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労働力に影響を及ぼすAIDS
AIDS Impacting Work Force

資料出所:「Safety+Health」2000年10月号p.34
(仮訳 国際安全衛生センター)

グレッグ・ボースフィールド


ILOの調査によると、世界最悪のAIDS被害が発生しているサハラ以南アフリカでは、今後20年以内に、もっとも生産性の高い年代の労働者が何千万人の単位で失われるとみられる。

その穴埋めに孤児、過重な負担を抱えた寡婦、高齢者が就労することになり、労働力の質は低下するだろう。AIDS関連の疾病と介護のための欠勤が増えているため、一つの職責のために2人ないし3人を訓練している事業者もあると、この調査は指摘している。アフリカでは、成人の20%がAIDSに感染している国もある。

ILOの労働衛生専門家、ベンジャミン・アリ医師によると、ILOはアフリカの企業と労働組合に、AIDSによる経済的、社会的損失を説明している。大企業には効果がでているが、地域の雇用の大半を担う中小企業の反応は鈍い。ILOは、AIDSの実態を明らかにし、感染予防対策を立てるための基礎を築こうとしている。またAIDSのために疲弊した福祉制度を支えるとともに、安価なAIDS治療用一般(処方)薬の利用を後押ししている。治療薬による余命改善効果がわかっていれば、感染検査を受ける個人も増えるだろう。

アリ医師によると、各国政府は労働法を改正し、職場のAIDS対策の重点をスクリーニングと解雇から予防に転換しようとしている。政府の労働監督官の任務にも、職場の教育活動が加えられる見通しである。

労働者のAIDSの感染率が高い業種は、運輸と鉱山である。