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NSC発行「Safety + Health」2000年9月号

OSHAの最新情報



有償証人問題で、OSHA批判

 使用者団体は、エルゴノミクス基準案の公聴会で証人を務めた28名に、一人当り1万ドルを支払ったとして、OSHAをとがめた。
 全国製造者協会のパトリック クリアリ副会長は、先日、OSHAのチャールズ ジェフレス長官に対し、支払いは「前例がなく、また弁明の余地がない」と書き送った。同氏は、公聴会で有償の証人を用いるのは、「政府内では常軌を逸したこと」という意味の他省庁の発言を取り上げたニュース記事を引用した。

 同氏は、エルゴノミクスに関し、OSHAの見解に同意する証人にのみ、「祝儀」を配られたことは明白である、と述べ、「一般公衆および秩序ある社会から、偏見のない見解を取りこむべきプロセスで、好意的な証人に報酬を与えるのは、悪くはないまでも不適切である」と語った。

 皮肉をこめて、全国製造者協会のひとりは、ジェフレス長官宛に書簡と1万ドルの請求書を送り、自身の証言代を支払うよう請求した。同氏の証言内容は、規則案は、業務に起因していなくても、それにより悪化した負傷について、使用者の責任を問うものであり、1件の負傷事故が発生しただけで、エルゴノミクス・プログラムを実施するよう、使用者に義務づけているとの主張を含んだものであった。クリアリ副会長は、全国製造者協会は、公聴会で証言した会員に、同様に請求をするよう奨励していると述べた。 

 ジェフレス長官は、この問題について照会してきたデイビッド・マキントッシュ下院議員(共和党、インディアナ州)に対する長い書簡で、有償による専門家の証人としての活用は、議会で承認されており、連邦裁判所も公認するところであり、20年間の4政権下でのOSHAおよび他省庁の慣行と一貫性を持つものである、と述べている。証人は、複雑な安全衛生基準の開発に必要としている専門性をOSHAに提供した、と同氏は述べた。

 その他の認可のなかでも、コロンビア区の控訴院は、鉛基準の開発の際、OSHAは、契約した専門家やコンサルタントを適切に活用しているとの結論を1980年に下しており、また、連邦購入規則は、有償の専門家の利用を承認している、とジュフレス長官は述べた。会計検査院は、1974年から1988年の間、OSHAが、規則作成の際に、4千ドルから1万ドルの範囲で証人に報酬を支払ってきたことを把握しているが、問題視することはなかったと、長官は語った。

 法律専門家も、OSHAの証人としての専門家の活用は、規則案作成の「根拠をより良く説明するため」として認めており、環境保護庁(EPA)、食品医薬品庁(FDA)、運輸省などの他省庁でも、証人やコンサルタントとして、専門家と個人契約を結んでいる、と長官は語った。