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NSC発行「Safety + Health」2000年11月号, Vol.162 No. 5
時の人
トラック運転規則、当面は現行通り
本誌情報筋によると、議会は、若干の議論を経て、運輸予算法案をめぐるもうひとつの不調和を解決した。上院の予算法案では、運輸省(DOT)に対し、商業用トラック、バス運転手の運転許容時間を変更するための資金活用を禁じていた。
この文言について、フランク・ウルフ下院議員(共和党、バージニア州)は、「議会は、この規則案作成を中止するよう働きかけてはならない」として、反対していた。
妥協の結果、運輸省は、引き続き、規則を開発し、コメントを分析し、現在ワシントンで開催中の公聴会を開くことはできるが、来年まで規則の公表はできないこととなった。
議会、より厳しい飲酒運転基準を承認
議論の応酬と政治取引の末、議会は、血中アルコール濃度0.08%を限界とする、新しい連邦レベルの飲酒運転基準を承認した。この法案の下、各州は、2004年までに、この新しい血中アルコール濃度を、飲酒運転の法定基準として導入するよう求められている。
連邦レベルの飲酒運転基準は、両院協議会委員会および議会の両院が承認した運輸歳出予算法案に含まれている。同法案には、クリントン大統領が署名するとみられている。
「この法案により、愛する人を失うという試練から、毎年500家族以上を救うことができる」と、ロドニー・スレイター運輸省長官は述べた。
1998年では、およそ1万6千件の交通事故死、すなわち計41,471件の死亡の38%は、飲酒運転によるものであった。これらの数字は、両方とも、1997年に比べ、若干、減少している。
議会での折衷案のもと、2004年までに血中アルコール濃度0.08%を実施しない州に対しては、ハイウエイ予算の2%の損失、2007年までに実施しない場合は8%の損失を与える。2007年までに、新基準を採用した州には、損失分の予算を払い戻す。
議会、核兵器工場労働者補償計画を承認
何週間もの交渉の結果、下院、上院は、冷戦時代に放射線や他の危険物質に曝されてきた核兵器工場労働者に対し、補償パッケージを設けることに合意した。
今年の防衛予算法案の一環として、次期大統領は、補償給付水準を詳述した具体案を2001年3月15日までに送付するよう求められている。議会は、2001年7月31日までに補償水準を制定しなければならない。もし議会が期日までに制定できなれば、15万ドルの不履行金および療養給付が発効する。
危険性に対する無知や、旧ソ連との核競争による緊急性が重なり、ケンタッキ−州パドゥカ、オハイオ州ポーツマス,テネシー州オークリッジのエネルギー省(DOE)所管工場や同省委託による私営兵器工場では、労働者は、危険なレベルの放射線に曝されてきた。
議会やエネルギー省が開催した一連の公聴会では、何百人の元労働者---末期ガン患者も含め---が、危険な被曝、不十分な保護具や検出器の紛失について証言した。エネルギー環境研究所の調査では、もっとも多く被曝した労働者は、ガン死亡率40%となっており、被曝していない労働者のガン死亡率の200%増であることがわかった。
この妥協案の複雑さは、この問題が、議会の会期末を迎えて、いかに紛糾したかを示している。一時点では、下院で法案は廃案となったかに見えたが、復活した。
フレッド・トンプソン上院議員(共和党、テネシー州)は、6月に上院を通過した防衛予算法案の補則としての立法化を発起したが、下院共和党指導部では、当初、費用がかかり過ぎるとして不評であった。
「これは、冷戦での母国の勝利に尽力した男女のための勝利である」と、トンプソン上院議員は述べた。「長く厳しい戦いであったが、今、議会は、母国に奉仕したあげく苦しんでいる人々に対し、債務を履行する」。
当初の法案では、ベリリウム関連の疾病、放射線関連のガン、その他の職業病を患っている3千人余の労働者に対し、損失賃金と医療給付、もしくは、計20万ドルと医療費のどちらかの組み合わせを給付するというものであった。議会予算局は、このパッケージの費用は、10年間で15億ドルと見積もった。
補償のためロビー活動をしてきたエネルギー省のビル・リチャードソン長官は、この計画は、「歴史上の大きな転換期」を画くすと語った。
