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NSC発行「Safety + Health」2006年3月号
掲載日:2006.09.20
ニュース

全米安全評議会、傷害予防代表団を中国に派遣

全米安全評議会(National Safety Council: NSC)はこのたび、米国のおよそ20名の安全専門家からなる特別代表団を組織、中国に派遣した。NSCのアラン・C・マクミラン会長兼最高経営責任者(Alan C. McMillan, president and CEO)を団長に据えたこの代表団は、昨年11月、北京に4日間、上海に4日間滞在し、中国の労働安全衛生政策や慣行を学んだ。

代表団は、「米国産業の多様性」を代表するものであったとマクミラン氏は述べた。団員は全員、NSC会員企業の上級レベルの安全衛生専門家であった。代表団の調査対象となった産業は、中国の鉱業、製造業、化学工業、建設業部門などである。

本事業は、民間大使プログラム(People to People Ambassador Programs、ワシントン州スポーカン)の一環として展開された。1956年、ドワイト・D・アイゼンハワー(Dwight D. Eisenhower)大統領により創設されたこのプログラムは、専門家が、諸外国で同種の職業人と会合し、自分たちの従事する産業について知識を深めるよう、海外視察旅行を手配している。

「全米安全評議会は、代表団を引率する名誉と誇りを感じた」と、マクミラン氏は述べた。各団員は、「発展途上国から世界の主要国へと変貌を遂げる中国から、安全専門家として何を学べるかと、(中国)視察に意欲的であった」と、マクミラン氏は述べた。

代表団の会議事項には、いくつかの議題が載せられていたが、そのなかには、中国における労働安全衛生の現状、労働安全衛生改善戦略、政府による労働安全衛生管理の現行体制や、中国における労働傷病データの収集・測定などが含まれていた。

「代表団は、中国の労働安全衛生の現況や、中国で起こっている超特急の変化について、全体像を得た」と、マクミラン氏。「これは、交流事業である。われわれは、われわれが(中国の)同僚に提供する以上に、かれらから学んだ」。

「安全衛生とくれば、誰しも中国の政策を知りたがる」と、NSCの調査・統計サービス担当メイリ・リン常務理事(Mei-Li Lin, executive director)は付け加えた。米中双方とも「この種の交流事業を有するのに、等しく熱心であった」と述べた。

北京では、代表団は、国家労働安全局(State Administration of Work Safety)、中国労働安全衛生協会(Chinese Occupational Safety and Health Association)の代表らと会合した。北中国科学技術院(North China Institute of Science and Technology)、中国安全科学技術学会(China Academy of Safety, Science and Technology)のメンバーとも会合した。

上海では、代表団は、ゼネラル・モーターズ(General Motors)の生産施設や、インテル(Intel)半導体工場を視察した。また、完成間際の23階建てビルの建設現場も視察した。

リン氏は、これらの企業の安全操業を評価した。「適切なリーダーシップ、主義・主張の徹底したリーダーシップがあれば、(安全は)国境を乗り越える」と、リン氏は述べた。同氏はまた、「代表団との討論を活発なものにするよう、時間や労力を割いてくれた」と、これら協力企業を称えた。

代表団はまた、紫禁城、万里の長城や上海翡翠寺院などの名所ツアーで、中国文化に触れる機会を得た。

マクミラン、リン両氏は、団員相互の「心温まる」仲間意識に感心した。本事業は、新しい交友関係やネットワークづくりの機会を創るのに役立ったと、マクミラン氏は述べた。

「団員らは、各々の専門性を補う新しいネットワークを(米国と中国で)築いた」と、同氏は付け加えた。

  マクミラン氏は、代表団は、11月のサンディエゴでのNSC年次会議&展示会で、1周年記念同窓会を計画していると述べた。