。このことは、量的指標や質的指標のうち、欠勤数や退職希望数が下がったことによって実証された。