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NSC発行「Safety + Health」2001年1月号

ニュース 

安全監督官不在で、メキシコ労働者は危険と隣り合わせ

メキシコの産業災害は、より多くの有資格安全監督官の必要性を際立たせた。

8月、メキシコのグアダラハラにある電子組み立て工場で発生した事故では、103名が負傷した。労働者は、イソプロピルアルコールや腐食性の洗浄液蒸気で、頭痛や吐き気を訴えた。このうち、71名が入院。雇い主は、マザーボードやコンピューターを製造する台湾出資メーカー、ユニバーサル・サイエンティフィック社である。

メキシコには、OSHA監督官のように、日常的に監督を行う労働監督官が存在しない。その代わり、企業は、法律により、労働安全衛生を所管する労働社会福祉省(Secretaria de Travajo y Prevision Social: STPS)の認可する民間の第3者「検定機関」を雇うよう、定められている。

また、安全法規は、いつも施行されているわけではない。「職場の安全を保障する規則はあり、監督官もいるが、労働社会福祉省による監督は、確実とはいえない」とハリスコ州厚生省社会コニュニケーション部のオリビア・ゴンザレス氏は言った。

グアダラハラのあるハリスコ州は、同国第2位の工業地域で、6万4千もの工場が集中している。しかし、労働社会福祉省によれば、監督を認可されているのは、わずかに3民間団体しかない。

グアダラハラ事故の重大性にかんがみ、厚生省が介入。同省は、事故原因は、換気ミスにあると指摘。「厚生省が、工場を検証し、生産の再開には、連邦裁判所の裁定が必要だと指摘した」とゴンザレス氏。同社は、生産ラインを改良すると述べた。