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前向きな考え方の力
The power of positive thinking

欧州安全衛生機構発行「Magazine」5号
(仮訳:国際安全衛生センター)

この記事のオリジナルは下記のサイトでご覧いただけます。
http://osha.europa.eu/publications/magazine/5/en/index_14.htm



SILVIA NOGAREDA CUIXART
(スペイン国立労働安全衛生研究所(INSHT)国立労働環境センター)
前向きな考え方の力

 スペインで行われた教師に関する研究で、プラス思考をはじめとする予防に力を入れたストレス対策が、ストレスの根本原因の究明に取り組む際に、精神的重圧を軽減する重要な役割を果たしていることが判明した。

 研究者は、バルセロナの教師165人の尿中のアドレナリンとノルアドレナリンのレベルを分析した。この調査は、試験などの要因で緊張が最高度に達している夏学期の終わりと、ストレスレベルが通常低下する、休暇後の9月の2回にわたって行なわれた。

 ストレスの主な原因は、情報や援助がないために教師自身がコントロールできないことから生じていることに、研究者は気づいた。教師に共通する不満として、「異議のあることでもやらなければならない」、「変革を実行していく方法についての情報がない」、「矛盾しているか、または相反する指示を受ける」、「しつけの問題に関して生徒の親からの援助がない」、「大勢の生徒に教えなければならない」、「教育チーム内でのコミュニケーション不足」などが挙げられた。

 こうした問題に対して解決法を見出そうとせずにただ受容するのみ、つまり、「回避行動による対処」をする教師のストレス度は高く、ストレス症状が発現しており、それを証明するがごとく、アドレナリンやノルアドレナリンの数値も高かった。それとは反対に、プラス思考や認知再構成(cognitive reorganization)等の予防的な対策を講じる教師のストレス度は低かった。

 ストレスの根本原因に取り組むことは無論大事だが、予防的な対策法を多用できるように訓練すれば、短期間で職員をストレスから救出できることが調査結果から判明した。ワークショップでよく実践されるこの種の訓練は、ストレスにつきまとうマイナスのイメージ(スティグマ)を消し去り、社会的援助ネットワークを強化し、組織を越えて良い実践方法の交換を円滑にするのである。