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NSC発行「Safety + Health」2006年1月号

ニュース


非死亡傷病、2004年は減少

  ワシントン −労働統計局(Bureau of Labor Statistics: BLS)の労働傷病調査(Survey of Occupational Injuries and Illnesses)によれば、2004年に民間産業が報告した非死亡傷病は430万件で、2003年の440万件を下回った。
  非死亡傷病は,常勤労働者100人あたり4.8件の割合で発生した。これは、BLSが発表した2003年の常勤労働者100人あたり5.0件を下回り、報告のあった傷病件数の2.5%減と、実労働時間の1.6%増がもたらした結果であると、BLSは述べた。
  BLSによると、最低10万件以上の傷病を記録したのは14産業で、計およそ200万件、傷病総件数430万件の46%を占めた。この14産業は、順序こそ若干の入れ替えはあったものの、2003年にも10万件以上の傷病を報告した。
  およそ220万件の傷病は、休業、配転または就業制限を伴うものであった。つまり、健康回復のために休業、配転または就業制限のいずれか、またはその組み合わせを義務づけられたものであった。
  BLSによれば、残る200万件は、休業、配転または就業制限を伴う、その他の記録すべき傷病で、常勤100人あたり2.5件の割合で発生しており、その他の記録すべき傷病は、2.3件の割合で発生していた。これらの発生率は、いずれも、2003年の発生率を0.1件下回るものであった。


産業別非死亡傷害発生率(2004年)
農林水産狩猟業   1.3%
鉱 業   0.5%
建設業   9.8%
製造業   20.9%
卸売業   5.8%
小売業   15.2%
運輸倉庫業   6.9%
公益事業   0.6%
情報産業   0.6%
金融業   2.6%
専門・ビジネスサービス業   6.6%
教育サービス業     0.9%
保健衛生・社会支援業   15.9%
娯楽・接待   9.4%
その他のサービス   2.3%
出 所:労働統計局、2005年


事実チェック
気象関連の死亡原因上位5位(米国、2003年)
洪水
高温
竜巻
稲妻
雷雨・暴風
死者
81人
死者
56人
死者
55人
死者
43人
死者
41人
出 所:全米安全評議会(National Safety Council: NSC)、Injury Facts、2004年



エンジ議員、上院でOSHA法案を推進


 ワシントン − 2005年11月、マイク・エンジ上院衛生教育労働年金委員長(Mike Enzi, chairman, Senate Health, Education, Labor and Pensions Committee、共和党、ワイオミング州)は、労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)に対し、自主的安全イニシアチブの実施を認可する上院3法案を提出した。自主的安全イニシアチブは、エンジ議員のことばによれば、「監督と罰則による法規施行の考え」を解き放つものである。
  3法案は、エンジ議員が開発した2004年労働者安全促進法(SAFE Act of 2004)を含めた労働安全プログラムを発展させたものである。

  • 労働安全パートナーシップ法(Occupational Safety Partnership Act)には、自主的な予防プログラムや訓練、法令遵守支援を通して、労働安全の向上を図る条項が盛り込まれている。このなかには、事業者が、安全な職場を創り、維持するにあたり、安全衛生専門家の協力を取り付けるようにした「第3者相談サービスプログラム(Third Party Consultation Services Program)」も含まれている。
  • 労働安全公正法(Occupational Safety Fairness Act)は、違反通告、行政手続きに関するものである。
  • 2005年ハザードコミュニケーションの簡易化・近代化法(HazCom Simplification and Modernization Act of 2005)は、有害物質の取り扱い手続きをめぐるコミュニケーションの改善を図る。

本誌印刷開始時点では、3法案が、どれだけ速やかに検討されるか、不明である。というのも、法案は、議会の会期も遅くなってから提出されたのと、議会が、対イラク戦争や予算、ハリケーン被災地救済といった諸問題で紛糾しているからである。





