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NSC発行「Safety + Health」2000年10月号
時の人
トラック運転新規則は延期
貨物自動車運送産業、安全団体の猛反対を受け、運輸省のロドニー スラター長官は、トラック、バス運転手の新しい労働時間規則にブレーキをかけた。
スラター長官は、規則作成のコメント期間を12月5日まで延長し、9〜10月、首都ワシントンで、労働組合、安全団体、貨物自動車運送産業の代表を招き、一連の円卓会議を開いた。
運輸省の提案は、トラック運転手の労働時間に新しく限度を設け、長距離運転の場合は、24時間中12時間を超えてはならないとするものである。現行規則では、24時間中16時間である。新提案では、また、運転手は、週60時間勤務のあとに、最低でも継続36時間の休養を取るよう、長距離運搬の場合は、運転時間を記録する電子監視装置を使用するよう義務付ける。
同提案は、連邦自動車運送安全庁によれば疲労が原因であるという755名の死亡者数、1万9千名の負傷事故を減らすのを目的としている。当局は、新規則の導入で、年間115名の死亡と3千名の負傷事故を防止できるとしている。
アメリカ貨物自動車運送協会は、新規則は、新たに10万台のトラックと運転手を繰り出させることとなり、全米の配達システムを危険にさらすとして、反対している。また、貨物自動車運送産業は、向こう10年間に191億ドルの負担を強いられるとした、国家経済調査協会の報告書を引用している。
ハイウエイ・自動車安全団体、トラック・自動車の疲労運転に反対する親の会などの安全団体は、新規則は、トラックの連続運転を10時間から12時間に延ばすとして、不満を述べている。
議会も、反対の声を挙げている。547億ドルを計上した上院の運輸歳出予算案には、行政当局の新しい労働時間規制を1年間停止させる文言がある。下院の歳出予算案には、そのような文言はなく、フランク ウルフ議員(共和党、バージニア州)は、「運輸省がデータを収集し、関係者からのコメントを得るより先に、議会が規則作成を阻んではならない」と語った。
この問題は、ハイウエイ、橋梁、空港、鉄道への予算配分と結合することもありうる。現時点では、妥協は見えてこない。
ハイウエイ安全団体のジェラルド ドナルドソン上級調査部長は、上院は、この条項では「負ける」つもりだと語った。「上院がこんなことをするとは、驚いた」と同氏。「議会は、運輸省にこの件で調査する契約すらさせない。これは、規則を作ってはいけないと言っているようなものだ」。
可能な妥協点としては、運輸省に対し、トラック運転手に対する要件をどう変更するか調査させつつ、2001年までは、新しい労働時間規則を禁ずるというところであろう。
11月の大統領選挙で、事態は変わりうる。クリントン政権は、新しい労働時間規則を支持しており、ゴア候補もこの路線を引き継ぐことが見込まれる一方、共和党全国大会では、代議士らは、「新規則で、貨物自動車運送産業は不利になる」とした政綱に票を投じた。
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