「防衛予算法案中の提案により、放射線関連ガンや肺病を患っている核兵器工場労働者は、医療費の支払いの一助として、補償を得られる」と、リチャードソン長官は述べた。「これは、国家のために尽くし最大の犠牲を払った冷戦退役者に対する、国家の積年の負債である」。
消火器のリコール
BRKブランド社は、60万個のファーストアラート家庭用消火器を無料回収中である。イリノイ州オーロラを拠点とする同社によれば、同消火器は、利用者が引き金を引いても消火剤を放出しない場合がある。
負傷事故はまだ報告されていないとはいえ、米国消費者製品安全委員会は、ファーストアラート消火器は消火剤を放出しなかったとの報告を5件、受理した、これでは、火災による負傷や損害の危険を大幅に高めることになる。1999年9月から2000年9月の間に、ホームセンター、金物店、大規模小売店舗では、赤色または白色の消火器が販売された。
回収対象は、ファーストアラート型式FE1A10Gで、シリーズ番号がRH、RK、RL、RP、RT、RUまたはRWで始まる製品を含む。消火器に「100%品質検査済み」とのステッカーがラベルに貼り付けてあれば、回収の対象ではない。シリーズ番号は、消火器ラベルの型式番号の上にある長方形の枠に記載されている。
家庭や職場の消火器が、回収対象であるかどうか確認するには、ファーストアラートまで電話(866−669−2736)で、またはwww.firstalert.com/more~information/index.btmをたたいて、回収対象の消火器の詳細写真を参照して、新しい消火器の引き換え券を要求すること。 エリザベス アンバル
手洗いが一番
公衆便所の至るところにある、従業員への手洗い励行標示は、不要だと考えたことはあるだろうか。もう一度、考えてみよう。アメリカ微生物学会の調査によれば、調査対象の95%以上が、公衆便所利用後に手を洗うと回答しているが、実際荷手を洗っているのは、67%にすぎない。
アトランタ、シカゴ、ニューオーリンズ、ニューヨーク、サンフランシスコの公衆便所に配された観察者は、7,836名の利用者が、洗面台へ向かうか、出口へ向かうか、観察。全国の1,021名の成人を対象とした電話による調査と併せて、人々の言うこととすることを比較した。
男性は、女性よりも手を洗わない傾向がある。男性は58%が手を洗うのに対し、女性は75%が手を洗う。この性差は、アトランタで最も大きく、女性の84%が手を洗うのに対し、男性はわずかに36%が手を洗った。手洗いの人数も、都市により差があり、ニューヨーカーが最も不衛生、シカゴ市民は、最も清潔だった。
手洗い励行の年数にもかかわらず、人々は、いくつかの都市では、4年前よりも手洗いをしなくなっていた。
調査を笑うことは簡単だが、アメリカ微生物学会および疾病対策予防センターは、これを深刻に受けとめている。
「手洗いは些細なことだが、これを怠ると、悲惨な、生命を脅かす結果をもたらしうる」と、微生物学会のゲイル・カセル氏は語った。
多くの職場では、手洗いは、生死を分かつ問題になっている。疾病対策予防センターによれば、毎年200万人が、病院で治療中に感染しているという。約8万8千人は、死亡している。
他の調査によれば、保健衛生専門職は、患者への接触と処置の間に必要とされている回数の30%しか、手を洗っていない。
食肉、卵、鳥肉を扱う労働者が手洗いを怠ることにより、毎年、7千9百万人が食中毒を起こし、5千人が死亡している。
保育士は、自分たちのみならず、子供たちにも手を洗わせねばならない。手洗いを確実にしていれば、保育園に通園する子供たち7百万人が、下痢、呼吸器官および胃腸関連の病気にかかるのを減らすことができよう。
「手洗いは、伝染病のはやるのを防ぐ、簡単で最も効果のある方法です」と、疾病対策予防センターのジュリー・ガーバーディング院内感染プログラム部長は言った。
公衆便所の手洗い標示を笑うかわりに、手を合わせ、拍手すべきではないだろうか。 エリザベス・アンバル
表:大都市ほど、清潔な手が多い
都市 公衆便所利用後、手を洗う人の割合 |
シカゴ |
83% |
サンフランシスコ |
80% |
ニューオーリンズ |
64% |
アトランタ |
64% |
ニューヨーク |
49% |
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