NIOSH:中高齢労働者の労働死亡災害のトップは、衝突事故

  ワシントン −
国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)の刊行物によれば、1992〜2002年間の中高齢労働者の労働死亡災害の首位原因は、衝突事故である。
  「業務関連の衝突事故(Work-Related Roadway Crashes)」は、55歳以上の労働者で、公道の衝突事故で死亡したのはおよそ3,200人、同年齢階層の労働死亡災害総件数の22%にあたると報告している。本報告書は、業務関連の衝突事故による死亡率は、55歳あたりから着々と増えていることを指摘している。
  本刊行物をダウンロードするには、www.cdc.gov/niosh/docs/2003-119/pdfs/2003-119.pdf を参照されたい。



OSHA、製品自主承認計画に関するコメント期間を設ける

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、2005年12月、特定の情報技術メーカーを対象に、自社製品の自主承認を認める法案に関し、2月13日までコメントを公募すると発表した。
  当局は現在、国家認定の試験機関による製品認可を義務づけているが、その代わりに「供給業者による適格宣言(Supplie's Declaration of Conformity)」を認めてほしいとの、情報技術産業協議会(Information Technology Industry Council、在ワシントン)の提案について、情報を求めている。
詳細は、www.osha.gov/pls/oshaweb/owadisp.show_document?p_table=FEDERAL_REGISTER&p_id=18459を参照されたい。



NIOSH、呼吸用保護具に認可証明を交付

 ワシントン − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、化学・生物・放射線・核防護機能を備えた、避難用ろ過式呼吸用保護具に対し、初の認可証明を2通交付した。
  認可証明は、テロ時の化学・生物・放射線・核ばく露からの避難場面で、一般労働者を保護すると想定された製品であることを示すものであると、NIOSHは述べた。この認可で、MSA社(本社:ピッツバーグ)およびILCドーバー社(ILC Dover、本社:デラウェア州フレデリカ)の2社は、NIOSHが業務用に認可した保護具であるとのラベルを、製品に張り付けることができる。当局は、認可証明は、製品を商業上宣伝するものではないと述べた。



州計画協会、2004年度報告を刊行

 ワシントン − 労働安全衛生州計画協会(Occupational Safety and Health State Plan Association: OSHSPA)は、「草の根労働者の保護2004年(Grassroots Worker Protection 2004)」と題する報告書を刊行したと発表した。報告書は、パートナーシップ、アウトリーチ・教育、自主的法令遵守、監督目標や和解について、州が開発したアプローチを掲載している。
  OSHSPAは、独自の労働安全衛生プログラムを施行する州政府、準州政府が会員となっている。報告書をダウンロードするには、www.osha.gov/fso/osp/oshspa/Grass2004.pdf を開かれたい。



最高裁:企業は、個人用保護具の着用時間に対し、賃金を支払うべし

 ワシントン − 最高裁判所(Supreme Court)の11月8日付の裁定によると、企業は、工場の労働者に対し、防護服の着用時間および職場への歩行時間に対する賃金を支払わねばならない。
  最高裁は、事業者は、着替えに要する時間に対して賃金を支払う義務はないものの、「必要不可欠な」防護服の着用と生産現場への歩行時間に対しては、賃金を支払うべきであると、満場一致で裁定したと発表した。今回の裁定は、ワシントン州パスコ(Pasco)の食肉加工工場をめぐり、第9巡回裁判所(9th U.S. Circuit Court of Appeals)が下した、労働者側に有利な判決を支持するものである。。



NIOSH、二酸化チタンばく露について、コメントを募集

 ワシントン − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、「二酸化チタンへの職業性ばく露に関する健康被害の評価と勧告」と題した「最新情報ニュース(Current Intelligence Bulletin)」案について、コメントを公募中である。
  NIOSHは、2月27日、ニュース案に関する公開会議を開催する。コメントは、3月31日締め切りで、www.cdc.gov/niosh/docs/preprint/tio2/tio2cmnts.htm lまで、オンラインでも提出可。     



「ニュース」欄は、オードリー・アームズ編集次長が担当した。