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「封筒の中で」学ぶ
learning 'within the envelope'

欧州安全衛生機構発行「Magazine」5号
(仮訳:国際安全衛生センター)

この記事のオリジナルは下記のサイトでご覧いただけます。
http://osha.europa.eu/publications/magazine/5/en/index_9.htm



KARI LINDSTRÖM
(フィンランド労働衛生研究所、ヘルシンキ)
「封筒の中で」学ぶ

 家族経営の老舗の封筒製造会社が別の会社に買収され、収益性を上げるために新たな作業方法を導入する必要が生じた。解決しなければならない主要問題は、情報の伝達が悪いことを含め、事業部間の協力体制が不十分なこと、そして意志決定プロセスに従業員があまり参加できていないことなどであった。

 外部コンサルタントや経営側、従業員側双方から成る代表者グループの助けを借りて、新オーナーは125年の伝統を尊重しつつ、社員が新しい方法を楽に取り入れることができるような「学習する組織」の創生に着手した。

 2年計画の第1段階は、社員全員の調査にあてられた。学習や訓練の必要性の有無だけでなく、最近の職務内容、組織の一員としての役割行動や仕事をする上でのストレス誘因を判定した。次に、全従業員が1日研修に出席し、調査結果を元に社員の育成と組織変革に関する実施計画を論議し共同で作成した。

 最終的な合意に至った計画には、伝統的な組織上の慣習を改善すること、会社としての目標と顧客の要望に対する認識を深めること、社内の協力体制の拡充、従業員の参画の機会を増やすこと、などがあった。生産、販売、管理、在庫管理を代表する4つのプロジェクトチームを設置し、明確な目標を設定し、責任を付与し、期限を決めて、再び計画を実行させた。

 1年後、再度全社員研修が行なわれた。その研修では、4つのプロジェクトチームが成功例や問題点なども含めた最新の経過報告を行ない、従業員に意見や提案を求めた。

 2年計画の最後の年に、率先して取り組んできた課題の成果を評価し、そこから学び、改良を加えていくために、再度社員調査が行われた。この結果も全従業員で共有し、共同学習作業を継続して支持していく計画が作成された。最大の改善点は、作業グループ間、経営側と従業員間、さまざまな仕事上のグループ間での意志の疎通が良くなったことであった。生産性やモラルも著しく上がっていた。調査では、社員の70%が、このような「学習」プロセスに大いに関心があると回答したのに対し、少しはやる気があると答えたものはわずか30%だった。