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NSC発行「Safety + Health」2000年12月号

時の人



OSHA,2000年度中にエルゴノミクス基準を約束

 OSHA(労働安全衛生庁)は、今年のクリスマス・プレゼントとして、エルゴノミクス基準を公布する、そう約束したのは、労働省のR;・デイビス・レイン次官補。フロリダ州オーランド市で開催された、全国安全協会(NSC)の年次大会の「行動するOSHA」セッションでのことであった。レイン次官補は、当局は、全国で開催した公聴会で得た情報を、千件の発表で提起された7千以上ものコメントを含めて、再検討していると語った。

 「基準は、11ページくらいの長さで、千ページの資料を付録したものとなるでしょう」と、同氏は述べた。「これは、当局にとって、難題でした。しかし、一度やり遂げると、ほかの課題やプログラムに取り組むことができます」。

 当局は、新政権発足前までにエルゴノミクス基準を完成させたいと希望している。

 「行動するOSHA」セッションでは、当局の職員数名が、発足以来、OSHAがどう変わり、発展してきたか討議した。パネル討論には、レイン次官補のほか、スティーブン・ウィット技術支援局長、パトリシア・クラーク地方行政官、H・バリエン・ゼットラー建設局次長、ポーラ・ホワイト連邦・州運営局長、リック・フェアファックス遵守局長が参加した。

 レイン次官補は、強力な施行、産業界その他の関係団体との創造的なパートナーシップ、援助の拡大と訓練、規則作成の改善といった新しい運営手順で、当局は活動していると語った。また、1971年以来、OSHAの業務の照準がどう変わったか、話した。

 「1971年には、5産業に照準を定めたが、これにはわけも理由もなかった。全て、国家プログラムでした」と同氏。「現在は、もっと地域に根ざし、地方分権化しています。インターネットも、我々の業務や管理に役立っています」。

 当局は、また、企業や労働力のグローバル化にあわせた合意と基準の開発に努めている。ウィット技術支援局長は、これもまた、当局にとって難題であると述べた。なぜなら、各国は、独自の規制基準やアイデアを有するからである。

 「我々は、有害化学物質に関するコミュニケーションについて、国際的な調和を図ろうと努めています。また、EUとともに、電気安全基準の開発も行っています」と同氏。「アメリカとEU間の合意により、EUの試験所は、アメリカ向けの製品を検定することになります」。

 また、レイン次官補は、自主的保護プログラムに関し、数か国と協力していると述べた。昨年だけでも、86の積極的パートナーシップがあり、これは、前年度を83%上回る改善ぶりだと、同氏は述べた。「政労使は、協力すればより一層の成果を得られ、企業にとっても収益の改善となろうし、労働者にとってもよりよい安全衛生が保障されます」と同氏。

 OSHAは、教育についても一層の注意を払っている。レイン次官補は、地域や産業界と協力するよう、遵守支援担当官をOSHAの地域事務所に配置させていると語った。同氏は、当局は、50万人以上の受講者に安全衛生訓練を実施したと述べた。一方で、はやりのインターネットを利用して、ウェブや、テクノロジー利用の訓練も提供している。

 また、OSHAの本来の役割である施行も、他の安全衛生分野で、おろそかにされているわけではない。フェアファックス遵守局長は、1996/97年には、8千の使用者からデータを収集しはじめ、海運業、ハズマット(危険物質)シート、建設業に重きを置く、と語った。

 ゼットラ−建設局次長は、建設現場での事故については、ゼネコンも責任を負うとの当局の考えを述べた。「皆、いくばくかの責任を負っています」と同氏は警告した。「ゼネコンは、下請け業者のせいにしてはなりません。作業現場の全ての企業が、責任を負わねばなりません」。