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NSC発行「Safety + Health」2006年2月号

産業特集


 農業

調査報告:農業労働者の動物インフルエンザ感染リスク、増加

 メリーランド州ベセズダ − 国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases)が一部補助した調査報告書によると、職業柄、豚に日常的に接している飼育業者、獣医、食肉加工者は、豚インフルエンザ感染を発症するリスクが高い。

 インフルエンザ流行監視計画や抗ウィルス・予防接種戦略を開発する場合、農業労働者を考慮しなければならないと、報告書は提案している。調査の共同調査員で、アイオワ大学新出感染症センター(University of Iowa Center for Emerging Infectious Diseases, 在アイオワ市)のグレゴリー・C・グレイ所長(Gregory C. Gray, director)によれば、「農業労働者を保護しなければ、インフルエンザの流行期間中に、人間・家畜間の伝染は拡大する」。 

 豚インフルエンザの感染は、通常、豚や人間に軽度の症状を引き起こす、または無症状であると、調査は報告する。しかし、1988年のウィスコンシン郡(Wisconsin county)畜産品評会で豚インフルエンザ・ウィルスにばく露したケースでは、出品者50人とその家族3人が重症になり、女性1人が死亡する結果となった。

事実チェック
農林水産業における労働災害の主たる原因(1992-2001)

農作業用トラクター


2,165
トラック
795
漁労
434
地山
403
木、丸太
357
収穫用機械
253
動物(哺乳類)
242
草刈機械
228
銃弾
226

209

出 所:国立労働安全衛生研究所(NIOSH),2004年

 

 建設業

ACCSH、溝掘り傷害・死亡事故防止に向け、アウトリーチを強化

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)の建設業安全衛生諮問委員会(Advisory Committee on Construction Safety and Health: ACCSH)は、2005年12月8日のワシントン市での討議内容によると、溝掘り傷害・死亡事故の防止に向け、アウトリーチ活動を強化する。

 諮問委員会の溝掘り作業グループは、事業者向けに安全情報を掲載したOSHA早見カード(QuickCard)を作成すると発表、また、溝掘り作業関連法規の遵守に向け、1ページの優良慣行ガイドの作成を進めているとも述べた。溝掘り作業グループのメンバーのひとり、北米労働者安全衛生基金(Laborer's Safety and Health Fund of North America)のスコット・シュナイダ−安全衛生部長(Scott Schneider, director of safety and health)によると、目標は、1999〜2004年間に大都市圏アトランタ地区で発生し、OSHAが調査した21件の死亡事故の再発を防止することである。

 溝掘り作業グループは、監督官が臨検する際に使うよう、絵グラフの溝掘り安全チェックリストを開発する。諮問委員会によると、このチェックリストで、特定の安全要目はあるかどうか、またそれらは義務づけられたものかどうかを診断する。

OSHA、建設業遵守支援モジュールを追加

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)はこのたび、当局の遵守支援クイック・スタート・ウェブ(Compliance Assistance Quick Start Web)ツールに、新しく建設業モジュールを追加した。

 モジュールは、段階別ガイドを提供して、建設労働者や事業者によるOSHA建設基準の遵守を支援する。当局によれば、ユーザーは、各自の職場に合わせた遵守支援教材1式を作成することができる。

 モジュールはまた、たとえば墜落・転落や電気関連の危険といった建設現場での主な危険性を規定したOSHA基準も掲載しており、OSHA早見カード、データ表、冊子、ポスターやウェブページといった遵守支援関連の情報源へのリンクを提示している。職場の安全衛生プログラムに関する訓練、記録保持やプログラム作成に関する情報も提供している。当局のスペイン語版の建設業関連資料も利用できる。

