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NSC発行「Safety + Health」2000年11月号, Vol.162 No. 5

OSHAの最新情報



エルゴノミクス基準大詰めで、使用者団体は、膨大な費用を警戒

エルゴノミクス基準最終案について、OSHA(労働安全衛生庁)の決定が近づくにつれ、使用者団体と議会共和党同盟は、同案に対し一斉射撃を浴びせ続けている。

 OSHAのエルゴノミクス基準に反対する論点のひとつに、大規模使用者団体の調査機関、経済政策基金(EPF)の算出した見積額が挙げられる。職場での累積外傷に適用される同基準案は、向こう10年間、年平均910億ドルの負担を産業界に強いる一方、年間の利得額は、61億ドルに過ぎない。基準案は、初年度だけで1,290億ドルの負担を強い、事業所当りの平均費用は、12,511ドルで、小企業に最も負担を強いると、EFFは述べた。

 OSHAは、産業別調査、科学的調査の見直しに基づき、年間費用は46億ドル、利得額は100億ドルと概算していた。

 筋骨格障害(MSD)は、報告されたものより多いとするOSHAの主張に対して、EPFの分析では、労働統計報告の4.5倍のMSD率を推定。これは、実際のMSD率は、労働統計報告の2〜7倍だと推定するOSHAの中間値をとっている。EPFの調査は、全ての主要産業を網羅していると、同基金は述べている。

 910億ドルとは「ばかげた数字である」、30年間のOSHAの規則作成に対し、使用者団体が算出してきた、過剰な見積もりの典型である、とAFL−CIOのマーガレット・セミナリオ労働安全衛生部長は主張している。

 同氏は、多くの見積もりが算出されてはいるが、かかる費用が負担となるという根拠資料は、OSHAの規則作成中に提出されていないと指摘。それどころか、「この種の(エルゴノミクス)対策が実施されれば、労働損失時間や労働者災害補償などの費用が著しく縮小されると、全ての根拠資料が示している、」と、同氏は語った。

 OSHAのエルゴノミクス最終規則は、今年末までに完成する予定である。