このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。

NSC発行「Safety + Health」2001年1月号

 OSHAの最新情報

トラック運転許容時間の短縮案

議会指導部とクリントン政権との妥協で、トラック運転手の労働時間の上限を改正する最終規則は、9月30日を末日とする2001年度以降に持ち越されることとなった。

連邦自動車運送安全局は、1日24時間内に運転できる時間を、現行の16時間から12時間に短縮しようと提案していた。しかし、連続運転できる時間は、現行の10時間から12時間へと増える。当局は、最終規則を作成中で、その公表は10月以降の予定。

当局は、大型トラックの疲労運転による衝突で年平均755人の死亡者を、115名減らせるだろうと、推計している。

労働者の死亡で、事業主を告発

労働者の死亡に関し、事業主が起訴される革新的な刑事事件が2件あった。

米国弁護士事務所によれば、労働安全法規のもと、爆発死亡事故が、ペンシルバニア東部で刑事事件として起訴されたのは、初めてである。大陪審で、陪審員12名が、ペンジルバニア州アレンタウンの化学メーカー、コンセプト・サイエンス社の社長で筆頭株主でもある、アール・E・「チップ」・ウォード氏の起訴を正式に決定した。

起訴は、1999年初頭、労働者4名を含む5名が死亡した、同社工場での爆発事故に起因する。OSHA(労働安全衛生庁)は、爆発性の有害化学物質に対する労働者保護措置をとらなかったなど、故意の違反11件を含む20件の違反で、昨夏、同社を召喚した。また、64万1千2百ドルの罰金を提示、同社は、控訴している。起訴状によれば、同社は、「フリー・ベース」と名付けた50%濃度のヒドロキシルアミン溶液を初めて生産していたという。

起訴状によると、同社は、コンピューター・チップの洗浄液として、ヒドロキシルアミン溶液を生産する全米初のメーカーを目指していたらしい。しかし、化学機器メーカーや顧客予備軍は、同社に対し、ヒドロキシルアミンは、加熱または濃縮し過ぎると爆発しやすいと警告していた。爆発のあった当日、同社の化学者および生産監督者は、ヒドロキシルアミンが高濃度に達した際、蒸留システムを閉じるよう、ウォード社長に勧告していたが、当人は、これを無視した。

これとは別件で、ミッドランド・エンバイロンメンタル・サービス社のオーナー、エドムンド・D・ウッズ氏および同社は、過失致死およびミシガン州労働安全衛生規則の刑事違反の罪状を認めた。同社は、1994年、同州ビーバートンにある6千ガロンの地下ガス貯蔵タンクを撤去しようとしていた際、爆発を起こし、1名が死亡、3名が負傷した。同州商工サービス局は、職場の死亡事故でオーナーに刑事責任を認めた、初のケースだと語った。

 

クリントン大統領、注射針法に署名、保健医療従事者に朗報

クリントン大統領は、先日、注射針の危険から保険医療従事者を守るため、病院および保健医療施設に対し、より安全な注射器を使用するよう義務づけるようOSHAに命ずる、超党法案に署名した。

新しい「注射針の安全と予防に関する法律」は、また、どの安全注射針を購入するか、保険医療従事者の意見を取り入れるよう、また、別個に注射針等による事故の記録を保持するよう、病院に義務づけている。病院は、注射針事故の発生は少ないと考え、しばしば、OSHA200記録に記録しないことが多い。

「同法案は、全国の8百万もの保健医療労働者が、我々を看護する際、自らの健康や生命を危険にさらさなくてもよいよう、保証しようとするものである」と、法案の発起人、キャス・バレンジャー下院議員(共和党、ノース・カロライナ州)は言った。

保健医療従事者を代表するサービス労働者国際組合(SEIU)によれば、年間60万件の注射針事故が発生している。このうち、少なくとも千人が、C型肝炎またはHIVに感染している。

「この法案で、保健医療従事者が、私のような災難にあわなくても済むようになると思うと、うれしく、ほっとしています」と、サンフランシスコの元登録看護師で、注射針からHIVおよびC型肝炎に感染したエレン・デイトン氏は、こう語った。

SEIUによれば、法案の通過は、スタッフ対患者比率を下げる強力な推進力となる。これにより、患者の看護を改善し、医療保健従事者の感染を減ずる。

SEIUはまた、ラルフ・ネイダー・グループのひとつ、パブリック・シティズンと提携して、食品医薬品局に対し、新型の注射針ほどは安全でない旧式の注射針の販売・利用を禁じて、新法を補強するよう、要求する。