  詳細は、www.osha.gov/dcsp/compliance_assistance/quickstarts/index.htmlを閲覧されたい。



製造業

メリットCSB委員長、化学施設の対テロ法案を称賛

 ワシントン −米化学物質安全性調査委員会(U.S. Chemical Safety and Hazard Investigation Board: CSB)は、スーザン・コリンズ (Suzan Collins、共和党、メイン州)、ジョセフ・リーバーマン(Joseph Lieberman、民主党、コネティカット州)の両上院議員が提出した、米国化学工場対テロ防護法案を称賛した。

 「これは、緊急事態対応問題に真っ向から取り組んだ、初の化学安全保障法案である」と、CSBのキャロリン・メリット委員長兼CEO(Carolyn Merritt, chairman and CEO)は述べた。

  2005年12月に提出された2005年化学施設対テロ法案(Chemical Facility Anti-Terrorism Act of 2005)は、「指定施設に対し、脆弱性評価の実施と、適切な施設安全保障・緊急対応計画の作成を義務づけるものである」。



 サービス業

OSHA、森林整備業ウェブページを公開

 ワシントン −労働安全衛生庁(OSHA)は、2005年12月、森林整備業の労使を対象としたウェブ支援ツールを開始すると発表した。www.osha.gov/SLTC/treecare/index.htmlに掲載された新しい安全衛生トピックス・ページは、OSHAと森林整備業協会(Tree Care Industry Association、在ニューハンプシャー州マンチェスター)とのこれまでの同盟活動の産物である。当局によると、このトピックス・ページで、ユーザーは、安全衛生プログラムの作成・実施に関する情報にアクセスできる。

  ユーザーはまた、高架送電線、枝の落下や、安全機器の欠陥など、業界の潜在的危険性について認識・対処する方法も学習できると、OSHAは述べた。

  森林整備業関連のOSHA基準、遵守指令、OSHA基準や全米規模で合意形成されている基準の解釈へのリンクもある。


調査報告:救急医療サービス提供者、5人に4人は業務上負傷

 マサチューセッツ州クリントン − 全米救急医療技術者協会(National Association of Emergency Medical Technicians: NAEMT)が発表した調査結果によると、救急医療サービス提供者は、5人中4人の割合で、業務の結果、なんらかの傷害あるいは症状を経験している。

 この調査には、NAEMTの会員1,356人が参加した。おもな調査結果は、次のとおりである。

  • 救急医療サービス提供者の52%は、患者から暴行を受けたことがある。
  • 救急医療サービス提供者の50%は、感染症にばく露したことがある。
  • 47%は、救急医療サービスに従事しているとき、腰痛を患ったことがある。
  • 21%は、患者から疾病を感染したことがある。
  • 21%は、業務上の第1の懸念事項として、自身の安全を挙げている。

NFPA、消防隊員用個人警報器の基準を改定

  メリーランド州クインシ −全米防火協会(National Fire Protection Association: NFPA)は、個人用警報安全システム(personal alert safety systems: PASS)は、高温で作動しなくなることがあるとの国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の調査結果を受けて、この基準を改定している。

 NIOSHは、PASS警報器が聞えなかった、またはほとんど聞えなかった状態で発生した、2001〜2004年の消防隊員の死亡事故4件を報告した。国立基準・技術研究所消防研究部(Fire Research Division, National Institute for Standards and Technology)によるPASS警報器の初期の検査では、音量の低下は、華氏300度の低温で始まりうること、また、すべてのPASS警報器に起こりうることが判明した。

 PASS警報器は、NFPAの 1982年個人用警報安全システム基準1998年改訂版(1982 Standard on Personal Alert Safety Systems, 1998 Edition)に準拠しているとして、認定されている。

 緊急サービス団体や緊急対応要員は、PASSの不具合や関連問題については、いかなる場合であっても、PASSに貼ってある認定マークの検定機関とNIOSHの双方に通知しなければならないと、NFPAは述べた。

 改定基準の詳細は、www.nfpa.orgを開き、「法令・基準」をクリックし、さらに「NFPAニュース」をクリックされたい。  


「産業特集」は、マーキンサン・ネイソー編集次長が担当した。