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木綿会社が賞を獲得
Cotton company wins stress award

欧州安全衛生機構発行「Magazine」5号
(仮訳:国際安全衛生センター)

この記事のオリジナルは下記のサイトでご覧いただけます。
http://osha.europa.eu/publications/magazine/5/en/index_13.htm



STAVROULA LEKA
(英国ノッティンガム大学労働・衛生・組織研究所)
MINAS ANALITIS
(ギリシャ労働安全衛生研究所(ELINYAE))
木綿会社が賞を獲得

 ギリシャ労働安全衛生研究所(Hellenic Institute for Occupational Health and Safety:ELINYAE)は、ストレスへの取組みに関する優良事例を奨励するために表彰計画を立ち上げ、その過程でこの問題に関するデータを入手してきた。

 この計画では、対象となる組織が、直面するストレス問題やその原因、そしてストレスを緩和するために用いた解決策について詳細なアンケートに答える。次に、ELINYAEの運営グループがその企業を訪問し、ストレス防止手段の効果を評価する。解決策の成果に応じて、企業は賞金か名誉ある表彰状を得る。

 一次審査では、ELINYAEチームが企業9社(従業員総数4,000人以上)を訪れた。そのうち2社が賞金を得たが、そのうちの1社は、700人近い従業員をかかえる、国内で最も重要な木綿糸や混紡糸の製造業者の一つであった。

 この会社は、テサロニケ大学の一般病理学クリニックの行なった研究から、 自社の社員のストレス度が比較的高いことに気づいた。ストレス度は、従業員の血圧と、仕事への満足度、学歴、製造ライン上の位置、食習慣、勤続年数、喫煙、聞き取り評価の結果などの変数の相関関係から判定される。考えられる原因として特定されたのは、騒音レベルが高いこと、そして作業が単調なことの2つであった。国内失業率の上昇を原因として、若い社員の間で雇用不安が高まったことも要因として考えられた。

 こうした問題と取り組むために、社内の労働衛生部門が率先して行動に出た。まず、騒音、粉じん、温度湿度レベル等の要因を中心に労働環境を調査した。好ましくない点が発見されれば、最適な基準に合うように必ず労働環境を改善させた。さらに、単調な作業を減らすために新しい技術が導入され、個人用保護具が全従業員に配布された。また、新しい交替勤務制度が考案され、社員は以前よりも上手に仕事と家庭生活のバランスを取ることができるようになった。最後に、会社は団体保険制度の導入と生産性の向上を促す特別賞与を設けた。

 こうした取組みを評価してみると、エルゴノミクス的な観点からの改善が、従業員の仕事に対する満足度とストレスの軽減に最も効果的であったことが分かる。

 企業が自らストレス問題を認識し、向き合っていけるような自己査定方法を創出するために、ELINYAEは表彰制度を利用して十分なデータや優良事例を収集していこうと考えている。